SCP-2085
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アイテム番号: SCP-2085

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2085は改良されたタイプ-05人間型収容ユニット内に収容されます。SCP-2085-1の隔離や移動は、SCP-2085の収容インプラントが有効に複製できるようになるまでは、許可されません。SCP-2085-1がSCP-2085の収容インプラントを克服した場合、SCP-2085とSCP-2085-1は処分されることになっています。

SCP-2085は流動食を必要としており、その詳細は文書2085-MEDに記載されています。

SCP-2085-Aの全標本は別々のタイプ-05人間型収容ユニットに収容されます。標本間の通信を妨害するべく、無線信号ジャマーが周囲の区画に導入されます。SCP-2085-A標本は、収容個室から移動させる場合またはは収容個室への進入が必要となる場合に、鎮静および拘束されることになっています。

説明: SCP-2085は人種不明瞭な人間男性で、年齢は40から55歳、1.7メートルの身長と68キログラムの体重を持っています。SCP-2085は普段の健康状態に優れず、ビタミンD欠乏症(食事の改善により緩和された)、重度の放射線障害(症状から少なくとも2グレイ以下の放射線を3度浴びている)、そして深刻かつ度重なる皮膚潰瘍形成による大量の瘢痕を負っています。SCP-2085は英語を流暢に扱うことができ、また職員に対して協力的です。SCP-2085は常にS1035 ACESを身につけており、一般的にバスローブと赤いフェルト製の魔法使いの帽子が付随します。SCP-2085はその協力的振る舞いの維持を促す目的から、これらの物品の所有の継続を許可されています。

SCP-2085は大幅なサイバネティックス的・遺伝子的な改造を施されています。その内訳は以下です:

  • 消化管の流動食への適応。食道のインプットポートと排泄アウトプットが宇宙服に統合されている。
  • 汗の抑制や宇宙服の継続使用による擦り傷の減少のための皮膚の改良。
  • 皮膚の補修を行う人工バイオフィルム分泌のための皮脂汗腺の改良。
  • 失われた11本の指の交換。
  • SCP-2085-1のための収容インプラント。

すべての既知の改造に関するさらなる情報は文書2085-EXPを参照してください。

これらの改造は長期に渡り様々な要因から生じたように見られます。 例として、SCP-2085-1収容インプラントの多くの部品は交換あるいは改造されており、また交換された左手の3本の指はすべて異なるデザインと品質になっています。SCP-2085によると、最も古いインプラント施術は2010年にさかのぼり、最近のものは回収3週間前です。

SCP-2085-1は運動性・自己繁殖性を持つカーボンナノマテリアルの繊維質で、SCP-2085の胸腔に棲み、肝臓・すい臓・胆のう・脊髄・肺左部に突出して成長しています。SCP-2085-1の成長とSCP-2085の体組織の摂取は、成長部と制御ノードの通信の遮断や自己繁殖過程への対抗を行う多種の収容インプラントの追加によって妨げられています。

これらの収容インプラントがない場合におけるSCP-2085-1の繁殖速度は明らかになっていません: SCP-2085-1の行動期間は、平均して、3ヶ月に1度発生します。その過程は最長で50分まで継続し、SCP-2085に対して激しい苦痛をもたらします。SCP-2085は活動期にSCP-2085-1との意思疎通が存在することを主張しましたが、この主張は検証されていません。

SCP-2085-Aは日本に起源を持つ5体の増強されたヒトのメスであり、SCP-2085-A-1からSCP-2085-A-5と指定されています。SCP-2085-A実例はすべて遺伝子学的に同一であり、身長は1.9から2メートル、体重は70から95キログラムです。身長や体重の分散は増強の過程によってもたらされたものであると考えられています。SCP-2085-Aは日本語・ロシア語・英語を流暢に扱うことができ、一般的に職員に対して非協力的です。2013年██月██日の初期収容以来、SCP-2085-Aによる8度の脱走の試みが発生しておりますが、成功例はありません。特にSCP-2085-4は8件中5件の脱走を試みています。2013年██月██日よりさらなる試みは行われていません。

SCP-2085と同様に、SCP-2085-A標本はサイバネティックス的・遺伝子的な改造を施されています。その内訳は以下です:

  • イエネコの生理との外見的遺伝的な接合、耳・尾・体毛の染色を含む。尾は巻き付けるのに適しており、小物体を掴むことができる。
  • 手や足に位置するグリップパッド。
  • 指や指の節の伸縮可能なブレード。
  • サーマルビジョン、ヘッドアップディスプレイ、録画装置などの眼球インプラント。
  • カーボンナノウィーブ筋肉繊維増強及び内骨格強化。
  • 局所戦術ネットワークを伴う無線通信一式。
  • 痛覚遮断物質や知覚認識増強物質や変性フェロモンの分泌を行う薬物腺。

SCP-2085-AのインプラントはSCP-2085から発見されたものよりも質が高く、導入後の改造の痕跡が見られません。インプラントのデザインは統一されており、発生源が1つであることが示唆されています。

