特別収容プロトコル
SCP-2183-JPは低脅威度物品収容ケースに保管されています。財団運営botによる潜在的SCP-2183-JP及びその服用者の所在特定を継続しており、発見した場合には適宜回収・情報収集の後に関係者に対して記憶処理を施します。
回収、または実験により作成したSCP-2183-JP-Aは成長程度に対応した標準ヒト型収容室に収容され、長期間の観察下に置かれます。
説明
SCP-2183-JPは、ヒト体細胞の異常な発生及び分化を引き起こす楕円形の錠剤です。錠剤の大きさは長径12.5mm、短径7mm、厚さ5.5mmで、外観的特徴としては片面のみに割線が入っている点が挙げられます。組成要素は結晶セルロースを中心に、有効成分と推定される微量のプロゲステロン及びエストロゲンの他、由来不明のヒト精子を含有しています。
SCP-2183-JPの異常性は、ヒト女性(Homo sapiens)が膣内に挿入して服用した場合に段階的に発現します。初期においては、服用者の子宮内膜を生理周期に関係なく肥厚させ、また、強制的な排卵並びに卵細胞の細胞分裂及び子宮内への移動を促します。卵細胞が子宮内に到達した中期においては、卵細胞の細胞分裂は最盛期を迎えますが、通常の胎児としての形態を取らず、体組織の一部に分化します。発生する部位はランダムであり、現時点で頭頚部、肩を含む左右上腕、手を含む左右前腕、胸部、腹部、左右大腿、膝及び足を含む左右下腿の計11の部位の発生が確認されています。いずれの発生例も臍帯は接続されておらず、不明な原理で発生した酵素等により成長します。発生した体組織が十分に成熟した最終期においては、子宮が強く収縮して分娩が始まります。発生した体組織によっては産道内の閉塞を招くことがあるため、服用者に強い疼痛を生じさせることもありますが、多くの事例において分娩自体は滞りなく成功しています。
前述した一連の異常現象は、通常の胎児の体構造に相当する程度まで分娩に成功した体組織(SCP-2183-JP-Aと総称。)を服用者が収集する、または自身の子を欲する願望を明確に放棄するまで周期的に継続します。非活性化期間を考慮した上で、一周期当たり凡そ数ヶ月間として試算した結果により、SCP-2183-JP-Aの完全な収集まで5〜6年程度の時間を要するものと推定されています。
SCP-2183-JP-Aは、通常の未熟児に準拠した適切な環境下であれば問題なく生育できます。生育の間、本来必要とされる要素を欠いているにも関わらず、服用者を認識しているかのような含意的挙動を見せます。また、SCP-2183-JP-A主体に他のSCP-2183-JP-Aを接触させた場合、接触部分が即座に結合し、最終的に機能上問題のない形で融合します。SCP-2183-JP-Aの完全な収集及びヒト体構造に準拠する形での融合に成功した場合、その完全体は通常の胎児と相違ない様相で成長します。
SCP-2183-JPは主に同性愛者、不妊症患者等のオンラインコミュニティ内に流通しており、その潜在数は相当規模であると推測されていますが、強度の副作用及びSCP-2183-JP-Aの作成難易度を根拠として実際の服用者数は流通量に比例しないと評価されています。
補遺.2183.02
SCP-2183-JPに関する追加調査の結果、グリーン・スパロウ財団(Green Sparrow Foundation, GSF)2の関与が有意に疑われたため、起源情報を入手する目的で東アジア圏内における拠点の一つを襲撃しました。急襲作戦は滞りなく決行され、構成員3名の確保及び以下のファイルの獲得に成功しました。当該ファイルによれば、SCP-2183-JPには他にも異常性が存在する可能性があるため、現在は入手した情報の精査を優先事項としており、精査が完了次第、本報告書を適宜更新する予定です。