SCP-2453-JP
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Foundation Collective
維持され続ける意識
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SCP-2453-JP。周囲の夢海に異常な変色が確認できる。

アイテム番号: SCP-2453-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 交渉による液体の放出停止が成功する可能性は極めて低い事から、現在エージェント・███より得られた内部環境を元に大規模な収容作戦が計画されています。

発生したSCP-2453-JP-Aは速やかに保護され、特別サイト-███において適切な管理状態に置かれます。

SCP-2453-JP-Aの肉体に発生する副次的影響は一般社会において明確に異常であると認識される類のものでないため、現実世界においては暫定的な措置としてカバーストーリー「非異常性の精神疾患」が用いられます。

説明: SCP-2453-JPは、夢界に存在する工場としての特徴を有した中規模のコレクティブです。その性質は排他的であり、財団及び複数のコレクティブによる接触の試みは現在まで失敗に終わっています。領域の南西には港が存在し、定期的な貨物船の往来が確認できます。確認されている船はいずれも所属が不明であり、追跡の試みは全て港の近辺に存在する濃霧地帯においてこれを見失う結果に終わっています。

SCP-2453-JPの外縁に配置されているパイプからは定期的に、不明な液体が夢海へと大量に放出されます。おそらくはこれに起因して、SCP-2453-JP周辺の夢海には異常な変性が発生しています。

補足資料:「夢海」に関する基礎的事項

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一般的な夢海。

夢世界における大部分を占める、"無意識の集合体"の事を一般に「夢海」と呼称します。夢海は現実世界の海洋と殆ど同じような形で存在しており、コレクティブは島/あるいは大陸として各地に点在しています。

全てのオネイロイは極めて未発達な段階で夢海よりコレクティブ ー 即ち陸地 ー に"漂流"しており、それ以前の記憶を有していません。この事から、オネイロイは夢海において無意識が何らかの要因により一つの知性として凝縮される事で誕生していると推測されています。誕生プロセスについて判明している情報は殆ど存在せず、唯一確実視されているのは有肉体性オネイロイに関して、このプロセスが生成されるオネイロイに対応する肉体の誕生と同時に発生しているという事実だけです。



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電球の形状を有するSCP-2453-JP-A。頭部に著しい湾曲が見られる。

SCP-2453-JP-Aは、前述の不明な液体により変性した夢海より漂流したオネイロイ群です。確認されている全SCP-2453-JP-Aの頭部は著しく湾曲しており、対応する肉体と共に常時重度の鬱状態にあります。

SCP-2453-JP-A及びその肉体の精神状態が一般的な精神疾患と明確に異なる点として、いかなる方法を用いてもポジティブな感情の発生を行う事が出来ないという事が挙げられます。具体的には、洗脳性ミーム・情報災害・認識改変・精神干渉等の異常な手段を用いた場合においてもSCP-2453-JP-A及びその肉体からポジティブな感情を発生させる事には成功しませんでした。ポジティブな感情の発生以外においては、SCP-2453-JP-Aはこれらの事象に耐性を有していません。

おそらくは夢海汚染の拡大に伴い、現在SCP-2453-JP-Aの増加速度は上昇傾向にあります。


SCP-2453-JP周辺のコレクティブよりSCP-2453-JP-Aの増加についての報告が行われた後、財団はSCP-2453-JPに対してオブジェクト指定を行いました。最初期に行われた排水の停止を求める交渉の試みは、いずれもSCP-2453-JP側の強固な現状維持の主張により失敗に終わりました。

交渉の失敗を受けた対策チームは、SCP-2453-JP内部の状況を把握するためエージェント・███をSCP-2453-JP内部に侵入させる事による偵察作戦を実行しました。エージェント・███はSCP-2453-JPへの上陸に成功しますが、施設内へ侵入する前に警備隊と接触し、結果的に拘束され昏睡状態に陥りました。

