SCP-2333
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単離されたSCP-2333が形成した繊維状複合構造。

アイテム番号: SCP-2333

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 現在、15サンプルのSCP-2333が生物研究サイト-101に保管されています。SCP-2333はバイオセーフティレベル2の予防措置下で収容されなければなりません。感染した個人の隔離は最小限のもので十分です。封じ込め違反時には全てのサイト職員が感染の検査を受け、感染が発覚した対象は隔離されます。

SCP-2333-1はバイオセーフティレベル2の予防措置下の標準ヒト型生物封じ込めセルに収容されます。日に2回、標準的な食事が提供されます。2週間ごとに完全な医学的検査を行ってください。

現在、SCP-2333の研究はレベル3クリアランス以上の職員に制限されています。

説明: SCP-2333は一群の人工的なプリオン複合体です。感染力は極めて低く、確実な感染経路は神経組織への直接注入のみです。血中への注入では、20%のケースで感染が確認されています。

SCP-2333は神経細胞とミエリン鞘の周囲に繊維状複合構造を形成し、これによって神経細胞の発火と組織の再生が促進されるようです。この過程は非常に急速に進行し、早ければ12時間後には症状が現れ始めます。

曝露から症状発現までの時間が24時間を超えることはありません。感染の最初の兆候は、感情状態が非常に穏やかとなることです。急速な神経細胞の成長によって神経組織が再生し、あらゆる神経損傷や神経変性疾患が治癒します。感染は痛覚受容体の抑制も引き起こします。最後に、SCP-2333の感染者はもはや眠ることができず、疲労を訴えることもありません。数名の被験者の脳波波形分析では決定的な結論は得られませんでした。

初期感染から平均して7日後に神経組織におけるSCP-2333の密度は臨界点を超え、その刺激はメラトニンの大量分泌を促します。これは感染がステージ2へ移行したことの指標となります。感染者は眠気を催して内向的になり、ステージ2への移行から1時間以内に昏睡状態に陥ります。移行から平均して3時間で、感染者の神経活動は常に完全に停止します。

SCP-2333の感染者は死が迫っていることに本能的に気付いているようですが、一般的に肯定的な態度を維持します。ほとんどの感染者は家族や友人に別れを告げることを望み、脈絡のない様々な、時には無謀でもある行為に及ぶことがあります。感染者が有するいかなる慢性疾患も著しい軽快を見せ、完全に治癒したように見えるまでに至ります。

SCP-2333-1(以前はジョージ・S████医師)は39歳のヒスパニック系男性で、身長1.9メートル、体重およそ90キログラムです。SCP-2333-1は、SCP-2333への感染後にステージ2へ進行していない唯一の被験者です。これを書いている時点で、██ヶ月を越える封じ込め下にあってなお被験者の容体は悪化していません。被験者はSCP-2333の感染者と同様の態度を示しています。

SCP-2333-1は銃創に一致する重度の頭蓋骨骨折を示しています。SCP-2333-1の頭部のMRIスキャンでは、小脳に直径3ミリメートルと測定された小型の金属製物体の存在が示されました。被験者に神経障害の症状は存在しません。

20██年██月██日、SCP-2333は[編集済]に位置する[編集済]ホスピスケアから回収されました。この切欠は、施設に勤める5名の研究者が医学研究において異常な結果が得られたことを主張し、地元の警察に出頭したことです。財団職員は定期情報検査の際にこの事例を発見し、調査のためにエージェントが派遣されました。これにより、SCP-2333が[編集済]施設において緩和ケアに用いられていたことが発覚しました。関与した全ての研究員が拘留され、研究に関与しなかった全ての従業員はクラスB記憶処理を施されました。施設は現在、無期限の観察下に置かれています。

███████ █. ██████医師とフィリップ・D████医師は、協力の見返りとして雇用を与えられました。

補遺: 記録2333-1

以下は20██年██月██日から20██年██月██日までの███████ █. ██████医師の日誌です。██████医師はプロジェクト・ヘリオスの主任研究員でした。

