SCP-211-JP
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アイテム番号: SCP-211-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-211-JP-1の特性上、収容施設は本オブジェクトの周囲に建設されています。実験以外においてSCP-211-JP-1の周囲に立ち入ることは禁止されています。一般人が当該収容地域に侵入した際はカバーストーリー「水質検査」の適用によって内部への侵入を防いでください。SCP-211-JP-1内部に物体が出現した場合は速やかにセキュリティクラス3以上の職員へ報告してください。

説明: SCP-211-JP-1は██県の██山に存在する、およそ2000ℓの地熱による温泉と見られる液体です。水温はおよそ42℃で、水質検査の結果では一般的な飲料可能な水と同じ成分であることが判明しています。
SCP-211-JP-1内に"浸かった1"人間(以下、被験者と表記)は、およそ15分後に五感に異常な影響を受けます。被験者はこの時、自分の他に温泉に浸かっている人型の存在(以下、SCP-211-JP-2と表記)がいると認識します。また、被験者はSCP-211-JP-1について「非常に気持ち良い」、「ずっと浸かっていたい」といった感想を述べ、極度のリラックス状態の兆候を見せますが、自らの意思によってSCP-211-JP-1からの脱出が可能です。この状態から更に45分(被験者が入浴してから計1時間)が経過した場合、被験者は完全に消失します。この時被験者に取り付けられた機械類は破壊されるため、被験者の追跡は不可能です。
SCP-211-JP-2は、被験者のみが認識する存在で、特に人型が多いと報告されています。被験者からの報告によると、流暢な日本語を用いてコミュニケーションを行い、現在人類に対して敵対性は見られていません。SCP-211-JP-2の中には明らかな人外(猫や狐など)も見られますが、それらの存在も例外なく流暢な日本語を用いると報告されています。SCP-211-JP-2は日や時間帯によって出現する数が変動し、SCP-211-JP-2の存在が報告されなかった事例もあります。
SCP-211-JP-2の特徴についての報告は、以下を参照してください。また、これらの報告はあくまで被験者の主観に基づくものであり、確かな信頼性はないことに留意してください。

2-い: 尾が存在しない狐。多くのSCP-211-JP-2が発言をする直前に2-いの方を目視することが確認されている。
2-ろ: 鼻が非常に長く2、背中に白い翼が右翼のみ存在している男性。比較的饒舌であり、多くの場合、SCP-211-JP-2群を代表して被験者と会話を行う。
2-は: 頭部が2つ存在する黒色のイエネコ。いつも両方の頭に畳んだ布を乗せていると報告されているが、何の意図があるかは不明。
2-に: 左腕の肘部分が全て骨のような物質で構成されている細身の男性。肘部分へのかけ湯を頻繁におこなっている。
2-ほ: 赤い体をした、筋肉質の大柄な男性。被験者の見積もりでは身長はおよそ3mである。右のこめかみ部分から角と思われる物質が突出しており、右目から絶えず涙と思われる液体が分泌されている。
2-へ: 非常に長い舌を3つもつ、およそ1m程の背丈をした男性。時折2-ろの肌を舐めている様子が報告されている。
2-と: 舌が欠損している40代ほどの男性。未知の手段によって発声が可能であり、時おり俳句を詠んでいることが確認されている。

SCP-211-JP-2は頻繁に被験者に酒、饅頭、茹で卵などの飲食物を手渡し、口にするように勧めます。この時、被験者がそれらの飲食物を口にした場合、上記の1時間が経過した場合と同様に、被験者は完全に消失します。これらの摂取は被験者の意思によって拒否することが可能であり、口にしなかった場合でもそれに対してSCP-211-JP-2は異常な反応などは示しません。また、これらの飲食物そのものに人体への害は無く、Dクラスを用いた実験から、SCP-211-JP-1に浸かっている人物にのみ特殊な影響を与えることが判明しています。
被験者が影響を受けた状態でSCP-211-JP-1から脱出した場合、被験者はSCP-211-JP-2に関する記憶を失います。この時、被験者は自分がとても気持ちの良い温泉にただ浸かっていたと供述します。
SCP-211-JP-1の内容物を容器から取り除いた場合、通常の天然温泉に見られる噴出口が無いにも関わらず、内容量がおよそ2000ℓになるように未知の手段によってSCP-211-JP-1の内容物が増加します。また、容器から取り除いたSCP-211-JP-1の内容物に入浴した場合、特殊な影響はみられません。

██博士によって、SCP-211-JP-1に浸かった状態で筆記のメモを取ることにより、間接的なSCP-211-JP-2へのインタビューが実施されました。インタビュー記録については、下記を参照してください。

インタビュー記録

対象: SCP-211-JP-2(2-い,2-ろ,2-ほ)

インタビュアー: ██博士

付記: 本インタビューは筆記によって、██博士が記述したものである。

<記述開始>

2-ろ: む、また人の子か。[2-ろは被験者のために場所を空けたように見える]

██博士: ありがとうございます、いいお湯加減ですね。失礼ですがあなた方はどういった存在なのでしょうか?