SCP-2085-A標本に関するさらなる情報は文書2085-A-EXPを参照してください。

SCP-2085とSCP-2085-Aは、2010年から2013年にかけて発生した密輸・窃盗・誘拐・強奪・核分裂性物質の所持・集団破壊工作・着服・著作権侵害・海賊行為・売却を目的とした麻薬の所持そして脱税などといった多数の犯罪行為に関連しています。これらの行為の標的はほぼ例外なく犯罪組織でした。SCP-2085の行動範囲は主にロシア・中国・日本・東南アジアでした。SCP-2085の行動拠点は、存在も含め、他のグループとの繋がりと同様に明らかではありません。回収されたグループの所持品は、回収時に所持していた装備のみです。

SCP-2085及びSCP-2085-Aは、2013年██月██日に香港の九龍地区にて、新義安三合会に対する強奪行為の最中に初期回収されました。この事件はライバル組織である14K三合会との犯罪組織間抗争として処理されました。

文書 2085-A-EXP

身長: 1.95 メートル
体重: 83 キログラム
体毛: 三毛
メモ: 右腕にスリーブタトゥー、顔面に目立つ傷。SCP-2085の副官であると推察される。1

エントリーインタビュー

██████研究員: 記録のため、あなたの名前を教えてください。

SCP-2085-A-1: 草薙素子2少佐、ブラックラビット社の代表だ。

██████研究員: あなたの会社がどんなものか説明して頂けますか?

SCP-2085-A-1: 我々は従業員所有の民間警備会社だ。平たく言えば、何でもする。セキュリティ、配達、バースデーパーティー…

██████研究員: バースデーパーティー?

SCP-2085-A-1: 話せば長い。

██████研究員: そのようですね。いずれかについて詳しく説明してもらえますか?

SCP-2085-A-1: 断る。率直に言おう:我々のお互いの組織はどうひいき目に見ても法的に怪しいところがある。これは明らかだ、否定はできない。お前たちは私たちを信用しないだろうし、私たちもお前たちを信用するつもりはない。そのことを考えてそれぞれ別の道を行くのが我々にとって最良だろう。

██████研究員: いまのところそんなことになるとは思えませんが。

SCP-2085-A-1: 好きにしろ。

2013年██月██日に記録されたインタビュー

<記録開始>

██████研究員: 話してくれてありがとうございます、A-1。

SCP-2085-A-1: 感謝するにはまだ早いぞ。魔法使いが何かしようとしている。

██████研究員: どうして分かるんですか?

SCP-2085-A-1: 我々がここに来て4ヶ月が経った。彼は同じ所に閉じ込められて変になってきている。お前はおそらくその徴候を見ることができるだろう。口数が少なくなり、質問を避け、苛立ち、部屋を歩き回り、うんざりしてきている。

[手を重ねる]

わかりやすく言おう。我々社員は多くの夢を持っている、魔法使いももちろんな。たくさんの金がかかる夢だ。金は座って待っているだけじゃ手に入らない。4ヶ月はとても、長すぎる。予定を狂わせ台無しにするには十分な長さだ。私は根気があるから、持久戦ができる。だが魔法使いはどうだ?彼がここに長く潜伏すればするほど、彼はムチャをやらかして脱出を企てようとするだろう。いまのところこれは間違いない。

██████研究員: 彼は何をすると思いますか?

SCP-2085-A-1: 何か馬鹿げたことをするだろうな。何かこう騒がしく、見え透いた、恐ろしく馬鹿げたことを。自分がすぐに痛い目に遭うようなことを。彼がああなったら、彼は他の人間に対してよりもむしろ彼自身に対して危険になるわ。

██████研究員: 彼の監視を強化します。

SCP-2085-A-1: ありがとう。それと、もしできれば、彼に我々が無事であることを伝えてほしい。あと、『クソジジイ』と。

██████研究員: なんですって?

SCP-2085-A-1: 何でもないわ。私達の間で通じる冗談よ。

<記録終了>

2014年██月██日: SCP-2085-A-1の証言の見直しとSCP-2085の挙動の観察により、サイト監督者██████████によってSCP-2085の監視の強化が承認された。

補遺-02: 以下の記録は2013年██月██日に記録された。

<記録開始>
██████研究員: SCP-2085、いくつか質問をしてよろしいですか?

SCP-2085: んっ?ああ。いいよ。いいとも。ちょっと待ってくれ。

[SCP-2085はバスローブと魔法使いの帽子を身につけ、インタビューウィンドウの椅子へ座った]

SCP-2085: はいどうぞ。質問を。

██████研究員: では。まずはじめに、よろしければあなたの来歴を教えていただけると嬉しいのですが: あなたのお名前、どこからお越しになったのか、そんな感じの基本的な情報を。

SCP-2085: うーん…俺は宇宙の魔法使い。宇宙から来た。

██████研究員: それではあまり参考になりませんよ、SCP-2085。

SCP-2085: いいかい、そんなことは重要じゃないんだ。俺は何処にでもいる平凡な奴だ。もしお隣の山田太郎さんと名無篠権兵衛さんがゲイカップルになって貰い子をしたとして、俺の名前は明日の朝刊に載ったりしねえぞ。

