SCP-2562
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アイテム番号: SCP-2562

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2562-Aと-Bはサイト-17のタイプ2人型収容房に収容されます。お互いに毎日1時間の面会が許可されていますが、それ以外の点では標準的な生活設備とT2HCCに関係する警戒が備えられます。SCP-2562-Aは収容に関連する医療、食事、心理的な必要条件を持たず、標準リスク評価は02/05/00となります。SCP-2562-Bは標準リスク評価02/05/03であり、2型糖尿病の治療を受けています。

SCP-2562-Bによって改変を受けた文書は、文書保管キャビネット32C-Eに収納されます。

説明: SCP-2562は、SCP-2562-AおよびSCP-2562-Bと指定される遺伝的に同一な2人の人間男性の総称です。SCP-2562-Aは右の掌に“ゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのミスター・トップテクスト”、SCP-2562-Bは左の掌に“ゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのミスター・ボトムテクスト”というタトゥーをそれぞれ施されています。

SCP-2562は、ある文章の数cm以内に人差指を配置して意図的に効果を発動させることにより、当該文章を改変する能力を帯びています。媒体に応じて、これはインクやデータ等の追加/除去、もしくは文章が記されている物理的オブジェクトそのものの改変を伴うことがあります。SCP-2562はこれらの改変を行うに際して資料の内容を理解する必要も、対象を文書として識別する必要も無く、改変の詳細な性質までは制御できていないと主張しています。

SCP-2562-Aは、問題の文章の先頭近くに余分な内容を追加するという形で改変を行います。この改変は文章の30%以上に及ぶことは無く、また全体の長さを15%以上延伸させることはありません。追加される内容は、既存の内容に対する精緻化の形式を取り、典型的には暗黙的な内容を明示表現すると共に、本来の文章と一致する文体で帰着点を導き出します。ソネットなどのように執筆形式が制限されている場合、追加文章は本文を補足するための注釈として表れる場合があります。

SCP-2562-Bは、文章の末尾に含まれる内容を“BOTTOM TEXT”1というフレーズに置き換えるという形で改変を行います。この過程で本来の文章のうち最大13%が失われます。SCP-2562-Bによって改変された文章は、全体的な意味を伝える能力を保持し続けます ― 読者は、SCP-2562-Bによって取り除かれた内容の表現を思い出せないものの、“BOTTOM TEXT”に対して本来の文章と同様の理解と反応を示します。

SCP-2562-Aは概ね財団職員に協力的であり、時折、財団の暗号解読を支援するために能力を使用しています。SCP-2562-Bは通常、強要されるか、または実質的な報酬が提示されない限り、如何なる要求に対しても協力を拒否します。


文書2562-602

SCP-2562-Aと-Bは両者ともに、異常特性を用いてパーシー・ビッシュ・シェリーの詩“オジマンディアス”の文章を改変するように指示されました。SCP-2562-Aが付け足した文章はピンク、SCP-2562-Bが付け足した文章は緑に着色されています。

太古の地からの旅人に出会った1
旅人曰く、二本の巨大な胴持たぬ石造りの脚が
砂漠に立っている そのすぐ近く、砂の上には
半分埋もれ、砕けた容貌が横たわる その顰めた眉
皺を寄せた唇、冷たい支配の嘲笑は
工匠がそれらの情感を見事に読み取ったことを伝えてくる
それは今も尚、生命無きものに刻み込まれて生きている
その顔を象った手と、それを養った心よりも長く。

そして台座にはこう記されている
“私の名はオジマンディアス、諸王の王
我が所業を見るがいい、力強きものよ、そして絶望せよ!”
傍らには何も残っていない その途方もない瓦礫の
残骸の周りには BOTTOM TEXT

1 零落せしオジマンディアスよ、自らの権力を
旅人の口を通して伝えられども、最早その程度


文書2562-618

SCP-2562-Aと-Bは両者ともに、回収時にこの文書の同一のコピーを保有していました。以下はその完全な複写です。

何てこったい! ゲーマーズ・アゲインスト・ウィードの、君だけのミスター・トップテクストミスター・ボトムテクストを見つけちまったな! クールなパワーをその身に帯びた双子と一緒に / BOTTOM TEXT。ワンダーテインメント博士って誰それ?

みんな見つけてミスター・ゲーマーになろうぜ!

01. ミスター・文字通りのシリアルキラー
02. ミスター・標準
03. ミスター・バーニー・サンダース
04. ミスター・どこでもなんでも無料
20. ミスター・セックス・ナンバー
21. ミスター・天上の美
22. ミスター・大罪
23 .ミスター・オリジナルキャラクター
24. ミスター・D.A.R.E.
25. ミスター・高級住宅化
26. ミスター・ビデオゲーム狂
27. ミスター・ミーム
28. ミスター・不吉 (生産中止)
29. ミスター・運命
30. ミスター・モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル
31. ミズ・サパティスタ
32. ミスター・チート
33. ミスター・タトゥーがあるやつ
34. ミスター・トップテクストとミスター・ボトムテクスト ✔
35. ミスター・フィナーレ


インタビューログ

SCP-2562に対する幾度かのインタビューがスティール博士によって実行されました。うち2回の抜粋がこの文書に含まれています。

mug.png

SCP-2562-A。この写真はSCP-2562-Bにも適用可。

スティール博士: ミスター・ボトムテクストとの最初の出会いはどのようなものでしたか?

