SCP-2254
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アイテム番号: SCP-2254

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2254はアラバマ州ファロンの町に収容されています。SCP-2254は物理実体を持たないために長期的な収容容器に居住させることが困難ですが、ファロンへのSCP-2254の隔離による曝露件数は、SCP-2254の持続的収容と引き換えに許容可能なものと見做されています。

現地の法執行機関に潜入している財団エージェントは、SCP-2254の関与から生じた異常な妊娠を識別し1、影響者の飲料水に許容可能量のミフェプリストンおよびプロスタグランジンを混入させて流産を誘発します。このプロトコルによって、SCP-2254の発見以来、SCP-2254-1個体の出現率は大幅に低下しています。

ブラックチューズデー・プロトコルの継続的な実施はSCP-2254の収容維持に不可欠です。

説明: SCP-2254はアラバマ州ファロンの町に収容されている敵対的かつ巨大な非実体存在です。SCP-2254は肉眼では見えず、赤外線カメラの使用を通してのみ視認可能です。SCP-2254の形状は大幅に歪んだヒト型であり、身長およそ12.8mで、著しく膨張した腕と6本の脚2、変形した首と顔面、肩までの長さの豊かな髪、激しく奇形化した生殖器3を特徴としています。SCP-2254の皮膚は暗い色合いで斑模様があり、SCP-2254の顔には縦一列で3個ずつ両側に並ぶ合計6個の目を除いては特徴が無く、鼻や口は欠落しています。SCP-2254に唯一存在する他の決定的な特徴は、額に焼き印で押されていると思しきハートマークの上にある“ J ”という文字のピクトグラムです。

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赤外線カメラで撮影されたSCP-2254の処理画像。

SCP-2254は認知改変によって人間の意思決定に影響を及ぼし、他の状況ではそのような衝動に駆られないであろう若い人間(典型的に20歳未満)の行動を操作して性行為を行わせることができるようです。これは影響者たちが半ば無意識で集合させられ、余情と性的興奮を高められた状態で性交する“夢幻状態”として表出することが報告されています4。これらの性行為は一般的には常に体内射精で終了しますが、SCP-2254の影響は催涙剤(催涙ガスなど)の使用やアンモニアの吸入によって妨害できます。性行為中にSCP-2254の影響範囲から連れ出された人物は通常、干渉者に対して若干の困惑と敵意を示しますが、これは時間と共に弱まります。影響者は問題の性行為に対して如何なる類の後悔も表明しませんが、これもまたSCP-2254の影響力の性質であるか否かは現在不明です。

SCP-2254は概してファロン近郊にあるリトルロック峡谷の滝から出現しますが、何ら規則的なパターンはありません。SCP-2254は自由に性的交流が可能である適切な年齢のターゲットが多く出歩いている夜に出現する傾向が強いと考えられていますが、これはまだ確証されていません。SCP-2254はターゲットたちの集まりに向かって歩きながら、場合によっては自らの進路上にいるターゲットを別なターゲットに向かって移動するように促し、より多数の人物を性行為に従事させようと試みます。

少なくとも1組のターゲットが1ヶ所に合流して性的交流を開始すると、SCP-2254はそのカップル(または集団)の高さまで顔を下げ、性行為が終了するまで瞬きせずに凝視し続けます。ごく稀に体内射精が発生しなかった場合、SCP-2254は暫くの間そのカップルの頭上に留まり、その間カップルは殆ど交流しません。ある程度時間が過ぎた後、SCP-2254は再び顔を下げ、カップルは性行為を再開します。2度目の性行為で体内射精が発生しなかった事例はありません。この形式による受胎の確率は通常と変わりませんが、母親がSCP-2254-1個体と指定される異常な胎児を妊娠する可能性は顕著に高くなっています(>68%)。

SCP-2254の影響で異常妊娠した人物は、SCP-2254-1胎児構造の急激な成長を経験し、また2254-1胎児は急速に非ヒト的特徴を帯びます。これらの胎児の遺伝的構成はどちらの親とも完全には一致せず、代わりに仮説上の原人や初期のヒト先祖に強く類似します。さらにSCP-2254-1個体の多くはSCP-2254と同じ奇形の特徴を有しています。成長するにつれて、SCP-2254-1個体は次第により多くの栄養を母親から吸収し始め、母親を飢餓状態にしながら自らの急成長を促進します。これにも拘らず、SCP-2254-1個体は生みの母親の認識に悪影響を及ぼすため、母親は例え内側から貪られている状態でもSCP-2254-1個体を精力的に保護しようとします。

