SCP-2163
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アイテム番号: SCP-2163

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2163はその規模・地理的分布・現代の人間文化において占めている位置ゆえに物理的な収容が不可能です。代わりとして、収容はSCP-2163によって生成された認識災害の早期発見と無力化を重視します。

SCP-2163が新たなコンテンツを生み出す割合のため、完全に人間が検査することは不可能です。代わりに自動化されたWATCHDOGシステムが、SCP-2163が生成したメディアを分析し、SCP-2163から発生する大半の認識災害に共通する特徴を検出します1。最もリスクが高いメディアに対する手動検査と組み合わせることによって、このシステムは約94%の成功率を有しています。この手法で検出された認識災害を封じ込めする際は、標準的隔離手順が実行されます。回収された認識災害はSCP-2163のサブ名称の下に文書記録されます。

検出率改善のために、世界オカルト連合と検出統計の相互共有を行うことが承認されました。前月の検出統計情報は、各月の終わりに交換する必要があります。この目的のために特別連絡員枠が設けられています。

SCP-2163認識災害の広範な流布が発生した場合、プロトコル・ブラックアウトの完全もしくは部分的実行が認可されます。プロトコル・ブラックアウトが有効である間、クリアランスL4/2163以上の全職員は、暫定核行使権限を付与されます。

説明: SCP-2163は、業界関係者の多くが伝統的に位置している地域の名を取って、換喩的に“ハリウッド”と呼ばれている北アメリカの映画産業です。SCP-2163は認識災害の最大の発生源の一つであり、年間300件以上の認識災害を生成しています2。これらの認識災害は概ね意図せずして生成されており、通常の映画撮影の過程で偶然生じています3

これら認識災害は、形態と効果が著しく異なりますが、多くが共有している幾つかの特徴があります。即ち、

  • SCP-2163によって生成された全ての認識災害は、程度の差はあれ、伝達性です。
  • 視覚的な認識災害には、多くの場合、明るさ・コントラスト・色の急激な変化が含まれています。大半は映画中において5秒未満の短いフレームです。ごく稀に静止画もあります。
  • 聴覚的な認識災害には、人間の声が殆ど含まれません。大半は弦楽器および/または合成音を含む短く反復的な音楽によります。人間の声が含まれるものは、通常、それに応じて視聴者の行動を変化させます。
  • 情報災害は稀です。仮に発生した場合は、対話・独白・ナレーションの形式をとることが多いです。これらは自動的に検出することが最も困難であり、多くの場合、最も危険です。

SCP-2163(および類似の大規模な認識災害生成源)を無力化する安全な手法についての研究は進行中です。現時点では、大規模な文化的変革を生じさせることなく無力化するのは不可能です。この事態は、認識災害発生の検出率が12%以上になった場合、許容可能であると見做されています。

補遺2163-1: SCP-2163-1995-201、SCP-2163-2005-058、およびSCP-2163-2013-166の文書記録が以下に掲載されています。これらはSCP-2163によって生成された認識災害の代表と考えられています。他のSCP-2163認識災害の文書記録へのアクセスは、クリアランスレベルによっては制限される可能性があります。

アイテム番号: SCP-2163-1995-201

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2163-1995-201は、一般的なSafeクラス伝達型認識災害の標準的収容プロトコルを用いて収容されています。

説明: SCP-2163-1995-201は、映画『トイ・ストーリー』における60フレームです(標準再生速度で2.5秒)。認識災害は画面の右上隅に位置し、あるキャラクターの身振りによる一連の色や明るさの急激な変化で構成されています。この認識災害は、視認した人物に、自分は知覚力を持つ子供の玩具であると信じ込ませます。この妄想の影響を受けた人物は、影響されていない者が存在する場では、自発的な筋肉の動きを停止します。

製造時にアニメーション・チームのメンバー数名が影響を受けた後、SCP-2163-1995-201は財団エージェントに回収されました。これらの人物は記憶処理による治療に成功しました。影響を受けていない製作スタッフは、秘密を保持するために記憶処理が施されました。

アイテム番号: SCP-2163-2005-058

オブジェクトクラス: Safe、付随する個体はEuclid

特別収容プロトコル: SCP-2163-2005-058は、一般的なSafeクラス伝達型認識災害の標準的収容プロトコルを用いて収容されています。

SCP-2163-2005-058の影響を受けた人物は、非異常人間の収容ガイドラインに従って、標準的なヒト型生物収容室に収容します。

説明: SCP-2163-2005-058は、ドキュメンタリー映画『皇帝ペンギン』英語版の冒頭ナレーションです。ナレーションを聞くことにより、聴取者には強烈な“渡り”の本能が引き起こされます。影響された全人物は、最も近い地理的な極に向かって移動する願望を表明します。移動を防止すると、これらの人物は拘留者に対して徐々に敵対的になり、多くの場合は脱出しようと暴力に訴えます。記憶処理による治療はこれまで成功しておらず、影響者の無期限収容が必要とされています。

SCP-2163-2005-058は公開前に財団エージェントによって回収されました。映画の製造に関与した人々には記憶処理が施され、新たなナレーションが収録されました。それなりに著名な人物を収容する際の標準的プロトコルに則り、SCP-2163-2005-058によって影響を受けた人物は遡及的に可能な限り公共の記録から削除され、そうでない場合は置換されました。

アイテム番号: SCP-2163-2013-166

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: N/A

説明: SCP-2163-2013-166は、ドキュメンタリー映画『ブラックフィッシュ』の全要素です。この映画は遅れて作用してくる認識災害であり、影響を受けた者に、魚の味に対する憎悪を植え付けます。治療せずに放置した場合、影響者は魚や魚風味の食品を摂取することを止め、他の人物に対してもそうするように積極的に奨励し始めます。

SCP-2163-2013-166は財団とGOCの監視システムによる検出を両方とも回避し、結果として一般に公開・普及しました。存在が発見された後、世界的な漁業の破綻を阻止する接種ミームを開発するために、財団とGOCの合同研究グループが設立されました。このミームは、その後、財団のフロント企業の広告を経由して配布されました。 既にSCP-2163-2013-166によって影響を受けた人々を治療するために、“オペレーション・フィッシュフード”のコードネームの下に大規模記憶処理活動が行われました。この活動は成功と見做されていますが、終結前に発生した逸失利益は████████米ドルに上りました。

これらの出来事をきっかけに、WATCHDOGの検出アルゴリズムは、同様の事案再発の可能性を低減するように変更されました。これらの変更の正確な性質は、クリアランスL3/WATCHDOG以上に制限されています。

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