██/██

今日、外部の奴らが現れ、我々は終に実験を始められることになった。人員がこんなに少ないのは少々驚きだが、文句を言うつもりはない。私は長年ここで働いてきたから、今が何かを主導する立場になる時なのだ。

明日、最初のサンプルで実験を始めようと思う。

[無関係なデータを除去]

██/██

フィルが今日もまた私と話したがっている。この研究の次の目的がお気に召さないそうだ。私は、これはお前の発見なんだから、いくらかの信用が得られたことを喜ぶべきだと教えてやった。だが、あいつが「ど阿呆」が研究主任になれたことに感謝すべきだ、とか言っていたのを見るに、どうやら喜んではいなかったようだ。

フィルはあんな簡単に怒る奴じゃなかった。彼には何か別の問題があるに違いない。

██/██

何でフィルが怒っているか分かった。彼はどうやら、寿命の延長は道徳上の観点から本質的に間違っていると考えているようだ。

これに関してはまさに彼と話をしようと思っていたところだが、彼が私を研究主任の立場から外すように要求していると聞いた。私は分別を保つつもりだったが、あいつがそんなことをするつもりなのなら、こちらもあいつの道徳は無視してやる。

ああ。道徳など捻じ曲げてしまえ。私は、大物になりたいと思ったら大物になるつもりだ。

██/██

今日から臨床試験が始まる。フィルはまだ怒っているがもう知ったことではない。

今、およそ20時間が経過したところだ。患者が起きてきてアラートを鳴らしている。一人にMRIをかけてみれば、正しく機能しているかどうか確認できるだろう。

██/██

奴め!サンプルに何かしやがったな!たった今、全ての患者が死んだ。奴がタンパクを弄ったとしか考えられない!

落ち着け。サンプルを取らないと。奴がやったということを証明するのだ。

██/██

フィルは2人の研究者を味方につけたと言ってきた。倫理規定違反を報告すると脅してきている。彼はさらに踏み込んでくるだろう。

私は以前使っていたネットワークにログインし、タンパクの構造情報を全て削除した。

私は外部研究員のスタンと話した。彼は、まだジョージに話していないのなら、これを終わらせる助けをすることに同意した。ジョージがまだ気づいていないのなら、外に漏れることは防げるだろうと。

██/██

私はジョージを撃った。

そんなつもりじゃなかった。スタンリーが銃を持ってきて、私はそれを持ってフィルに近づいた。私は彼を見て、お前は私の助けになろうとすべきだった、と伝えた。彼は突進し、それが発射されて。全て一瞬の出来事だった……

私は何も感じなかった。フィルの顔に衝撃が走ったのを見て彼も撃とうと思ったが、彼は私の後ろに駆け込んだ。

ジョージは血だまりの中でもがいていた。フィルと私はその上に屈み込んだ。フィルは叫んでいて、ジョージは呻いていた。

ジョージが目を開けるまでの時間は永遠のように感じた。彼は私を見て、よく聞こえない声で何が起こったのか尋ねてきた。我々は彼を助け起こし、自室に連れて行った。フィルは誰かが見つける前に床を掃除するように言っていた。

私はジョージがどうやって生き残ったのか分からない。私は彼の頭部を真後ろから撃ったのに、これを書いている今も彼は明晰な状態で話している。

私は床から血液サンプルを採取した。おそらくこの中に答えがあるだろう。

██/██

ジョージは昨日のことを何も覚えていない。

私はフィルと話し、彼は血液サンプルを調べるべきだと同意した。

どういうわけかジョージは実験中のタンパクに曝露していた。彼は後数日の命だろう。

フィルはこのことを他の研究員に伝えるべきだと言った。今回だけは私も同意した。

██/██

もう2週間が経つ。ジョージは完全な健康体だ。我々は、彼は死なないだろうと判断した。

我々は皆、やり過ぎたと悟った。

フィルは自室にずっと、印刷した文書のコピーを隠していた。ジョージが自分に何が起こったのか少なくとも理解できるように、我々はこれを彼に与えるつもりだ。彼が去ったら、我々は警察に出頭する。

補遺: インタビュー記録2333-3

次のインタビューはSCP-2333-1の回収直後に行われました。

回答者: SCP-2333-1

質問者: ██████研究員

<記録開始、2分16秒までを省略>

██████: つまりあなたが言うには、最初の目的は疼痛の軽減だったということなのですね?初期の実験ではこれをどのように達成したのですか?

