SCP-265-JP
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SCP-265-JPの1例。背表紙部分に”No.180”と記載されている。

アイテム番号: SCP-265-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-265-JPは、鍵のかかった保管金庫に収容されます。閲覧にはレベル3以上の研究員2名の許可が必要です。現在、SCP-265-JPの全研究は、永久的にその映像と精製方法の分析に留まります。

説明: SCP-265-JPは、ナンバリングされたシールの貼られた、180本のビデオテープです。SCP-265-JPは、█████県で噂された”個人営業のレンタルビデオ店にある不思議なビデオ”を調査したエージェントにより発見されました。同店の店主は、付近の道でダンボール箱に入っていたのを拾得したと主張しています。

SCP-265-JPを分解・分析したところ、その構造は限りなく一般のビデオテープと等しいです。にも関わらず、再生する映像は決して終わりを見せません。磁気テープを仮に手動で最後まで巻き取ったとしても終端は現れず、磁気テープ自体が自動生成されている様に見えます。しかし、巻き取られた磁気テープは逆に自動消滅している様で、リール部分のテープは常に一定の長さを保ちます。また、再生機器の操作で映像の最後を確認しようにも、早送りを含むほぼ全ての操作を受け付けない為、通常通り行えるのは”再生”か”停止”のみとなります。

SCP-265-JP-1は、SCP-265-JPに収められている180種類の映像です。内容はニッチな趣向の娯楽番組で、前述した様に再生中は無限に続きます。これまでの間、ミーム的効果その他一切の異常な作用は確認されておらず、”ツボに嵌った”職員による長期閲覧に伴う悪影響を除けば、安全に視聴出来ると考えられています。以下は映像内容の例です。

No.001
番組名:つっこみ四面相
登場人物:お面を付けた中年男性(01)と、白衣を着た若い男性(02)
番組内容:”四面相”を名乗る01が、02と舞台上でコントを行う。展開はいわゆるドタバタコメディとされるもので、殆どが01の02に対する一方的な無理難題の押し付けに始まり、02が聞き違いなどで大きな間違いを犯し、それに01がハリセンで突っ込みを入れる事で終える。1つのコントは10~15分程度。現在、同じ内容が繰り返された事は無い。

備考: ████博士は「とても暴力的で、見ているだけで不愉快になる」と閲覧を途中で放棄しましたが、████████研究員は「非常に面白い。ダビング出来ないのが残念」と評しました。

No.004
番組名:世界のつまようじ百景
登場人物:ナレーションとして、壮年と思われる男性(01)
番組内容:映像は一度もカットされず、机上に置かれている爪楊枝の接写映像のみです。その上から01の声で、世界中で使われているという爪楊枝の歴史とその製造方法、構造、薀蓄に至るまで詳細に口述されています。

備考: 財団職員で興味を持ったのは、エージェント・トーマスただ一人です。

No.008
番組名:不明
登場人物:スーツを着た20代後半~30代前半と思われる男性(01)
番組内容:01が煙草を吸いながら、山中にあるバス停前に立っています。01は煙草を吸い終わる毎に、都市伝説やUMA等を否定する説(対抗神話、と呼ばれる物)を呟きます。しかし、その度に背景から否定された妖怪や未確認生物などが現れて、01が振り向こうとすると画面奥に消えます。その後、01は懐から煙草を取り出して火を付けます。

備考: 調査の結果、背景に出てくる怪生物は全て、着ぐるみやハリボテの可能性があります。████博士は、劇中に登場する説は合理的な物もあれば、現実にはそぐわない(否定の根拠が架空の理論、事件に由来する)例も多いと述べています。

No.019
番組名:クリエイティブ・アワーズ
登場人物:10代の白衣を着た女性(01)と、目の飛び出た鶏と思われる被り物をした大柄な男性(02)。02は”チキンマン”と呼称されている。
番組内容:青空をペイントした背景の前で、01が身近にある物品を使い、様々な玩具の作り方を分かり易く説明しています。玩具を作った後は、以前作った玩具と競わせてその性能を比べます。しかし、比べる玩具は全く異なる種類な為、その勝敗は多くが微妙な終わり方をします。02は常に画面奥で佇み、時々01が視聴者に向けて「良い子の皆ー!」と言った際にのみ反応して手を振ります。調査では、20年以上前、████県の一部ローカル局で似た番組が放映されていた事が判明しました。しかし、これまでに財団が確認したエピソードは、全て未製作の物です。

備考: 財団職員の子供たちは、その多くが毎日の閲覧を希望します。認可は保留中です。実験と同様、画面自体を録画したビデオならば閲覧の許可が下りました。但し、1日の視聴時間は30分にして下さい。

No.032
番組名:不明。画面右上に、半透明の文字で”NBP”と小さく表示されています。
登場人物:アジア系と思われる男性(01)と、日本人と見られる女性(02)。
番組内容:夕刻の廃墟で、常に性的行為に及んでいます。内容は常識的な物から、[削除済み]、[削除済み]、[削除済み]の様な逸脱した行為まで多くを含みます。その行為によって生じた傷は、映像を再生する内に一般的な人間と同じ速度で治ります。が、性的行為を常に行っている為、2名共ほぼ常に全身が傷で覆われています。

