SCP-2720
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暫定収容サイト-123、一般的には淡島ホテルとして知られています。

アイテム番号: SCP-2720

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 収容を容易にするため、財団は淡島ホテルを暫定収容サイト-123として改装しました。サイト-123の本来のホテルとしての機能は維持されます。GoI-3004("ペンギンのための海洋生物保護の会"、"AquaS Conservancy for Penguins")からの全ての通話、特にSCP-2720にアクセスできる客室に関する情報、SCP-2720に進入可能な期間については記録され、文書2720-Kuに保管されます。

SCP-2720へ繋がる客室は承認された手順と観察のためにのみ財団職員によって開けられます。そうでなければ、SCP-2720の反復期間中は改装中に見せかけて閉鎖されます。

説明: SCP-2720は、日本の静岡県の淡島ホテルで選ばれた客室の扉からのみアクセス可能な多様な異次元沿岸地域に対する総称的な指定です(さらなる情報は''概要''の第5段落を参照してください)。多様な実例がすべて同じ1つの次元に存在しているのか、別々の次元に存在するのか、基底現実とSCP-2720との間にほかのアクセスポイントがあるのかについては不明です。

SCP-2720の各実例の化学組成は一貫して地球のものと同一です。加えて、各地域に人間の存在や活動の痕跡はありません。唯一の例外は基底現実と接続された扉が立っていることだけです。SCP-2720各実例の内部で、扉は一貫して自然な構造物に付けられています(例えば崖などです)。

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SCP-2720の内部に位置するSpheniscus demersus(ケープペンギン)のコロニー。

加えて、SCP-2720各実例にはいくつかの異常を持たない動物が居住しています。主要な種は通常、ペンギン目 (Sphenisciformes) に属する絶滅の恐れのある種1 , 2であり、たいていはSCP-2720内で抱卵か摂餌を行っています。1つのSCP-2720内でのペンギンの生息数は300体以上だと推定され、オスとメスは同じ数だと考えられています。

SCP-2720内の他の動物(例えば、多様な魚や甲殻類)は主にそれぞれのペンギンに食されています。非ペンギン動物の総数は不明ですが、SCP-2720にアクセス可能な間、SCP-2720内部のペンギンを維持するのに十分な量です。

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Spheniscus mendiculus(ガラパゴスペンギン)の1個体、SCP-2720の実例で発見されました。

SCP-2720へのアクセスポイントは、GoI-3004("ペンギンのための海洋生物保護の会")の代表者からの着信電話によって決定されます。電話は前日の2300から0700(UTC+9)の間に発生します。現在、この通話はGoI-3004との唯一の接触手段であり、電話によってGoI-3004を呼び出す試みは失敗に終わっています。

予約の間、代表者は予約する部屋、チェックインとチェックアウトの時間を決めます。SCP-2720は32から68日間継続し、それぞれの実例で発見されるペンギンの孵化期間と一致します。さらに、SCP-2720の期間は関連するペンギンの繁殖期と一致します。予約確定後、淡島ホテルにクレジットで支払いが行われます。

チェックアウトの時間になると、SCP-2720に繋がる扉は自動的に閉まり施錠されます。扉は適切な鍵か他の有効なピッキング方法で開けることができます。再び開かれた扉は本来の客室へと繋がり、SCP-2720には二度とアクセスできなくなります。閉鎖後、SCP-2720内部のペンギンはそれぞれの地球上での本来の生息地に出現することが、埋め込まれたGPSから判明しました。一方で、チェックアウトの時間にペンギンに触れていなかったSCP-2720の他の生物やオブジェクト(例えば、食べられていない魚や小石など)の所在は不明です。

SCP-2720は2015年7月10日にGoI-3004のメンバーからの予約を受けたアルバイトのホテル従業員によって発見されました。財団は後に異常性を通知され、影響を受けた部屋を観察下に置きました。

補遺2720-1: 2720-1:GoI-3004("ペンギンのための海洋生物保護の会")のプロファイルからの引用

明らかに、GoI-3004は2015年4月に予算上の都合で解散し現在休止中の財団フロント団体3と同一の名前を共有しています。GoI-3004がその財団フロント団体と関係しているのか、偶然名前が同じなだけの別の団体であるのかは不明です。

