SCP-2146
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アイテム番号: SCP-2146

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在SCP-2146は一般にはDDUSAT-12の名称で知られており、表向きは財団フロント企業“スタンダード・コミュニケーション・プロダクション”の持株会社である“ディフェンス・デザイン・ユナイテッド”所有の通信衛星として記録されています1。その大きさと位置故に、対象の回収・収容は現時点では実行不能と見做されています2。SCP-2146の潜在的な収容違反の可能性を識別するため、機動部隊ミュー-19(“スター・ストラック”)が様々な天文学団体に秘密裏に潜入しています。SCP-2146を発見した人物には、状況に応じてクラスB記憶処理を施すか、評判を落として信用されないように取り計らいます。

SCP-2146-1と指定されている放送は、現時点では抑制不可能です3。しかしながら、この放送の内容は通常大いに無害であるため、脅威度は低いものと見做されます。放送を傍受し、仮に異常もしくは危険な内容が示され始めた場合はプロトコル変更の可能性もあります。通信制御を担当する政府機関への苦情も傍受されることになります。SCP-2146-1は前衛芸術運動家による海賊ラジオ局からの放送だというのが現在のカバーストーリーです。

説明: SCP-2146は現在、地球中軌道(MEO)上に位置するBalaena mysticetus(ホッキョククジラ)の成獣の凍結死骸です。軌道経路は146度の傾斜を有する円形(逆行軌道)であり、軌道周期は19.6時間です。

SCP-2146は体長17.5mであり、性別は現在不明ですが(大きさを考慮して)雌の可能性が統計的に高いと思われます。乾燥のため、推定重量は健康的な当該種族の1/3に相当する約30トンです。加えてSCP-2146は小規模天体の衝突によるかなりの腐食を被っており、身体には限られた熱交換と真空環境において典型的な放射線被曝による大きな罅割れがあります。

太陰月(29.5日)ごとに1度、SCP-2146はSCP-2146-1と指定される無線信号の放送を開始します。これらの放送は2.5~18分継続します。どのようにSCP-2146がこれらの信号を放送しているかは現在も分かっていません。望遠鏡による観察では、SCP-2146に無線対応機器が装着されている様子はありませんでした。

SCP-2146-1の内容および形式は、ドキュメンタリー・SFドラマ(主にスペースオペラ系)・子供向け番組・歌や誌など、大幅に変化します。放送は音声のみであり、全ての例においてSCP-2146-2と指定される実体が放送内容のナレーション・演技・歌唱などを行っています。他の声がSCP-2146-1放送に登場したことはまだありません。

SCP-2146-1放送はしばしば奇妙な、時として不穏な内容を含んでいます。しかしながら、SCP-2146-2は放送においては常に陽気でひょうきんな態度を取り続けます。SCP-2146-2は深みのある中年男性の声であるように思われ、英語・フランス語・ノルウェー語・ロシア語・イヌクティトゥト語などの数多くの言語で話すことが指摘されています。

SCP-2146-1放送にはもう一つ別の共通点があります ― 全ての例で、放送は宇宙に住むクジラ目の生物、通称“宇宙クジラ”を扱う内容です。ただし、この生物の特徴・生態・性格描写などは放送ごとに変化します。

SCP-2146が如何にして地球軌道上に位置するようになったかの情報は未だ明らかになっていません。ホッキョククジラが関与する打ち上げ、もしくは完全な状態のホッキョククジラを輸送できるようなサイズのロケットなどは、現在も財団に知られていません。

発見: SCP-2146は19██年、北半球の幾つかの先進国における民間人たちの苦情が財団分析担当官の目に留まった後、発見されました。これらの苦情は一般に通信制御を行っている官公庁に向けられたもので、常に奇妙かつ不穏な内容のラジオ番組が関与していました。後にSCP-2146-1と指定される無線信号の三角測量が行われ、発信源であるSCP-2146の位置が割り出されました。残念ながら、遠距離通信技術の開発と、それに続く無線送信および人工衛星の増加によって、SCP-2146とその送信の単離はますます困難を極めています。現在の収容プロトコルについては上記を参照してください。

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