SCP-2279
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アイテム番号: SCP-2279

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 民間人の入店を防ぐために、偽装用の建設工事現場がSCP-2279の周囲に展開されています。SCP-2279の内部は監視カメラを通して確認されます。

財団の工作員のみがSCP-2279への入店を許可されます。Dクラス職員を用いた実験は、SCP-2279活性化の必要条件を断定するため、注意深く監視する必要があります。

説明: SCP-2279はテネシー州███████にあるペット販売店です。“ピープルズ・ペットショップ”THE PEOPLE'S PET SHOPという看板が建造物のドアの上に掲げられています。建造物には窓が無く、入口は正面ドアのみです。SCP-2279の内部には様々な家畜動物 (以下、SCP-2279-A) とヒト型実体群 (以下、SCP-2279-B) が存在します。

人間がSCP-2279の店内にいない時1、SCP-2279-A個体群はほぼ常に四肢欠損、顔面負傷、全身各所の感染性創傷といった何らかの重傷を負っています。SCP-2279の店内にいる間、これらの実体群は傷のために絶えず苦痛を感じているようです。時折、新しいSCP-2279-A個体が店内に出現します。SCP-2279-A個体群は一般的な手段で殺すことができません。

SCP-2279-B個体群は人間が入店しない限り出現しません。この時点で、SCP-2279-A個体群の傷は顕著に、もしくは完全に治癒したように見えます。SCP-2279に入店すると、次の2種類の事象のどちらかが発生します — 対象者は退出するまでSCP-2279-A及びSCP-2279-B個体群からほぼ無視されるか、1体のSCP-2279-B個体が対象者に接近し、ある特定のSCP-2279-A個体を大金または非常に個人的価値のある物と引き換えに購入するように促します。奨められた個体以外の動物を購入しようとすると抵抗に直面します。前者の状況はSCP-2279の発見後に財団が調査を試みるとほぼ毎回発生しており2、後者は通常、事情を知らない民間人が入店する時に発生します。SCP-2279の異常性の知識を持たない人物は、入店したいという若干の衝動を感じるようです。現時点では、この基準は不明です。

対象者が奨めを拒否した場合、そのSCP-2279-A個体を家に連れ帰ると了承するまで、SCP-2279-B個体群は物理的に対象者の退店を妨害します。これらの事例において、SCP-2279-B個体群は著しい体力と耐久性を発揮しました3

SCP-2279-A個体が対象者の住居へ連れて行かれると、異常事象が発生します。この事象は全5段階から成り、平均して11週間かけて進行します。

段階 購入後の経過時間 説明
第1段階 2週間未満 まだ対象者とSCP-2279-Aのどちらにも変わった様子は見られません。しかしながら、対象者はSCP-2279を退出した時点で死ぬことが不可能になります。
第2段階 2~6週間 SCP-2279-Aの軽微な傷が、往々にしてそれと分かる理由もなく、急速に悪化し始めます。負傷に気付いているか否かに関係なく、飼い主はSCP-2279-Aの体調を不安視する傾向を強めていきます。
第3段階 6~8週間 SCP-2279-Aの身体を覆う傷が治癒し始め、代わりに対象者に表出し始めます。対象者は多くの場合、SCP-2279-Aの健康状態が改善しているように見えることや、自らの健康状態が悪化しつつあることを認識しません。この時点から、対象者はSCP-2279-Aの世話をするために飲食や睡眠を控えるようになります。この苦悩や傷の表出は、対象者がSCP-2279-Aの姿を実際に見ることができない、またはSCP-2279-Aに関する知識を全く持たない状態でも発生します。
第4段階 8~10週間 この段階において、飼い主の体調は — 通常、筋肉の衰えが原因となって — 身動きが不可能になるまで悪化します。この間、SCP-2279-A個体の体調は、最初にSCP-2279を離れた時の様子よりも良い状態になるまで回復します。
第5段階 10~11週間 SCP-2279-Aは動けなくなった対象者を消費し、消失します。

インタビュー-2279-イータ: 2012/05/12、SCP-2279の観察継続とデータ収集を目的として財団エージェントが入店しました。この時点で、SCP-2279-Bへのインタビューは既に幾度か実施されていました。

回答者: SCP-2279-B-17

質問者: エージェント フレドリックス、エージェント ティモンズ

序: 財団プロトコルに従い、エージェント フレドリックスは実地経験を積ませる予定の新入財団工作員を同伴していた。問題の工作員はエージェント █████・ティモンズだった。

<記録開始>

フレドリックス: こんにちは、SCP-2279-B-17。

SCP-2279-B-17: おお、またあんたか。俺をいい加減“サム”と呼ぶのは、これまでの3回よりも気が進まねぇかい?