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解剖中のSCP-2254-1個体。推定年齢は受胎後8日。

SCP-2254-1個体は通常生まれる前に母親を殺すことはありませんが、出産時には著しい被害を及ぼし、母親を膣管からの失血で死に至らしめる場合があります。母親を疲労させ、極端な栄養失調状態にする懐胎と出産の過程にも拘らず、影響された母親は概してSCP-2254-1個体の異常性質を認識できず、正常な人間の新生児であるかのように母乳育児などの世話を行います。SCP-2254-1個体は著しい性的暴力性を有しており、母親と共にいる時に自らへの干渉を試みるあらゆる生物を強姦し、永続的障害を負わせ、消費しようと試みます。

母親は死亡(典型的には深刻な栄養失調か心臓発作)するか、SCP-2254-1個体(通常2~3体同時に生まれる)が成熟するまで母乳育児を継続します。母親が死亡した場合、SCP-2254-1個体は死体を消費してから失踪し、廃墟・森林・廃品置き場などの雨風を凌げる近隣領域に棲みつきます。未収容のSCP-2254-1個体群は、過去15年間に報告された性的暴行死事件のうち少なくとも30件の原因だと考えられています。

補遺2254.1: 発見

SCP-2254は、アラバマ州フォートパイン在住のアマチュア写真家が赤外線カメラレンズを通して偶然SCP-2254の映像を捉えた際に発見されました。財団資産が速やかに町の境界線を確保し、その後4ヶ月間に及ぶ研究と調査が始まりました。これによってSCP-2254は通常の手法では収容できないと断定されました。やがて、SCP-2254が最近転居した町民の後を追ってアラバマ州バーミンガム市へ移動する事案が発生した後、影響者がファロンの外部へ移動することを阻止するためのプログラムが実施されました。更なる情報は補遺2254.2を参照してください。

補遺2254.2: ブラックチューズデー・プロトコル

ブラックチューズデー・プロトコルは、意図的かつ効果的にアラバマ州ファロンの地域経済を抑圧することによって、地元住民を制御されたSCP-2254の影響下に留め続けるために確立されました。ブラックチューズデー・プロトコルは5つの中核要素から成ります。

  1. 地元の学校やその他教育プログラムへの支出を州レベルで削減する
  2. 住民が都会生活を美化、賛美するメディアを見る機会を減らす
  3. 住民がヘロインなどの麻薬を使用する機会を増やす
  4. アルコールとタバコの値下げ
  5. 家族の年長者が育児に専念し、より若い家族は自由に出産を続けるという家族構造に重きを置く、福音派キリスト教の“家族第一”原則を強く奨励する

ブラックチューズデー・プロトコルはまた、既に町内には住んでおらず、時折SCP-2254から訪問されている元ファロン住民の女性5名への継続的な処置についても規定しています。これら16~29歳の女性たち全員の飲料水には、妊娠を抑制するために、前述したミフェプリストンとプロスタグランジンの混合物が混入されています。彼女らはこの処置を自覚しておらず、子供を妊娠できないことがメンタルヘルスへの著しい負担となっていますが、このプロトコルは彼女らがSCP-2254-1個体を妊娠する可能性を大幅に下げ、ファロンの外で生まれるSCP-2254-1個体の数を0まで減少させました。

補遺2254.3: インタビュー

以下は、調査ジャーナリストを装ったエージェント ラミエールによる、地元住民の女性ケイト・バーネットへのインタビューです。特筆すべき事に、バーネット夫人はSCP-2254の影響によって異常な妊娠を2回経験しています。最初の妊娠では2体のSCP-2254-1個体が生まれています。2度目の妊娠では、現行の収容対策の結果としてSCP-2254-1個体は捕捉、終了されました。

[記録開始]

エージェント ラミエール: (沈黙) …よし、録音を始めました。応じていただき感謝します、ええと…?