SCP-2333-1: ええと、最初の実験はただの培養細胞で行いました。神経細胞を破壊せずに改変できるかどうか確認するだけでした。我々は数回の試行を経て正しいタンパクを仕上げ、それを使って始めました。かなり手際よく進んだと思います。

██████: 何か妙な結果は得られませんでしたか?

SCP-2333-1: 実際のところ、得られました。プリオンは培養細胞の一部をかなり丈夫なものに変えていました。熱や化学物質にも耐えて、成長もかなり速くなりました。個人的にはかなり驚きましたよ。

██████: それがプロジェクト・ヘリオスの目的が変化した時なのですか?

SCP-2333-1: 部分的には。我々が得たこれらの再生作用から、我々は何らかの神経変性疾患の症状を逆転できるかどうか試すのが良いだろうと結論づけました。

██████: 分かりました。それで、アルツハイマー病を発症するモデル動物での実験を始めたということなのですね?

SCP-2333-1: はい。私達はまさにアルツハイマー病のモデル動物を使いました。対照群のマウスは死にましたが、それを投与した被験体の症状は逆転して回復しました。

██████: この結果を受けて臨床試験が始まったと。

SCP-2333-1: この時ではありません。動物実験が終わる頃、我々はさらなる予期しない結果を得ていました。研究助手の一人があるバッチの調製に失敗していたことが分かったのですが、それでも被験体に悪影響は観察されなかったのです。実際のところ、被験体は通常の実験用ラットよりも健康でした。我々はいくつかの拡張実験を行い、そして、ええと、彼らは老化しないと分かりました。

██████: ……老化しない?

SCP-2333-1: 我々が採取した細胞サンプルの全てが生物学的に不死でした。細胞は自身を急速に修復して成長しました。生物学的に、それが老化することはありませんでした。

██████: でも、人間に対しては同様の作用を示さなかったと思うのですが。

SCP-2333-1: 確かに全く違う作用を持っていました。患者は1週間だけ起き続け、そして死にました。

██████: そして、このプリオンを一般の使用に供したのですか?

SCP-2333-1: うーん、そう思います。私の知る限りでは。

██████: 私はこの時点でプロジェクトが終了したと理解していますが、それで正しいですか?

SCP-2333-1: はい。

██████: その後に何か注目すべきことはありましたか?

SCP-2333-1: ええと、プロジェクト終了の数日後に自宅に戻るとき、研究員の一人が私に近づいてきました。

██████: 彼は何について話したかったのですか?

SCP-2333-1: そんなに多くのことを話したわけではありません。彼は私にホチキス留めした論文の束を手渡し、ここを離れる前に読んで欲しいと言いました。

██████: 内容は?

SCP-2333-1: 流し読みしただけですが、大部分はただプロジェクト・ヘリオスに関する文書でした。最後のページには手書きのメモが残されていました。

██████: 内容を覚えていますか?

SCP-2333-1: 「生きる権利と同様に、死ぬ権利は不可欠だ」

██████: まだ文書を持っていますか?

SCP-2333-1: いえ、燃やしてしまいました。家に着いた時に暖炉に投げ込んだんです。あまり時間が残されていないように、それよりももっと差し迫ってやるべきことがあるように感じたもので。私に後どのくらいの時間が残されているか分かりませんか?

██████: 何の時間ですか?

SCP-2333-1: 私が死ぬまで。

██████: 申し訳ありませんが、私には答えられないと思います。

SCP-2333-1: 大丈夫です。話してくれてありがとう、博士。

<記録終了>

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