██████研究員: そうですか。そうでしたら、あなたのアシスタントについて教えていただけると嬉しいのですが。

SCP-2085: ああ、あの娘たち?いい娘たちだろう?あなたは俺が彼女らを捕まえたという事実を信じないだろうがね。あの時、モスクワで――

██████研究員: それはまたの機会にしましょう。私達はあなたがどうやって彼女らに会ったのかに興味があります。

SCP-2085: [ため息]あれは面白い話だ。あの時、俺の人生はどん底だった。走り回って、こいつを修理して[胸をつつく]、何か理由があるのかとか、あるいはただ諦めて死ぬべきなのかどうか、とか考えてた。凄くきな臭い奴らから貰ったインプラントで辛うじて生き長らえてた。奴らの一人が、大人のおもちゃを欲しがるマッチョか金持ちな変態を欲しがる会社重役のために特別な仕事を作ったことを明かした。俺はクリニックに行って新しいパーツを手に入れて、導入に入ろうとしたら、ドカーン!デカい爆発とあの5人が銃を乱射しながら割り込んできた。胸を半分開けたまま走り始めた、そりゃお前アサルトライフル持った6フィート4インチで210ポンドの日本女が壁を破ってきたら逃げるだろ。この後から数多くの悪ふざけが始まった、俺達が会って、別れて、また会って、奴のビジネスパートナーに撃たれて、撃ち返して、お互いの命を何度も救って、[小声]大体のところ俺のほうが助けられたがな[小声終わり]、ボートを盗んで日本から高飛びしたのさ。

国を出て初めての夜、ボートの上で俺たちは手早くブラックラビット社の憲章を作った。これはあいつらの考えだ、俺は単に逞しい美貌と天性のカリスマを持っていたせいで経営の顔として祭り上げられただけなのさ。荒事はできそうになかった。それはいいんだ、いろんな内容を詰めていったら、触発された。一生に一度の人生を変えるような刺激を受けた。あいつらはクソみたいに降りかかってきた人生と戦っていた。俺にもできる。だからやった。俺は胸に出来た恐ろしい癌で死ぬような男じゃなかった。俺は宇宙の魔法使いだった。

[小休止]

それからずっと俺達は仲良くやっているんだ。あいつら無しでいるなんて考えられないよ。もしかしたら死ぬことになるかも。あいつらをきちんと扱ったほうがいいぞ。

██████研究員: そのようにしております。

SCP-2085: よし。

██████研究員: あなたの体内に棲んでいる存在について教えて頂けませんか。

SCP-2085: ああ。Redのことか。長い話になるぞ。

██████研究員: 時間ならあります。

SCP-2085: とりあえず短く行こうと思う。要するに、このバケモノ、Red、こいつは俺の反対の存在だ。俺の邪悪なる分身。何年か前の冬に隕石に乗って落ちてきた。希望は持ってないし、夢を見る余地はないし、まとわりついてじっとするだけだ。Redには絶望しかなくて、こいつは皆が希望や夢を持ったりすると、それを憎むんだ。それだけ。

██████研究員: うーん。最後に1つだけ聞かせてください: どうしてそのコスチュームなんですか?

SCP-2085: これ?簡単な事だ。こいつはシンボル。スーパーヒーローのな。これがあれば皆信用しやすくなる、だって大体の場合シンボルやアイコンは信用しやすいからな。世界は人間を互いに信用させようとしない、だからシンボルで間に合わせなくちゃ。

例えば、遊び場でごっこ遊びをしている子どもたちを見てみろよ。あいつらは世界を見て、外を見て、そして「ノー、世界のクソッタレ、俺は何かを素晴らしくしてやる、何か素晴らしいものになってやる」って思うのさ。あいつらは宇宙の魔法使いやサイボーグ猫耳少女を笑ったりしない、なぜならあいつらは宇宙の魔法使いやサイボーグ猫耳少女になりたがるからさ。あいつらは宇宙船を作って月に行こうとするだろうし、その邪魔をさせたりはしないだろう。でもあいつらが大きくなると、世界は壊れた夢で出来上がっていることを知ってしまうんだ。あいつらはハグルマの一部となるために自分の夢を世界に与えて、世界はあいつらにハコを組み立てるよう言うんだ。あいつらは死ぬまでハコの中に張り付いて座して死を待ち、ハコはこの宇宙が終わるまで在り続けるのさ。まさにこのハコこそが、あの娘たちが戦っている相手なのさ。このハコこそが、俺が戦っている相手なのさ。俺は残りの世界が成れるものになり、残りの世界ができることをし、皆の夢を取り戻し、皆に返すつもりだ。もしそのために俺たちが手を汚さなくちゃいけないってんなら、それでよし。世界は汚いし、俺達が何か素晴らしいことを成し遂げるまで闘わなくちゃいけない。俺達は、世界に、ハコの中で生きていかないということを思い出させてやるんだ。

<記録終わり>

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