SCP-216-JP
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SCP-216-JPの表紙のスキャン画像

アイテム番号: SCP-216-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-216-JPはサイト-8181の標準収容ロッカーに収容します。実験には複製物を使用してください。ただし複製物の作成にはサイト管理者の許可が必要です。許可された実験以外でSCP-216-JPの内容を閲覧することは禁止します。

説明: SCP-216-JPは20██年に民間企業から出版された自己啓発セミナーのパンフレットです。A5サイズ、全20ページのフルカラー印刷であり、中央でホチキス留めされた構造になっています。内容は一般的な自己啓発セミナーの宣伝冊子であり、冒頭の記事は次の文から始まります。

タブーなんてない!
やってはいけないことなんて存在しません!
何にでも挑戦することから、あなたの人生は始まるのです!

SCP-216-JPの特異性は、その冒頭の記事の内容を読んだ人物に発生します。SCP-216-JPを読んだ人物はその後の生活において、ある事柄を「やってはいけない」と考えた際に、「しかしやってみたい」という強い衝動に襲われるようになります。行動の結果として致命的なケガや社会的地位の損失、多大な損害などが予想される場合であっても、対象は衝動に抗うことができず「やってはいけないこと」を実行します。ただし衝動は突発的なものであり、外的要因に阻害された場合や、長期的計画が必要な場合は、達成前に衝動は消失します。衝動にかられた理由について対象は一様に「それがいいアイディアだと思った」、「そうすることが面白いと思った」など、強制的なものではなく肯定的な意思の元で行ったことを証言しています。影響は永続的であり、記憶処理は効果がありません。これはSCP-216-JPが対象の人格や性格に対する変化をもたらしていることを示唆しています。

SCP-216-JPは印刷部数と配布先の管理が徹底されていたため、正式に発行された全数を回収または破棄を確認することに成功しました。また聞き取り調査の結果、管理外の複製も作成されていませんでした。通常、このような配布物は全数の回収が大変困難であり、本件は非常に稀で幸運な事例であったことに留意してください。

SCP-216-JPを出版した██████社の出版責任者はSCP-216-JPの内容を読んでおらず、執筆は外部のフリーライターに「ネガティブなやつらがポジティブになれる、死ぬほど面白い記事を書いておけ」と依頼したと供述しています。フリーライターは現在所在不明です。記事の協賛として"Entertainment & Enterprise"(E&E)社の名前が記載されており、SCP-092-JPなどとの関連性を含めた調査が継続中です。記事の末尾には、E&E社の次のコメントが掲載されています。

一度きりの人生、楽しまなきゃ損じゃない? レッツ エキサイティング!

事故事例216-JP-1 20██/██/██

対象: セミナー参加者 35歳 会社員
事例: 職場にて上司の喉をボールペンで刺突し重傷を負わせた。
結果: 社会的地位と財産を喪失。「いつかやってやりたかったが、ついつい本当にやってしまった」と供述。

事故事例216-JP-2 20██/██/██

対象: セミナー参加者の家族 17歳 高校生
事例: [編集済、社会通念上問題のある行為]を友人に撮影させ、写真をインターネット上に公開
結果: 個人情報の漏出および就職の内定取り消し。「面白いと思いウケ狙いでやった」と供述。

事故事例216-JP-3 20██/██/██

対象: セミナー参加者 42歳 無職
事例: 自身の右目を包丁で摘出。
結果: 右目失明。「新しい人生が見つかるかと思った」と供述。

実験ログ216-JP-1 20██/██/██

対象: Dクラス職員 D-216-JP-1
方法: SCP-216-JPの白黒コピーに曝露させる。
結果: SCP-216-JPの影響は現れなかった。
分析: 文章ではなくカラー情報を含めた記事そのものに特異性があることが判明。

実験ログ216-JP-2 20██/██/██

対象: Dクラス職員 D-216-JP-1
方法: SCP-216-JPのカラーコピーに曝露させる。
結果: SCP-216-JPの影響が発現。
分析: カラーコピーでSCP-216-JPは拡散する。複製の作成は厳密に管理すること。

実験ログ216-JP-3 20██/██/██

対象: Dクラス職員 D-216-JP-1
方法: 実験室の換気口を示し「その換気口は外部に通じているが、脱走しようとした場合、直ちに射殺する」と伝える。
結果: 数秒の思案の後、換気口へ向かって走り出した。停止命令には従わなかったが、換気口の格子が破壊不能だと知ると逃走を諦めた。その後のインタビューでは「可能性があるならばやってみる価値はあると思ったが、やはり無理だと考え直した」と供述。
分析: 衝動は一時的なものであり、数分間対象を拘束することで行動を抑止できる。

事故事例216-JP-█ 20██/██/██

対象: Dクラス職員 D-216-JP-1
事例: サイト-8181の男性用トイレにて[編集済]
結果: 溺死。蘇生失敗によりインタビュー不可。
補足: おそらくまた「死ぬかもしれないがやってみる価値はある」と考えたのだろう。被験者は実験終了後も監視を怠らないよう措置を講ずること。

事故事例216-JP-█ 20██/██/██

対象: 財団職員 ██研究員。実験中にSCP-216-JPを取り落とし、拾おうとした際に曝露。
事例: SCP-███-JPを解放。
結果: 収容違反により職員3名が死亡、12名が負傷。██研究員は右足切断、左手全指欠損、内臓一部損傷、その他負傷箇所多数。「それが財団のためになると思って…いや、それは嘘だ。そんなことを実際にやったらどうなってしまうのだろうと、ただワクワクしてやった」と供述。

事故事例216-JP-█ 20██/██/██

対象: 財団職員 ██研究員。財団病院施設に入院中。
事例: 病室からの逃走を試みた。
結果: 関節をはずし骨を砕くことで安全帯(拘束具を兼ねる)から脱出。脚部を太さ6cmのひも状にねじることで換気ダクト内に侵入し、腹部まで侵入した時点で内臓破裂により死亡。発見時の██研究員の全長は3mに達していた。

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