SCP-2593
評価: +6+x

アイテム番号: SCP-2593

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル:



収容プロトコル 3版
SCP-2593が財団および財団の人員に対し敵対的になったため、SCP-2593は見つけ次第保安職員によって終了されます。この終了処理の失敗は、次回の出現イベントまでSCP-2593が未収容状態のままになるという結果を引き起こします。これは収容プロトコル改定以来、SCP-2593は財団の拘束から逃亡しようと常に試みているためです。

全ての終了成功事例のうち87%で、SCP-2593はサイト-217の保安境界線に隣接する部分で再実体化します。その他のすべての財団施設は厳戒状態に置かれます。

全ての配達物は即座に焼却されなければいけません。配達物の摂食はいかなる場合にも行われません。

説明: SCP-2593は毎日一定の位置・時刻現れ、ドーナツとベーグルを管理サイト-217に配達する異常な人型実体です。SCP-2593は出現後、同日のうちに一定の地点にて消失します。

SCP-2593は地方ベーカリーである"チョコレート・スプレー・ジェムスのパン屋さん"の前オーナー、ジェームズ ██████の異常な出現です。"チョコレート・スプレー・ジェムスのパン屋さん"は、当該サイト全体の休憩室へのパン類提供のため、配達の契約を結ばれていました。

財団の記録によると、ジェームズ ██████はカリフォルニア工科大学に所属し、████年に化学分野において博士号を取得しています。

ジェームズ ██████は財団による雇用の候補となっていましたが、彼の分野における資質の欠如により候補から除外されました。その後追加の記録は、ジェームズ ██████が様々な雇用者に就職志望を提出したものの、そのどれもが彼の研究成果の応用可能性不足や一般的な適性の欠如を理由として拒否されていることを示しています。

博士号取得から4年後の████年、ジェームズ ██████は"チョコレート・スプレー・ジェムスのパン屋さん"を、中等学校からの同級生であるジョージ・カラハンとともに開店しました。

████年9月1日、管理サイト-217の買掛金勘定で食品予算の軽食項目において不一致が発見されたことにより、SCP-2593はアノマリーであると決定され、エージェント・ドネリーおよびエージェント・マギルによって調査が行われました。"チョコレート・スプレー・ジェムスのパン屋さん"は数日間閉店していることが観察され、地方の事業主らから、████年9月1日以降当該店舗が開店していないことを示す証言が得られました。

管理サイト-217への定例の配達を完了したあとにおこなわれたSCP-2593の遠隔観察からは、SCP-2593が管理サイト-217入り口から .72 KM 離れた時点で視覚的に消失し、毎日午前7時ちょうどに再出現することが明らかになりました。

SCP-2593による配達物の分析は、すべての配達物が異常性を有していないことを示しています。化学分析においても、配達物が人体で消化されることにおいて安全であることが示されています。しかしながら異常な手段によって生成されているために、配達物は処分されることになっています。

SCP-2593は配達に関するインタビューの後、9月3日に収容されました。SCP-2593は自身を取り巻く現象について何ら知識を保有していないと主張し、標準人型収容室に収容されました。SCP-2593は自身を取り巻く異常性について知らされた際、極度にストレスを感じ、動揺しました。

████年9月4日、SCP-2593は収容室から消え、管理サイトから .72 KM 外の地点に出現しました。その際SCP-2593は、日常的に配達していたものと同量の配達物を所有していました。これを受け、サイト-217の外周を拡張することを含む特別収容プロトコル修正が実施されました。


以下に付されているものは、SCP-2593の心理学的評価に関連する全ての資料です

████年6月1日、対面接触においてSCP-2593は管理サイト-217に配達している製品について尋ねられました。SCP-2593は泣き始め、自身でそれを止めることができない様子でした。これを受け、心理学スタッフが現場に向かいました。以下はジャメソン博士によるSCP-2593のインタビュー記録です。

ジャメソン博士: こんにちは、SCP-2593。私はジャメソン博士といいます。

SCP-2593: 俺の名前は█████ ██████。

ジャメソン博士: 失礼、ジミー。あなたをジミーと呼んでも構いませんか?

