SCP-2643
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アイテム番号: SCP-2643

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2643の収容は現在のところ、本質的に情報面からのみ行われています。機動部隊ニュー-9(“好奇心”)は活動領域を監視し、一年を通して動きを追跡すると共に、当該異常に対する民間の知識を制限する偽情報活動を維持します。SCP-2643の影響範囲のため、記憶処理治療は一般的に効果がありません。影響者が深刻な収容のリスクを呈する場合はオメガ-クラスまでの記憶処理が認められます — ただし、レベル3職員2名の承認が必要であり、最低でも1名は倫理委員会の連絡員でなければいけません。低リスクの被験者に対する直接的措置は講じられません。

財団はSCP-2643に関連した尤もらしい非異常記憶の原点を作りだすために、名前と外見をSCP-2643に似せた猫が登場する、SCP-2643の典型的な物語パターンを反映した筋書きの児童書と漫画を委託公開させています。これらはSCP-2643の活動期間全てをカバーできるように偽造出版記録を付与されています。

説明: SCP-2643は特定人物の記憶に影響する現象です。影響者は、幼い頃に1匹の迷い猫を世話した経験があり、その猫とは非常に仲が良かったという確信を抱きます。全ての影響者による猫についての証言には一貫性があり、“ウバステ”1という名前を付けたと報告しています。この名前はエジプト神話の知識を持たない人物間でも一貫しており、大部分の対象者はなぜ自分がこの名前を選択したのか説明できず、通常“それが正しいような気がした”と主張します。

明瞭な記憶にも拘らず(詳細は下記参照)、████名のインタビュー対象者の中に獣医の領収書・写真・その他問題のペットが存在していた証拠を提出できた人物はいませんでした。同様に、影響者の証言を裏付けることができる友人や家族も確認されていません。

影響者はこの症状を17~25歳にかけて発症し、例外なく、移植された記憶は発症する丁度10年前の時期に関わるものだと報告しています。これらの人物は一般的に低所得世帯の生まれであり、概ね幼少期は社会的地位が低く友人も少なかったと自称しています。

影響された記憶は通常、同一の基本的な物語パターンに従っています2

  • 12/24-27: SCP-2643はまずクリスマス頃に姿を現し、ある種の争い — 本質的には家族間のもの — を経験した対象者を慰めます。
  • 12/28 - 1/31: SCP-2643は対立・苦痛・失望に関わる記憶にのみ出現し、常に苦悩している時の対象者を慰める様子を見せます。
  • 2/01 - 5/30: SCP-2643はより頻繁に姿を見せ、一般的には学校から帰宅した対象者を待ち受けたり、夕方に窓の外に座っているようになります。殆どの対象者は、この期間にはSCP-2643に話しかけることに大きく時間を費やしていたと報告しています。
  • 6/01 - 7/31: SCP-2643の活動性が増します。影響者はSCP-2643と一緒に遊ぶために家を抜け出し、しばしば周辺地域の探索に時間を費やしていたと報告します3
  • 8/01 - 12/19: SCP-2643は何処であろうと影響者について回り、常に近くに、しかし他の人間からは隠れた場所に留まっています。
  • 12/20-23: SCP-2643は最初の出現から1年後に姿を消します。

影響者の家族へのインタビューで、大半の影響者はSCP-2643が記憶に介入してから人格の顕著な相違を見せるようになったことが判明しています。家族は、対象者がより自信ありげに振る舞うようになり、憂鬱感や不安に苛まれることが少なくなったと報告しています。

SCP-2643の発生はアメリカ合衆国の南西部にある幾つかの小さな町に限定されているようであり、現在まで毎年1つの新しい町に、クリスマスの時期に入ってから影響を発現させています。研究により、SCP-2643は影響範囲の記憶が該当する幼少期に対象地区に住んでいた人物を、当該地域に現在住んでいるかどうかに関係なく、明確にターゲットにしていることが示されています4

発見: SCP-2643は、████ ██████大学のデータベースのアクセス機能に脆弱性が発覚し、喪失アカウントの復旧に使われる質問が民間に漏洩したことを切欠に発見されました。ユーザーデータの公的な流出後、学校新聞の記者を務めていたエイミー・████は、学生たちの個人セキュリティに関わる質問を読んでいく中で、“最初に飼ったペットの名前は?”という問いの答えにユーザーの5%近くが“ウバステ”という名前を設定していることに気付きました。“おかしな名前のペット”を題材に記事を書こうと決めた████女史は数名の生徒にインタビューを行い、彼らの幼少期の猫に関する話がほぼ同一であることを発見しました。自分は全校生にからかわれているのではないかと████女史がソーシャルメディアに投稿した後に、当該異常存在は財団の注目を集め、地元の法執行機関に潜入している財団エージェントが通知を受けて調査を決定しました。漏洩したフォーラムのデータと████女史のソーシャルメディアは削除され、████女史と他2名の異常存在に気付いた民間人が記憶処理を受け、現在の情報収容が実施されました。

補遺: インタビュー抜粋

回答者: ヴィンセント・マルクス (20██/12/24以来SCP-2643の影響を受けている)

質問者: █████博士

序: 財団はマルクス氏に対し、SCP-2643の非定型的な行動に関心を寄せたという体でアプローチを行いました。彼がSCP-2643との経験を実際の出来事として信じ続けることは容認されました。

インタビューの80%は無関係と判断されたため、締めくくりの部分のみが収録されています。完全版のログは中央アーカイブに保管されており、要請に応じて閲覧可能です。

<記録開始>

█████博士: では、ウバステは貴方の人生に良い影響を及ぼしたと感じてらっしゃる?

マルクス: 勿論です。あの子のおかげで、ずっと強い人間になれました。

█████博士: 貴方のその個人的な強さというのは、昨年まであまり見られなかったようですが?

マルクス: ええ、そうかもしれませんね。 (くすくす笑い) 当時の俺はそれをどう発揮していいか分かってなかったんでしょう。どれだけ物を知っていても、世界がそいつを表に出させてくれなけりゃ大して意味はありませんよ。でも去年のクリスマス、あの子が最初に姿を現した時にどんな風に感じたか思い出して、あの子が俺にくれた物を無駄にするのは止めようって決めたんです。人生を変えてやろうって。これで二度目になりますね。

█████博士: つまり、ウバステがいなくなった時、その子が貴方に残してくれたものとの繋がりを感じるのは難しかったということですか?

マルクス: まぁ、そうです。

█████博士: 貴方は、彼女が去った時にどう感じましたか?

マルクス: 勿論悲しかったです。でも全体的には平気でした。いなくなる時、あの子はほんの一瞬だけ、立ち止まって肩越しに振り返ったんです。それで、ああ、きっと大丈夫だなって思いました。

█████博士: そうでしたか、では最後にもう一つだけ聞かせてください。何故ウバステは貴方の下を去ったのだと思います?

マルクス: (沈黙) 俺のためにできる事はもうやったからだと思います。俺がもうあの子無しでもやっていけるとも感じてたんじゃないでしょうかね。それに、俺のところを離れた後、きっとあの子は真っ直ぐ他の子のところに行って、その子の人生も変えてくれたんじゃないかって思うんですよ。

<記録終了>

結: マルクス氏は保安上のリスクに成り得ないと判断され、記憶処理によって財団と交流した際の回想記憶を全て除去された後に解放された。

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