SCP-257-JP
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SCP-257-JP-1

アイテム番号: SCP-257-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-257-JPはサイト-8181の完全気密収容倉庫あ-5に収容され、常にカバーがかけられます。倉庫内はカメラによって監視され、 SCP-257-JP-1の予期せぬ出現があった場合はHMCL監督官(現在は若桑博士)に報告しなければなりません。

説明: SCP-257-JPの外観は黄色で着色されたラウンド型のゴム風船です。経年劣化は見られません。内部に充満する気体はどのような手段を用いても検知することができませんでしたが、空気よりも僅かに重い気体であることが分かっています。
SCP-257-JPを直接視認した被験者は、SCP-257-JPを対象に大声で笑い始めます。被験者は「SCP-257-JPの外観や形状がとても可笑しいと感じた」と述べます。この効果は被験者がSCP-257-JPに影響を及ぼされてから3時間に及んで続き、その間にSCP-257-JPは緩やかに膨張します。その後はSCP-257-JPの効果が急速に薄れていき、一度影響を受けた被験者がSCP-257-JPを再度視認しても当影響を受けることはありません。
SCP-257-JPの膨張と被験者に及ぼされた影響が消失した後、被験者は「楽しい」「嬉しい」などの感情を一切感じなくなり、笑うことがなくなります。現時点で14人の事例が報告されていますが、そのいずれにも回復の兆候は見られていません。

文書: 257-JP/実験記録に-2

日付: 200█/██/██/
概要: 被験者D-818103をSCP-257-JPの格納エリアに入室させます。実験は常にカメラによる観察が行われ、D-818103-JPは担当の若桑博士とヘッドセットで会話できるようにしています。
被験者がSCP-257-JPを視認すると、突発的に笑い始めました。3時間後に被験者の笑いは治まりました。映像測定によりSCP-257-JPは実験前よりも1.3倍ほど膨張していることが認められました。以下は被験者へのインタビュー記録です。


若桑博士: 何が可笑しかったのか話してください。

D-818103: はい。さっきまでそれ[SCP-257-JPを示す]の形や色合いが、面白く見えました。

若桑博士: 更に具体的に説明できますか。

D-818103: [長く、分かりにくい説明であったため省略]

若桑博士: つまりあなたはその黄色い風船の形状や色合いがなぜかとても可笑しく感じ、且つ不思議とそれに飽きることがなかった。加えて、そんな自身の状態を少しも奇妙だとは思わなかった、ということですね?

D-818103: そうですね。

若桑博士: よく分かりました。[少し間が空く]本実験は以上で終了です。お疲れさまでした。

D-818103: あ、はい。お疲れさまです。

若桑博士: ところで、あなたはもうすぐ任期が終了しますね、おめでとうございます。あなたは我々の活動に大きく貢献しました。今の気分はどうですか。

D-818103: ああ、ありがとうございます博士。とても晴れ晴れとした気分です。外に出たら改心して家族に会おうと思います。それで[沈黙]

若桑博士: どうしました。

D-818103: [沈黙]

若桑博士: 大丈夫ですか。

D-818103: いえ、家族の記憶に違和感があって。いや、なんでもないです。すいません、笑いすぎて混乱してるみたいです。

若桑博士: そうですか、ゆっくり休んでください。

<記録終了>


実験終了後の数日間、D-818103は「何事も憂鬱に感じる」「飯の味は解るのに、美味しい、嬉しいという感情が湧かない」「もうすぐ再会できる家族の顔を思い浮かべても、全く励みに感じなくなった」などと述べていました。

実験から3日後、D-818103にうつ病に似た症状が発生し、オンコール体制にあった現場のカウンセラーが対応に当たりました。しかし、D-818103はその翌日に「トランプゲームで一方的に負け続けた」ことを理由にDクラス職員に暴行を加えるという事件を起こしました。
この事件を切欠に、特例として承認されていたD-818103の解雇後の一般社会への復帰は取り消され、任期終了後は記憶処理を施され再雇用となりました。

追記1: 20██年██月██日、SCP-257-JPの結び目を解く実験が行われ、その際にSCP-257-JP-1の存在が確認されました。詳細については文書: 257-JP/実験記録ほ-1を参照してください。

文書: 257-JP/実験記録ほ-1

日付: 200█/██/██/
概要: 過去に一度SCP-257-JPの影響を受けたDクラス職員1名が用いられ、その他の職員は直接視認を避けるためにカメラからの観察を行っていました。Dクラス職員が若桑博士の指令に従ってSCP-257-JPの結び目を解くと、SCP-257-JPの内部から黄色のガス状物質の塊が噴出されました。それは常に全体から複数の笑い声を放っていました。それらの笑い声には現在までにSCP-257-JPの影響を受けた14人と同一のものが含まれていることが判明しています。
このガス状物質はSCP-257-JP-1と識別されました。SCP-257-JP-1は実験室を3秒ほど浮遊した後、飛行速度を急激に変化させ、███km/hにも及ぶ速度で実験室の扉の僅かな隙間から抜け出しました。その後SCP-257-JP-1は施設のエアダクト内を通って、出現から約3分後にはサイト-8181から脱走していました。機動部隊が即応してSCP-257-JP-1の追跡を行いましたが、SCP-257-JP-1が北の方角に飛び去ったのを確認した後に見失いました。
結び目を解かれたSCP-257-JPは、SCP-257-JP-1を内部から排出した後にその異常性を一時的に失いましたが、Dクラス職員が若桑博士の指令に従ってSCP-257-JPの口を結ぶと、SCP-257-JPは元の異常性を取り戻しました。

この実験後、サイト-8181に所属する財団エージェントから選抜された人員で、SCP-257-JP-1の追跡班が組織されました。追跡班は脱走したSCP-257-JP-1の逃走ルートを直線的なものと推測し、現在も行方を追い続けています。SCP-257-JPの結び目を解く追加実験、それによって新たに出現すると思われるSCP-257-JP-1の確保は現在承認待ちです。

追記2: 20██年██月██日、██████にて、SCP-257-JP-1の追跡班がSCP-257-JP-1と類似した振る舞いを見せる青色のガス状物質を目撃したと報告しています。追跡班は、そのガス状物質は複数の人間の泣き声のようなものを放ちながら、推測されたSCP-257-JP-1の逃走ルートに沿うようにして、北の方角に高速で消え去ったと述べています。

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