フレドリックス: B-17、その答えはもう君も分かっているはずだ。

SCP-2279-B-17: [大きな溜め息を吐き、エージェント ティモンズに気付く] おおーぅ、こいつは新顔じゃないか、えぇ? 第二のチャンスが巡り来る場所、ピープルズ・ペットショップへようこそ。どうやらお友達が欲しそうだな? 特にあんたのアパートは [長々と息を吐く] 近頃随分と静かになったろ、んん?

ティモンズ: え—

フレドリックス: [遮る] B-17、今話しているのは私のはずだ。だから—

SCP-2279-B-17: [遮る] うるせぇな、おい、新しく訊きてぇ事ができた訳でもあるめぇしよ。 [ティモンズに話しかける] さぁーて、良かったら… こいつを連れて行かねぇか? [エージェント ティモンズに1匹の三毛猫、以下SCP-2279-A-042を提示する。4]

ティモンズ: [SCP-2279-A-042を見つめる] む… 無理です…

SCP-2279-B-17: いやいや、お嬢ちゃん、無理なんて事ぁない。欲しくないか? こいつは心底あんたを求めてるようだぜ。

ティモンズ: やめてください… そんな… 私はそんなつもりじゃ…

フレドリックス: エージェント… [咳払いする] どうやら今回はそれを引き取るのが最善の選択肢のようだ。詳しくはサイトに戻ってから研究する。

ティモンズ: …はい、サー。

SCP-2279-B-17: [片眉を上げてエージェント ティモンズを直視し、微笑む] んじゃ、良い一日を。

<記録終了>

結: エージェント フレドリックス及びティモンズはSCP-2279-A-042をサイト-23へと護送した。SCP-2279-A-042は一時的収容チャンバー#242に収容され、エージェント フレドリックスはより詳細なアノマリー調査のためにエージェント ティモンズをインタビューへと護送した。インタビュー-2279-シータを参照。

インタビュー-2279-シータ:

回答者: エージェント ティモンズ

質問者: エージェント ハーモン

序: このインタビューは、インタビュー-2279-イータの事件の直後に実施された。

<記録開始>

ハーモン: エージェント ティモンズ、記録のために、今回のインタビューに至るまでの出来事を要約してほしい。

ティモンズ: [数秒の沈黙の後、話し始める。ゆっくりとした穏やかな話し方をしている] 私はエージェント フレドリックスと共にSCP-2279を調査していました。財団の工作員として実地経験を積むために同行したんです。私はアノマリーに関連する実体の1体から話しかけられ、アイリ— [言葉を切り、唾を飲み込む] SCP-2279-A-042を提示されました。現時点までに知られている全ての事例で、申し出を受け入れずにSCP-2279を立ち去ろうとした人物が苛烈な物理的抵抗に直面したことを踏まえて、実体の要求を呑むのが最善だと判断されました。SCP-2279-A-042は現在、一時的な収容室に収容されています。

ハーモン: ありがとう。それでだ、ティモンズ、その個体に見覚えがあるらしいね。

ティモンズ: はい。

ハーモン: 理由を教えてくれないか?

ティモンズ: [約5秒の沈黙] あの個体は、数ヶ月前に死んだペットのアイリーンに瓜二つです。

ハーモン: 成程。その猫はどういう風に死んだ?

ティモンズ: [約10秒の沈黙] 私の… 私の過ちです。新しい事、自分にとって楽しい事に挑戦しようと思って、ピザを作っていました。生地、チーズ、ペパロニ、そういうのを全部出した時に友人から電話があったんです、緊急事態だと。急いで駆けつけると、実はサプライズパーティーでした… ええ、私のための。当時の私が少し落ち込んでいたのに気付いて、これで元気を出してもらおうと思ったようです。実際、友人の思惑通りでした。でも私は時間を忘れて長い間居座ったので、結局そこで一泊することになりました。帰宅したら… もう… [唾を飲み込む] 生のパン生地が猫にとって毒だと知っていましたか? 私は知らなかった。知らなかったんです。私が… 見つけた時、あの子はクローゼットの中で丸くなっていて… そして… [声が先細りになる]

ハーモン: その事件の話はもう十分だろう。それ以前はしっかりペットの面倒を見ていたか?

ティモンズ: そうしようと努力しました。でも当時は苦労していて、日々を乗り切るだけで精一杯で… たまに、アイリーンに時間を割くべきだと思い出せない日もありました。世話を忘れた時があります。それに… [長く息を吸う] 餌をあげ忘れた時も。私は… あの子の良い飼い主でありたかったけれど、でも多分… [声が先細りになる]

ハーモン: 成程。ありがとう、エージェント ティモンズ。さて、君も既に承知しているだろうが、このアノマリーの性質上、残念ながら君を解放することはできない。我々がこれに対処する方法を見つけるまでの間、君は一時的な収容室に移されるだろう。

ティモンズ: 了解しました。ありがとうございます。

<記録終了>

結: エージェント ティモンズはこのインタビューの後、一時的ヒト型生物拘禁チャンバー#422に護送された。

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