SCP-2600-EX
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死亡したSCP-2600-EX個体

アイテム番号: SCP-2600-EX

オブジェクトクラス: Safe Explained

特別収容プロトコル: SCP-2600の繁殖地となっていると思われる川の支流は、即刻爆破されることになっています。死亡したSCP-2600検体は調査基地2600-Primeへ移送されることになっています。生存しているSCP-2600検体は速やかに収容されることになっています。生存しているSCP-2600検体が収容された場合は速やかにサイト主任へと報告しなくてはなりません。現在、SCP-2600-EXを収容する必要はありません。

説明: SCP-2600-EXは[編集済]に生息する、異常な種類のマスです。遺伝子上はカワマス(speckled trout)と同一の生物ですが、体の90%が白く深い体毛に覆われています。この体毛の生えた目的は不明ですが、通常のカワマスより低い体温を持つためではないかと思われます。

現在のところSCP-2600-EXの生存している検体が発見されたことがないため、SCP-2600-EXの産卵地は地下貯水池など通常のカワマスが生息しない場所ではないかと推測されています。現在財団が所有するSCP-2600-EX検体は、すべて発見された時には死亡していました。

SCP-2600-EXは、不明な手段を用いて通常のカワマスへ自分の体毛を送り込む能力があると思われます。小型無線ビーコンが取り付けられた通常のカワマスにSCP-2600-EXの体毛が付着しました。

以下のログには、SCP-2600-EXの研究主任であるJames Dobsonの記録が含まれます。現在、Dobson主任は、彼が研究していた地域で育ったために、その土地の民話や文化に影響を受けたと考えられています。それが、彼の在任期間中の職業倫理に反する不誠実な振る舞いの原因であると思われます。

1月15日、1919年

当該地域で暮らした経験があり、地域伝承についても詳しいため、私がSCP-2600の研究主任に任命された。この興奮は言葉では表せない。子供の頃からずっと、『毛の生えたマス』1を捕まえるのが夢だった。そして今私は、『毛の生えたマス』を追う、世界で一番先進的な研究所の責任者になった。私と共に仕事をすることになる人間を、私自ら抜擢した。皆若く熱心で、きっと成し遂げてくれるだろう。

2月2日、1919年

調査基地の建設が終わった。私の部下は、皆そろって私へその熱狂を伝えた。主要主任研究員として、私には自分のオフィスが割り当てられた。ドアの上に『毛の生えたマス』の剥製を置いた。おそらくこの剥製はニセモノだが、みんな喜んでくれたようだ。

3月3日、1919年

実に大きな進展だ!Lawrenceが周辺の水流を現地調査したところ、死亡したSCP-2600個体を発見した!私はLawrenceが個体を発見した地域をより広く捜索するよう命じた。Lawrenceへはささやかなボーナスを贈呈した。発見した個体への実験を、調査の最優先事項とした。すぐに実験結果が出るだろう。そして私は落胆し始めるのだった…

6月21日、1919年

何も得られない。全くもって何も。それが実験によって得られたすべてだ。大きな違いも、なんら異常な特性もない。単に毛の生えただけのマスだ。そして我々の年次報告(annual review)の時期が迫っている…早くなにか解決策をみつけないと

8月8日、1919年

自分のやったことが信じられない。だが仕方がなかった。私達の研究はもう少しで大きな進展を迎えることが出来るのだ。私の研究チームを解散させるわけにはいかなかった。だから、報告の数字を少しごまかした。だがまあいい。報告期間は終わったのだ。ホンモノを見つけさえすれば、主要文書へ加えられるような、我々の仮説を裏付ける新しい報告書を作ることが出来る。私達ならきっとできるだろう。

11月1日、1919年

何も得られない。未だに何も。実験結果から新しいデータは全くなかった。何ヶ月も自分の手の上に座っていたかのようだ。報告文書に書き加えられるようなものは何もなかった。だから…私は部下に、仮説を裏付ける結果は存在することを伝え、報告にそれを加えた。だが我々はすぐに本物の結果を得られるだろう。私の本能がそうささやくのだ。

1月3日、1920年

私の悪夢が現実となってしまった。私達の研究記録が監査を受けることになった。どうやら研究の管理不行き届きについて、すべてを調査するつもりのようだ。私は何かを得るため、いつもの3倍やるつもりで研究をする。調査員は全員、私が文書に記した産卵地となっている可能性のある場所を捜索している。今度こそ失敗するわけには行かないんだ。失敗するわけには。

2月17日、1920年

私は調査員に、私が産卵地として印を付けた場所をダイナマイトで爆破するよう命じた。彼らは私の指示がない限り、ダイナマイトは使えない。だが私には説明ができる。私は彼らに、その場所には危険があることを伝えるつもりだ。きっとうまくいく、大丈夫、大丈夫だ。大丈夫じゃなきゃいけないんだ。

3月3日、1920年

もうおしまいだ。彼らは記録を持っている。呼び出され…小さな部屋に座らされ…研究について尋問される時が来るだろう。爆破は、もうこれ以上できない。私はいま多量の市販薬を飲んでいる。部下は皆きっと私が今までしてきたことの真相を知っている。皆私を憎むだろう。私は全てを失うだろう。誰かを傷つけるつもりじゃなかった。ただ真実が知りたいだけだったんだ。

全職員への通告
皆様もご存知のとおり、Dobson主任は解任されました。彼は研究文書を偽造し、研究の続行を正当化するために研究データの意図的な操作を行ったことで責任を問われました。現在のところ、我々が得た実験結果からは、SCP-2600は単なる菌類への感染であるという事実のみ2が示されています。このオブジェクトは解明済み(explained)であることが宣言されました。関係各位は全員、もっと時間を費やす価値のあるプロジェクトへ再配置されることになります。

―O5-9

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