以下に、昏睡から覚醒した後エージェント・███が体験した事象の記録を記載します。当該記録はエージェント・███の精神とファウンデーション・コレクティブのホストサーバーの同期により、ホストサーバーに転送されていたエージェント・███の知覚情報を基に構成されたものです。

内部探査記録: 2453-JP


エージェント・███が昏睡から覚醒する。彼の両手足は麻紐のようなもので結び付けられており、自由に行動する事が出来ない。彼がいる場所は白い内壁の巨大な空間であり、1つだけ存在する銀色の扉を除いて設備は確認出来ない。空間には多くのオネイロイが同様に身体の自由を奪われた状態で存在しており、殆ど例外なく活力を失っている。

エージェント・███: (隣にいるプランターの形状を有したオネイロイに向かって) あの……

プランター: うん?なんだよ。

エージェント・███: 私は今目を覚ましたのですが、ここはどこですか?

プランター: (首をすぼめるように葉を動かして) 俺も知らないよ。まあもう知ったってきっとどうしようもないだろうな。

エージェント・███: どうしてですか?

プランター: 俺は借金どうしようも無くなって金貸にここ連れてこられたんだ。あんたも何かやらかしてここ来たんじゃ無いのか?

エージェント・███: [数秒の沈黙] まあそうですね、私も色々思い当たる節はあります。

プランター: 大方奴隷にでもされるんだろう。見ろよあそこ、汚れてやせ細ったガキが集まってるだろ?きっとスラムの孤児あたりだろうな、可哀想に。

外部より扉が開き、複数の白衣を着た人型の実体が空間内へと入ってくる。彼らは数体のオネイロイを立たせると、それらを連れて空間の外へと出て行く。扉が再び閉じる。

エージェント・███: 今のは?

プランター: 順番に少しずつ連れて行かれるんだよ。あんたは少なくとも俺が来る前から寝てたから、もうすぐじゃないか?

エージェント・███はその後複数のオネイロイに質問を行い、新たな情報の獲得を試みる。結果として、有意義な情報は得られなかった。

覚醒から6度目の扉の開放において、彼は数体のオネイロイと共に空間の外へと連れ出される。空間の外は無機質な廊下が続いており、しばらく歩いた後前方に先程と同様の銀色の扉が現れる。白衣の実体がドアを開け、内部を指差す。

エージェント・███: 入れって?

エージェント・███及び共に連れられていたオネイロイらは部屋の内部に入る。部屋の天井には巨大なアヒルの顔が存在し、床には排水溝のようなものが見られる。部屋の奥には銀色の扉が存在する。全てのオネイロイが部屋の内部に入ると、白衣の実体は外から扉を閉める。

扉が閉められて間もなく、アヒルの口より透明な液体が大量に放出される。降り注いだ液体は、エージェント・███らの衣服のみを溶解している。液体の放出は2分程度継続し、彼らは自身を縛る縄を除いて全裸になる。

液体の放出が終了すると同時に、白衣の実体が部屋内部に入ってくる。彼らは部屋の奥の扉を開けると、エージェント・███らを扉の先へ連れ出す。扉の先には先程と同様の廊下が続いており、しばらく歩いた後銀色の扉が現れる。白衣の実体は扉を開け、集団は内部へと入っていく。

扉の先には大量の触手で形成された穴が存在する。エージェント・███らの動揺・抵抗を無視し、白衣の実体は彼らを穴の内部へと突き落としていく。穴内部に悲鳴が反響する中彼らの体は触手により揉みしだかれながら落下していき、約1分後出口に到着する。出口の先には、銀色の扉が存在する。このプロセスを経て彼らの体は、完全に洗浄されたように見える。

扉が開いて白衣の実体が現れ、エージェント・███らを扉の外へと誘導する。扉の先には先程と同様の廊下が続いており、しばらく歩いた後銀色の扉が現れる。白衣の実体は扉を開け、集団は内部へと入っていく。

部屋の内部には複数の扉が存在する。白衣の実体は1つの扉につき1体のオネイロイを、その内部へと進ませる。エージェント・███は右壁の手前から3つ目の扉に入る。

部屋の正面には拘束具の付いた椅子が存在する。椅子の周囲の床には小さな穴が複数開いているのが確認できる。白衣の実体はエージェント・███の縄を外し椅子に拘束すると部屋を出ていき、入れ違いにそれぞれ牛と豚の形状を有した2体のオネイロイが中に入ってくる。

牛: よし、それじゃあ始めるか!

