SCP-2572
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SCP-2572の内装

アイテム番号: SCP-2572

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2572は現在、サイト-132の保管チャンバーの一つに収容されています。SCP-2572の実験はプロジェクトリーダーの承認を得なければいけません。実験への参加が認可された被験者は、実験の前後に心理テストを受けます。長期間に及ぶ心理的効果を受けた被験者にはクラスB記憶処理が施されます。

説明: SCP-2572はかつてニューヨーク市地下鉄の路線を走る電車に付属していた地下鉄客車です。SCP-2572は1972年から、198█年に異常性質についての報告が記録されるまで運行していました。SCP-2572は速やかに電車から除去され、収容のためにサイト-132へ移送されました。

SCP-2572の効果は、内部に1人の人間が乗った状態の車両が、34丁目ヘラルド・スクエア駅とディカルブ・アベニュー駅の間を走行することによって発現します1。効果は様々に変化しますが、一般的にはSCP-2572が各駅を通過する際の一定パターンに従って発生します。留意すべき点として、この効果が発生するのは、車両が34丁目ヘラルド・スクエア駅から走行し始めた場合のみです。以下のような効果が記録されています。

34丁目 ヘラルド・スクエア: 対象者は強烈な陶酔感、心拍数の上昇、呼吸回数の増加、瞳孔の拡張、敏感さの増大などを特徴とする覚醒状態に入ります。この間、対象者は軽度のパラノイアを発症する場合もあります。

28丁目から23丁目: この時点から、対象者の時間感覚がより鋭敏になります。加えて、対象者は事細かな点まで執着的に注意力を巡らせるようになります。既にパラノイアを発症している場合は症状が悪化することもあります。

14丁目 ユニオン・スクエア: この時点までに僅かなりともパラノイアを経験していない場合、対象者は中程度のパラノイアの症状を感じ始めます。対象者はまた幻覚を見始める場合があり、これらの幻覚は複数の暗いヒト型の姿を取って対象者の周辺視野に出現します。

8丁目 ニューヨーク大学: 対象者は肺に不快感を報告します。この時点までに幻覚を経験していない対象者は、上記の通り、ヒト型実体群の姿を取る幻覚が見えるようになります。

プリンス・ストリート: 上記ヒト型実体群は、対象者の周辺視野の外側へと移動を開始します。ヒト型実体は顔や手足を含む決定的特徴を欠いており、対象者によって出現数は様々です2。対象者は、実体群が車両の内外に沿って“スライド”していると報告します。これに加えて、対象者は肺の更なる不快感と、胸部の圧迫感を感じるようになります。

カナル・ストリート: カナル・ストリート駅への到着時、対象者は激しくベルが鳴るような音を経験します。全てのケースで対象者は妄想を抱き始め、唾液と粘液が硬化するのを感じます。暗いヒト型実体群は速度を増しながら車内に移動し続けます。

市庁舎: 対象者は咳き込み始める場合があります。咳き込んだ対象者は、身体の様々な開口部からきめ細やかな白い粉、もしくは小さく透き通った結晶が零れ出すという妄想が続いている旨を報告します。加えて、対象者は幻覚のヒト型実体が対象者を見つめていると報告します。

レクター・ストリート: ヒト型実体群は対象者に接近し始めます。この時点まで対象者が咳き込んでいない場合は症状が開始し、既に咳き込んでいる場合はその回数が増します。急性のパラノイアが表出し、ヒト型実体はその胴体から手と足を実体化させます。

ホワイトホール・セント・サウスフェリー: 対象者は肺に激しくヒリヒリした感覚を覚え始めます。一部の対象者には感覚過負荷が起こる場合もあります。ヒト型実体は対象者のすぐ近くに接近し、対象者に向かって手を伸ばしていると報告されています。対象者は身体全体に不快感を感じ始めます。

コート・ストリート: ホワイトホール・セント・サウスフェリーとコート・ストリートの間で、対象者は更なる不快感と身体の震えを感じ、ヒト型実体群は対象者の腕と脚を愛撫し始めます。一部の対象者は幸福感の増大を感じることもあります。実体群に向かって咳をしてしまった対象者は、その実体が敵意を見せていると報告しています。この場合、実体は対象者を掴んで床に押さえつけ、その身体を愛撫し続けます。

ジェイ・ストリート・メトロ・テック: 対象者はジェイ・ストリート駅への到着時に継続的に愛撫されます。SCP-2572が駅を離れると、対象者は皮膚に何かが這うような感覚を感じ始めます。実体群は愛撫を続け、ディカルブ・アベニュー駅への到着直前には、常に変わること無く、対象者の陰部に手を伸ばそうとします。

ディカルブ・アベニュー駅: 到着直後、対象者は全ての効果が停止した旨を報告します。

SCP-2572は、1人の人物が当該車両内で心臓発作を起こし、死亡した事件の直後に発見されました。カバーストーリーが作成され、当該ニュースの報道は抑制され、影響を受けた職員にはショック療法と組み合わせたクラスB記憶処理が施されました。

毒物学的見地からの報告書は、当該人物が死亡に先んじてイソプロピルベンジルアミン、メタンフェタミン、並びに1種類の未知の物質の影響下にあったと述べています。人物の身元が特定されることはありませんでした。

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