バーネット夫人: あ、ケイトで構いません。ケイト・バーネット。旧姓はケイト・フォーレストですけれど。

エージェント ラミエール: 成程、了解しました。それでですね、以前お電話した時、私はあなたの医療記録について幾つか質問しました。

バーネット夫人: 赤ちゃんたちのことですね。

エージェント ラミエール: そうです。何人のお子さんを産んだと仰いましたっけ?

バーネット夫人: ええと、まずダニエル5でしょう、それとバブ6と、双子7と、まだ赤ちゃんのうちに死んでしまったジューン8です。もう1人妊娠していましたが、その子は結局生まれませんでした9

エージェント ラミエール: ああ、ありがとう。双子について何か不思議な点が無かったかどうかを教えていただけませんか? 妊娠した時に起きた奇妙な何かとか。

バーネット夫人: あの子たちの父親のことでしょうか。全く良い所の無い人でした。ある夜、私たちは酔った挙句に馬鹿な真似をして、私が妊娠すると彼は逃げたんです10。子供と関わり合いたくなかったんですよ。あの時ジャックがいなければ墜ろしていたかもしれません。

エージェント ラミエール: ジャック?

バーネット夫人: ええ。ジャックは精一杯2人の父として頑張ってくれました。その方が良かったんです、彼はメイソンなんかよりずっと良い父親ですからね。

エージェント ラミエール: ジャックとは誰ですか?

バーネット夫人: 彼は- (躊躇う) あなたはこれまで、夢で何かを見て、その後に実際の生活の中でもそれを見て、その2つが同じ物だって分かった経験はありますか? ジャックはそういう人です。彼はメイソンに妊娠させられた夜に私の下に来ました、ブロンドの髪に素敵な目をした可愛らしい人です。女性への正しい接し方を分かってます。私がメイソンに捨てられた、彼に妊娠させられたらしいと話すと、ジャックは心配しなくていいと言いました。自分がここに居て色々と世話をするって。

エージェント ラミエール: 何故妊娠したと分かったのですか?

バーネット夫人: ああ、母親の勘ですよ。時々ただ分かることってあるでしょう。私も、ジャックもそれを知っていました。でも彼は、何もかも問題無い、自分が赤ちゃんたちの面倒を見ると言いました。

エージェント ラミエール: 成程。ジャックとはいつ頃から知り合いなのですか?

バーネット夫人: ええっと… 私がまだ幼い時期だったと思います。多分9年生11でダニエルを産んだ頃からですね。その後にジャックが来たんです。当時のジャックはそれほど話さなくて、私は彼にとって特別な女の子だと、あと暫くこの辺りにいるからとだけ言ってました。ダンが育っていた頃はあまり姿を見せませんでしたけど、双子が生まれた時と、流産した時にはここにいました。ああ- (鼻をすする) 彼はあの事をとても悲しんでました。私はひたすら泣いて、彼はただ私の手を取って「よしよし、大丈夫。君はまだ僕の特別なだよ」って言ってくれたんです。

エージェント ラミエール: ジャックを知っているのはあなただけなんですか?

バーネット夫人: うーん… そうは思いません。この辺りの女の子たちは全員ジャックと知り合いだと思います。彼、すごく優しく支えてくれるタイプですから。こう、母親になりたいっていうのがどういう気持ちかを理解して、何も問題ないように傍にいてくれるんですよね。そうは言っても、何人かの女の子にとっては、彼はただのジャックです。でも… (笑う) ここだけの話、彼は私だけのジャックですよ。

エージェント ラミエール: そうですか。他に何か付け加えたい事などありますか?

バーネット夫人: 特には。 (沈黙) あの、あなた事情通らしいのでお聞きしますね。これまでジャックの兄弟を見かけましたか?

エージェント ラミエール: 兄弟?

バーネット夫人: はい。確か名前は全員ジャックだったはずです、ほんの少し違ってる程度で。ジャックは彼らを怖がってます。私も怖いんですけど、会ったことはありません。ジャックの話しぶりを聞いてると、それだけで悪い人たちだって分かります。

エージェント ラミエール: 悪い? どう悪いんですか?

バーネット夫人: 分かりません。私が知ってるのは、ジャックがいつも微笑んでることです — 兄弟の話をする時以外はずっと。兄弟について話す時の彼は全然笑顔じゃありません。

[記録終了]

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