2-ろ: どういった存在……か、お主らには我々が何に見える?

██博士: 私見を述べさせていただくと……表現が的確かは自信がありませんが、あなた方は妖怪の一種のように見えます。

2-ろ: [口元に笑みが浮かんだように見える]……そうか、それはよかった。

██博士: よかった?つまりあなた方は妖怪であるという認識で間違いないと?

2-い: ……あなたが我々を妖怪と思えば恐らく我々は妖怪ですし、神と崇めるならば我々は神なのでしょう。いずれにせよ今の我々はただ、湯を楽しむ老人に過ぎません。どうぞごゆっくり。

2-ほ: ……妖怪、か。[角を撫でる]

2-い: その愚痴はもう幾千と聞きましたよ、[判別不可能な言語]。

2-ほ: ……すまぬ。[被験者に対して酒瓶を差し出す]

██博士: いえ、今回は遠慮させていただきます。お心遣い感謝いたします。我々の他にも人間がこの湯に訪れたことは?

2-ろ: うむ、何度かあったぞ……だが皆帰ってしもうた。皆、我らと違って帰る場所があるのじゃろう。

██博士: あなた方には帰る場所が無い、と?

2-ろ: 強いて言うなれば……この湯が我らの帰る場所じゃて。今はいないが、じきに皆集まるじゃろう。

██博士: そうですか、ありがとうございましす。[20秒ほどの沈黙]……我々がこの地を訪れ、収容を行う以前にこの地を訪れ我々の世界から消失した人間もいました。彼らがどうなったかご存知でしょうか?

2-ろ: [目を伏せる]……我々が望むことは、間違っているのやもしれんな。

██博士: どういった意味でしょうか?

[SCP-211-JP-2群は口をつぐみ、回答を拒否しているように見える。]

██博士: ……では、あなた方が何か望むことはありませんか?可能な限りであれば、ご助力いたします。

2-ろ: [2-いの方向を見る]……お主らがこの地を収容したということは、もう人の子が訪ねてくることも無くなるのであろう。

██博士: はい、それが我々の成すべきことですから。

2-ろ: ……人を、人間を定期的にこの湯に入れてほしい。無論、ほんの短時間でいい。話をしてくれれば、いや聞いてくれるだけでもいい。いっそ寸刻でもいい。我々には、人間が、必要なのだ……頼む。

██博士: ……善処いたします。[時計を確認して]そろそろお暇させていただきます。インタビューへのご協力、ありがとうございました。お饅頭3をお一ついただいてもよろしいでしょうか?

2-ろ: うむ、持っていくといい。……またまみえる日を楽しみにしている。

██博士: ありがとうございます。

<記述終了>

終了報告書: インタビューにおいて、他にもSCP-211-JP-2の個体が存在することが判明しました。今後、SCP-211-JP-2と協力的な関係を築くため、そして情報を得るために定期的にSCP-211-JP-2と交流を行うことを推奨します。

SCP-211-JPは、SNSサイトにおいて「誰も辿り着くことのできない秘湯の名泉」として話題になっていたことが財団職員の目に留まり、発見及び収容に至りました。また、SNSサイトにおける話題の発端である書き込みのIPアドレスを解析し住所を参照した結果、示す座標はSCP-211-JP-1周辺地域のものであることが確認されました。

補遺-211-1: 20██/09/██、SCP-211-JP-1内に、一般的に日本酒に用いられるような酒瓶が出現しました。検査の結果、内容物は一般的な日本酒よりもアルコール度数は高いものの、成分は一般的な日本酒と変わらないことが判明しました。摂取したDクラスからは「少し癖は強いが、美味である」と報告されています。また、酒瓶には和紙と思われる物体に下記のメモが添付されていました。

 ヘ子ノ人 リヨ共妖

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