SCP-231-JP-1についての実験報告書
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序文: 被験者がSCP-231-JP-1の影響を受けて変化する様子は現在のところは四段階に分けられていますが、第二段階以降の被験者の変化は非常に緩やかに進行します。また第二段階以降の被験者が変化する詳しい条件は現在のところ不明です。第三、第四段階の被験者は周囲にも影響を及ぼすため、被験者を第三段階以降に進める実験には相応の環境が必要です。実験環境が整っていない状況で被験者が第三段階まで進んだ場合は速やかに終了することが望ましいです。また第三段階以降に進んだ被験者にも寿命があると推測されていますが、老衰したマウスを用いた実験(参照:実験報告書231-█)から通常の寿命を遥かに超えて生存すると考えられます。

以下、SCP-231-JP-1の影響を受けて変化する被験者の様子を段階ごとに記載します。


第一段階: SCP-231-JP-1の影響を受けた被験者は、周囲の環境や被験者自身の状態に関係無く眠り始めます。この時の被験者の脳波を測定したところ、睡眠第2段階と同様の結果が得られました。被験者はSCP-231-JP-1の発する音に晒されている限り眠り続け、SCP-231-JP-1の影響が取り除かれない限り目を覚ましません。それ以外でSCP-231-JP-1の影響下にある被験者を目覚めさせる試みは現在のところ成功していません。睡眠中の被験者はリラックスした状態であり、食事など栄養や水分の摂取を行わないにも関わらず衰弱の様子は見られず、発汗や排泄なども行いません。被験者は睡眠に入った時の健康状態を維持し続けます。被験者はSCP-231-JP-1の非活性化と共に睡眠第1段階と同様の脳波パターンを見せ、10数分前後で完全に覚醒します。

覚醒した被験者は繰り返しSCP-231-JP-1の影響下での睡眠を得ようとします。その欲求は個人差はありますがSCP-231-JP-1の影響を受けた時間が長いほど強く、数秒から一時間程度では目立った影響はみられません。欲求が満たされない場合、被験者は精神的に不安定になり、激しい感情の発露がみられるようになります。また影響を受けていた時間は第二段階での経過時間も含まれます。この欲求や精神的な影響はSCP-231-JP-1の影響を完全に取り除かれた状態での時間経過によって徐々に解消されます。影響の解消を問わず、合計72時間以上SCP-231-JP-1の影響下で睡眠を続けた被験者は第二段階へ進行します。


第二段階: この段階の被験者はSCP-231-JP-1による催眠状態または睡眠時遊行症であると推測され、被験者はSCP-231-JP-1のゼンマイが切れると睡眠状態のままSCP-231-JP-1のゼンマイを巻きます。この時の被験者に脳波測定を行ったところ、わずかに高いδ波が検出された以外は通常のREM睡眠と同様でした。

この時SCP-231-JP-2が被験者が使用可能な場所に無い場合、SCP-231-JP-2は被験者の手元に瞬時に移動します。ゼンマイを巻くことが可能な被験者を拘束した場合、被験者は拘束を解くために肉体的に無理な行動を起こし、結果的に肉体を破損します。被験者がゼンマイを巻けない状態またはゼンマイを巻けない生物などの理由でSCP-231-JP-1の影響を30分前後受けなかった場合、被験者は覚醒し、第一段階へ戻ります。ゼンマイを巻き終えた被験者は、SCP-231-JP-1の音が聞こえる範囲内で可能な限りSCP-231-JP-1から離れ再び眠り始めます。


第三段階: この段階に移行するまで被験者によって第二段階からの経過時間に大きく差異があり、最短の記録で48時間24分、最長の記録で167時間49分です。よって被験者が声帯や舌などの発声器官または関節のクラッキングなどによってSCP-231-JP-1が稼働する音と正確に一致する音を発するようになった時点で第三段階に突入したと判断します。

第三段階に突入した被験者は周囲の物体と同化を始めます。被験者の身体は接触している箇所から徐々に接触している物体に置き変わり、接触している物体には血管と同質の有機的な細い管が伸びていきます。その管は触れている物体の性質を問わず「侵食」を行います。管を流れる液体は現存する生物のどの血液とも異なっており高いpH値を示します。またこの液体は被験者の種類や血液型を問わず同質のものです。また被験者の血液中には侵食された物体の成分が見られるようになることから、管は何らかの消費活動を行っていると推測されます。第三段階の被験者および侵食された部位に約3分以上接触した物体にも侵食が発生します。この侵食は被験者の心臓が循環させる血液量に依存していると推測され、被験者がヒトの場合、被験者から約█.█mを超えた侵食は第三段階では発生しません。また生きた生物とSCP-231-JP-1にも侵食は発生しません。

第三段階の被験者は外的な刺激に一切の反応を見せませんが、通常の生物と同様に終了させることは可能です。その場合、被験者の生物的な部分および有機的な管と液体は急速に腐敗します。管と液体は被験者との繋がりを断た場合も同様に腐敗します。第三段階へ進んだ被験者からSCP-231-JP-1の影響を取り除いた場合、被験者は急速に第四段階へ移行します。


第四段階: 被験者の身体に時計の文字盤が生じた時点で第四段階へ移行したと判断されます。また第四段階への変化は、第三段階でSCP-231-JP-1による影響を取り除かれた場合を除き、第二段階から第三段階へ移行する時間より長い時間が必要なことは判明しています。

この時点の被験者は、大部分の骨格と内臓を失い元々の姿を大幅に失っています。文字盤の発生した部位の内側には造血器官と推測される内臓の集合と筋肉で稼働する骨格が変形したと思われる石灰質の部品でできた機械構造が発生しています。この機械構造は被験者に生じた時計を稼働させると同時に、心臓に代わりポンプとして働きます。これらの構造によって侵食はさらに広範囲に広がります。被験者がする音はSCP-231-JP-1と同等になり、周囲にSCP-231-JP-1と同様の影響を及ぼします。

侵食が被験者からある程度離れた箇所まで行われると、管はその場の物体を消費して筋肉質の組織に包まれたポンプ構造とSCP-231-JP-1と同様の性質を持つ時計、造血器官と推測される内臓を作り侵食を広げていきます。

内臓または機械構造を破壊することで被験者を終了させることは可能です。しかし、被験者から離れて形成された機械構造を全て破壊しなければ侵食は止まりません。


備考: SCP-231-JPが元々あった廃墟で発見された遺骸には、風化では無い機械構造の稼働による激しい摩耗が発見されました。またこれらの大部分は骨組織以外のもので形成されており、それらは廃墟の建材と特定されました。実験で得られた被験者の遺骸からは実験期間の関係上、摩耗および骨組織以外の成分の発見は困難でしたが、被験者の体液中の成分がそれにあたると思われます。被験者は周囲の物質を用いて機械構造を修復すると推測されます。また被験者の寿命にも関わりがあるものと類推されます。


跋文: 現在のところ、これ以上の段階は確認されていません。しかし、被験者によって差異はあるものの段階を経過する時間は前段階より確実に増加する傾向にあります。もし第四段階以上の段階やさらに上の段階が存在するならば、これを観測する多大な時間とSCP-231-JPの侵食に耐え、かつ周囲に影響を与えない実験環境、研究者がSCP-231-JP-1の影響を受けない環境もしくは聴覚的にも精神的にも影響を受けない人員などが必要となります。SCP-231-JPおよびその被験者の研究は続けられるべきですが、被験者を第四段階以上に進める実験は相応の環境が得られるか、侵食やSCP-231-JP-1の影響を確実に抑制する方法が確立されるまで凍結されるべきです。

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