SCP-2593は親しみ深い名前の使用により、かなり落ち着きを取り戻す

SCP-2593: もちろん……それがいい。

ジャメソン博士: ジミー、近頃あなたのドーナツとベーグルの中身がおかしくなってしまっているのはどうしてでしょう? あなたが間違った食べ物を配達するなんて、聞いたことがありませんでした。

SCP-2593: やめたいだけなんだ……それがなんであれ、俺はただ……でも、終わりはない。

ジャメソン博士: 全部覚えていると、そういうことですか?

SCP-2593: もちろん全部覚えてる。俺、狂っちまったと思ったんだ。食べ物を運ぶだろ、そしたら部屋に閉じ込められることもある。そんで、尋問されるんだ…… 何が起こってるのか全然わからなかった。俺ができることは、せめておかしなドーナツを作ることだけだった。ドーナッツを焼いたことすら覚えてない。だけど、何が起こるかは考えたんだ。もしジェリー・ドーナッツにピーナツバターが入ってたら、ボストン・クリーム・ドーナツにマヨが入ってたら、あとは……

ジャメソン博士: そういうことだったんですね。ジェームズ。

SCP-2593: なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ?

ジャメソン博士: 少々お待ちください。

ジャメソン博士は無線でSCP-2593に現状を説明する許可を求める。肯定的な返答がなされる。

ジャメソン博士: ジミー、この施設について、あなたはどれくらい知っていますか?

SCP-2593: ここはただのオフィスだ。あんたらは大量の食べ物を買う。それで、あんたらは普通、毎日最初の配達先だ。

ジャメソン博士: なるほど。ジミー、それは本当にここで起こっていることではありません。権力の関係で私はあなたに十分には伝えられませんが、私たちはある組織……つまり、そうですね。私たちは人々を守る仕事をしています。

SCP-2593: いや、よしてくれ。もう6年もあんたらに配達し続けてる。それであんたは俺に今言ったんだ、これがなんというか――あぁ、本気か? ここが政府の秘密軍事施設みたいなもんだって? 俺はこれからどっかの監獄に送られるのか? それでまた、あんたらは俺を閉じ込めるのか?

ジャメソン博士: いいえ。私たちは政府の組織ではありません。私たちは……はい、やはりすべてはお伝え出来ないのですが、人々を守っているのです。まさに、あなたに起こっているようなことから。

SCP-2593: だったら一体なんで、俺をこんな風にしてるものを止めてくれないんだよ。

ジャメソン博士: あなたはこの現象が起こった最初の人間なのです。ですが、私たちは何が起こっているかを理解しようとしています。、そして、確実に影響が広まらないようにしています。

SCP-2593: 俺は家に帰りたいだけなんだよ。博士……

ジャメソン博士: 全力を尽くします。ジミー。これでも、私たちはあなたを救いたいと思っているんです。

SCP-2593: どうやって? 何をしてくれるんだ?

ジャメソン博士: 明日あなたが配達をするとき、また一緒にお話をさせてください。もしあなたが望むなら、ですが。

SCP-2593: それは……そうしてくれると、ありがたい。

<記録終了>

定期的な心理カウンセリングによって、SCP-2593は定期配達において予期に合致した従来の商品を生産するようになりました。この時点で、SCP-2593は収容されたものとみなされました。


ジャメソン博士による記録:
継続的な心理カウンセリングによって、当面の間SCP-2593の精神状態を安定させることができるでしょう。SCP-2593はこの点において収容されたと考えられています。私が強調したいのは、しかしながら、SCP-2593があくまでアノマリーであるということです。人間ではないのです。心理カウンセリングは収容状態を維持するための最も容易な方法ではありますが、本当に重要なことはSCP-2593の周囲で気を抜かず、配達の際も保安点検を継続することです。ジェームズが雇用候補になったときの初期の心理的調査報告書から判断して、SCP-2593を動揺させるようなことは避けることを推奨します。

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