エージェント・███: 何を?

豚のオネイロイがエージェント・███の顔面を殴る。

豚: 勝手に喋ってんじゃねえよ!

牛: (豚を抑えながら) おい、大事な商品なんだから無闇に傷つけんなよ。

牛と豚のオネイロイは手にゴム手袋のようなものを付け、エージェント・███の体を揉み始める。彼らの手は徐々に、エージェント・███の体から一部を集めるようにして黒いコブのようなものを生成する。コブを見たエージェント・███は極めて強い拒否反応を示す。

豚: 何が見える?

エージェント・███: ████1が俺を蹴ってる。見たくない、これは嫌な記憶だ。

豚: じゃあ消してやるよ。

豚のオネイロイはポケットから小さな針を取り出すと、それをコブに刺す。コブは内部から紫色の液体を放出して破裂する。注目すべき事に、この液体の色はSCP-2453-JPが夢海へと排出していた液体の色と同一であるように見える。液体は床の穴より下へと落ちて行く。

エージェント・███: ああ、ありがとう。

牛: (自身の作ったコブを指差しながら) これは?

エージェント・███: ███2が家を出て行くところだ。俺は最後まで彼女を愛してた、別れたくなかったのに、彼女は……!

牛のオネイロイが針でコブを破裂させる。エージェント・███はしきりに感謝を述べる。その後もコブの形成と破裂が繰り返され、その度にエージェント・███が感謝を行う。これが約3時間継続し、やがてコブが形成されなくなる。

牛: もう残ってないな、今どんな気分だ?

エージェント・███: 本当に清々しい気持ちだよ、なんてお礼を言っていいか……

豚: だろうな、今のお前は楽しい感情だけで出来てる。きっといい薬になれるぜ。

エージェント・███: 薬?

牛: 幸せのお裾分けだ。お前もみんなに幸せになって欲しいだろ?

エージェント・███: ああ……そうだな。

牛と豚のオネイロイはエージェント・███の拘束具を外し、複数の扉が存在した部屋へと連れて行く。そこには既にエージェント・███と行動していたオネイロイらが揃っており、一様に恍惚とした表情をしている。やがて白衣の男が現れ、集団を1番奥の扉の先へと連れて行く。

扉の先は空中歩道に続いている。行き止まりの下には巨大なコーヒードリッパーが存在し、その下部にはタンクが設置されている。エージェント・███及びオネイロイらはドリッパーの内部へと入るように指示され、それに従う。彼らがドリッパーの内部に入ると空中歩道より巨大なホースが垂らされ、不明な黄色の液体が大量に放出される。液体を浴びた彼らの体は徐々に溶解し、コーヒーフィルターを通り抜け下部のタンクへと落下していく。これに伴い、エージェント・███とホストサーバーの同期が徐々に弱化する。

エージェント・███は胴体から順に溶解していき、やがて頭部がフィルターを通過しタンクへと落下する。ホストサーバーとの同期が完全に途絶する直前、エージェント・███はドリッパーのガラスと液体越しにタンクへと近づいてくるトラックを視認する。

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同期が途絶する直前に視認されたトラックの模様の拡大。これは既知の敵対的コレクティブのロゴマークと一致する。

当該記録により得られた内部環境のデータを参考として、現在SCP-2453-JPの操業停止を目的とした大規模な収容作戦が計画されています。

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