SCP-2562-A: あいつは俺が最初に見たものだった。俺が ― そしてあいつが ― 思い出せる一番最初の記憶は、██████公共図書館のサイエンス・フィクション・コーナーで本棚を見て回ってたことだ。俺たちは1分ばかり状況を把握しようとして、俺たちは双子の兄弟なんだってことにして、また本を物色し始めた。

スティール博士: 貴方は、自分の置かれた状況を奇妙だと思わなかったのですか?

SCP-2562-A: 何と比べて? 俺は大抵の奴らがあんな風に何処からともなく現れることが無いってのは分かってたが、俺たちが“大抵の奴ら”じゃないことも分かってたんだ。あまり気にしてなかった… 実際、俺は何よりもアシモフ全集を読む方に興味があったんだ。

スティール博士: 理にかなってますね。そして何処かの段階で、貴方たちは図書館の本に能力を使い始めた2

SCP-2562-A: 確かに。ミスター・ボトムテクストが皆の本に触り歩いて、親切でそうしてやってるとか言い出した。だから勿論、俺はあいつを追いかけて、俺自身の能力でそれを補わざるを得なかった。

スティール博士: そうせざるを得なかったのですか?

SCP-2562-A: あいつは読書の歓びを奪ってたんだ。そりゃまぁ、あいつは文章の意味を単語2つに押し込むことは出来るし、あんたが急いで読んでる時ならそれも素敵なんだろうよ。でも良い文章っていうのは、言いたいことをパッパと伝える以上のことなんだよ。言葉は重要なものなんだ

スティール博士: しかし、貴方自身の能力も文章のペース配分と流れを中断しているではないですか。例えそれがオリジナルと文体的に一致しているとしても、です。

<SCP-2562-Aは落ち着かない様子になり、溜息をついてアイコンタクトを逸らした。>

SCP-2562-A: そうかもな。でもその文章がそれほど良いもんじゃない時、色々と省いちまってる時は… 世の中には読書が苦手な人間だっているし、そいつらもちょっとぐらい手助けしてもらったっていいじゃねぇか。少なくとも、そのためには役立つ能力だ。こいつは理にかなってるか?

スティール博士: ええ、かなってますよ。貴方は明らかにこの話題について熟考していますね。貴方は… 始めからこうだったのですか、それとも時間と共に成長させてきた考えなのですか?

SCP-2562-A: 俺はいつだって気に掛けてる — あいつも同じさ、表には出さないだろうけど。これについちゃ幾つか意見を発展させる時間があったんだ。あんたたちが俺たちを連行する前の2日間はな。

スティール博士: 成程。ミスター・ボトムテクストとの関係はどうなのですか?

SCP-2562-A: <肩をすくめる> 俺に何が言えるってんだ? お互い、相手の気に障ってばかりだけどさ… あいつは俺の兄弟なんだよ。

MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM

SCP-2562-B: あいつはいつもそうなんだ、お前は読書の歓びを奪ってるとか何とかガミガミガミガミ。あんた俺が浮かせてやった時間で皆に何ができるか分かってる? もっと沢山読めるんだよ。

スティール博士: 最初に会った時の話を聞いているのですが。

SCP-2562-B: あいつは文字通り“読書の歓びを奪ってる”って言ったことに賭けてもいいね。そういう意外性の無い野郎なんだ。

スティール博士: 一言、言わせていただいても?

SCP-2562-B: なぁ…いや、構わねぇよ。見え透いたことだとばかり思ってた。

スティール博士: 良いでしょう。彼について個人的にどのように感じていますか?

SCP-2562-B: 実を言うとさ、俺はゲームの話がしたいんだよね。ミスター・トップテクストの話はこれで終わり。あんた今まで大乱闘スマッシュブラザーズXやったことある?

スティール博士: <溜息> いえ、ありません。

SCP-2562-B: クソだぜ。こう、1日2時間Wiiの前に座って大乱闘クソッたれブラザーズで時間をドブに捨てるんだ。とにかく、あんた俺の兄弟について聞いてたんだっけ?

スティール博士: 多分。

SCP-2562-B: いいねぇ、今からあいつの話をしようと思ってたとこだ。俺はあいつがそれに相応しいと思うからクソ呼ばわりするんだが、あいつの考えがどっから来てんのかは何となく分かるのさ、物事を綴るってのは良い事かもしれない。俺がこんなこと言ったってあいつにバラすなよ、一生からかわれちまう。

スティール博士: 最善を尽くします。

SCP-2562-B: でもあいつは裏切るぜ。あんたらの暗号解きを手伝ってるって話をしてくれたんだが、俺は思うんだ、そんなことしてあいつに何の得がある? あいつは実際裏切り者とすら言えない、そっから得する物事が一切無いからな。あんたらの業務の暗号ってどんなの? あいつは何にでも鼻を突っ込むから、多分そいつが狙いだ。

スティール博士: それについてはコメントしかねます。

SCP-2562-B: そうかい、退屈だよ。話はこれで終わりな。ボトムテクスト。

スティール博士: 現実の会話を“ボトムテクスト”の一言で飛ばすことは出来ませんよ。

SCP-2562-B: ボトムテクスト。

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