備考: エージェント・桜庭へ。あなたの新しい楽しみを開発する為に、このビデオはありません。-████博士

No.056
番組名:赤ちゃん危機一髪
登場人物:母親らしき若い女性(01)と、乳幼児期の男児(02)。
番組内容:02は空腹、排泄、孤独感、驚いた事での恐怖など様々な理由で泣き続けますが、眠る事はありません。01は02が泣く度に、様々な方法で泣き止ませようと努力します。財団所属の精神科医による診断で、01は軽いノイローゼ気味ですが、”発想力に優れている”と評価しました。

備考: 財団の子持ち職員は、多くが01に共感しています。ですが、劇中の泣き止ませ方は真似しないで下さい。

No.077
番組名:換気扇のコマーシャル(本体のラベルに印字、劇中に文字は出てこない)
登場人物:腕のみ、男性と思われる。
番組内容:「これは良い換気扇です!」と言いながら、作動中の換気扇に右腕を突っ込み続けている。

備考: 換気扇のメーカーは既存の物です。使い方は異なります。

No.098
番組名:フィッシング!-遥かなる高みへ、釣り入門編-
登場人物:男性2名(01、02)と、女性1名(03)。全員お揃いの防寒着を着用している。
番組内容:暗く、音も無い河川敷で、延々と魚を釣り続けている。3人共、「周囲が不気味」「早く帰りたい」と常に口にしており、魚の気配がすると表情を曇らせます。釣り上げる魚はこれまでの所、すべてフナです。3人は魚を釣った後、毎回空を見上げますが意図は不明です。
再生開始から████████時間後に「缶コーヒーを買いに行く」と言った後、02が背景に映る自動販売機前で悩み続けています。残った01と03は、それを気にしながらも釣りを続けています。

備考: エージェント・ヨナは視聴後、何となく気になると証言しました。

No.120
番組名:不明
登場人物:男性(01)と、画面には手しか映らないがおそらく女性と思われる人物(02)。
番組内容:椅子に縛り付けられた01に向けて、画面外から伸びる腕が執拗に拷問を加えています。01は酷い傷を負っており、いくつかは致命傷にも見えますが死亡してはいません。これまでに行われた拷問は、全て中世ヨーロッパに実在した物です。01は苦悶の表情を浮かべながら、涙声で「このサタンを謀るとは汚い人間め!」と画面外の人物を罵ります。画面外の02は、それに対して必ず、手にした武器を各地の名産品をPRする様に紹介します。

備考: 財団職員の中に、このビデオに対する関心を示す人物は居ませんでした。

No.134
番組名:不明、未知の言語
登場人物:熱帯地域の原住民と思われる男性2名。片方は初老(01)で、もう片方は成人前(02)と思われる。
番組内容:未知の言語を用い、01が02に向けて何か教えています。時々入る身振りや、地面に直接描く絵などから、これは哺乳類と思しき動物を捕獲する為の講義であると分かります。時折、画面外に居る、白人の中年男性と思われる人物の呼吸音と小さな呟きが入ります。02は、およそ1時間置きにあくびをして画面外に視線をやり、それから講義内容に集中し始めます。

備考: 紅屋博士は多大な興味を示しています。

No.156
番組名:カウントダウン
登場人物:能の面を被った人物1名。
番組内容:「σ301乙∞OO」と書かれた紙を掲げ、薄暗い画面中央でじっと佇んでいます。

備考: 財団の何名かの職員は、この映像に対する強い関心を持ちますが、何が気になるのか供述出来ません。

No.180
番組名:終端のロデオ
登場人物:女性(01)。左後方から、左側頭部を映しているのみ。画面は固定。
番組内容:コンビニエンスストアと思われる室内を、ゆっくりと周回し続けています。01は何かを警戒している様子です。時折、棚の向こう側に同じく人型と思われる存在を確認できますが、殆どが一瞬であるかまたは逆光により詳細は分かりません。01は商品を手にするとそれを消費しようとしたり、あるいは手に武器の様に構えます。が、結局は何にも使用せずにただその場に落とします。

備考: 映像内にて、商品が新たに補充される様子はありません。また、販売されている商品に地域限定の菓子や雑誌等が確認されています。


補遺: No.019”クリエイティブ・アワーズ”についてより詳細な検査をした結果、映像内に出演していた2名の登場人物は実在し、しかし18年以上前から行方不明になっている事が判明しました。この為、SCP-265-JP-1は、異常な性質下に囚われた実在の人物により行われている番組群であるという仮説が立てられています。現在、紅屋博士指揮の下、映像分析から現実での位置を特定出来たNo.180の対象を救助する計画が立てられています。初期捜索は機動部隊-た-18”映像倫理委員会”が担当し、必要なら後に適切な部隊を派遣する予定です。映像分析班は他のSCP-265-JP-1からも位置情報を収集し、一刻も早い救助に繋げられる様努力して下さい。現在、如何なるSCP-265-JP-1への救助任務も無期限で延期されています。詳細は、事故記録-265-01を参照して下さい。
 私たちは、これをただの娯楽作品として扱うべきだったんだ。-紅屋博士

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