GoI-3004と淡島ホテルの電話の追跡はイリノイ州シカゴの現在使われていないオフィスまでたどり着きました。シカゴ警察の記録によれば、このオフィスは2016年1月から続いている、シカゴの改装及び修理店を対象とした多様ないたずら電話の追跡先でもあるようです。これらの電話は0900から1700(UTC-6)の間に発生する傾向があります。発信者は一貫してGoI-3004の構成員であると名乗りますが、毎回異なる名前が使われます。これは、GoI-3004内部の上限不明な名簿の存在、もしくはGoI-3004の構成員が偽名を使用する主義であることを示唆しています。

補遺2720-2: インタビュー記録 2720-GoI-3004-05

回答者: ミズ "マリー・オハラ"(GoI-3004の経営管理職4)

質問者: エージェント・ダイヤ・クロサワ

序: 以下のインタビューはGoI-3004が淡島ホテルと接触した際にエージェント・クロサワによって即座に開始されたものです。インタビューは電話機と盗聴器を用いて日本語で行われました。

<記録開始>

ミズ・オハラ: もしもし?海洋生物保護の会です5

[約15秒間、フロントカウンターから転送されている最中だったためエージェント・クロサワからの反応はなかった。ミズ・オハラは「もしもし?海洋生物保護の会です」をその間繰り返し、各発言の間にそれぞれ3秒間の休止を挟んだ。]

エージェント・クロサワ: はい、こちらホテル管理部門のダイヤ・クロサワです。海洋生物保護の会の経営者の方でいらっしゃいますか?

ミズ・オハラ: は、はい。

エージェント・クロサワ: なんとお呼びすれば?

ミズ・オハラ: ええと…[休止]マリー・オハラと。

エージェント・クロサワ: わかりましたミズ・マリー、ありがとうございます。いくつかお尋ねしても?

ミズ・オハラ: いいですよ。何か問題でも?

エージェント・クロサワ: いえ大したことではありません、ミズ・マリー。上役からのいくつかの疑問をはっきりさせるだけですので。

ミズ・オハラ: どうぞ、ダイヤ。管理部門の方からお願いされるなんて滅多にないことだわ。

エージェント・クロサワ: 心配しないでください、そうお時間は取らせません。あなたたちの組織はしばしば当ホテルを予約してくださいますが、誰もキーを取りに来たり部屋を使用したりしないんです。これを私たちは気にしています。

ミズ・オハラ: ああ!でも部屋は使われていますよ。彼らのことを見ているでしょう?

エージェント・クロサワ: 中を見たことはありますが、それ以上のことを知りたいのです。

ミズ・オハラ: 何を知りたいのです?はっきりしてください。

エージェント・クロサワ: 何です?

ミズ・オハラ: ペンギンの保護です!そう言っているでしょう!

エージェント・クロサワ: ええ。ですが許してください、私には部屋がどうやってペンギンの保護を援助しているか見当がつかないのです。

ミズ・オハラ: 部屋はあの可愛いちっともいやなところのない生き物たちに彼らの集団を補給する場所を与えています。あなた方のホテルはその場所を安定させ固定する手助けを私たちにしてくれています、おわかりでしょう。淡島はペンギンの保護について良い評判を得るべきです。

エージェント・クロサワ: でも、私はこれらの問題についてなぜ淡島ホテルを選んだのかを知りたいのです。

ミズ・オハラ: ふーむ、実際のところ、世界中のどの建物でも選ぶことはできたのです。でも、常々淡島と私にはある種の親近感があるように思っていたのです。おそらく別の世界での私たちは、静岡県のある女子校の一部だったのでしょう。

エージェント・クロサワ: すみません、それはかなり具体的で、率直に言ってあり得ないことのように思えます。

ミズ・オハラ: 人工の建造物も、人間も問題とならないような世界でしょうね。[忍び笑い]無限の可能性を持つ世界では何でも起こり得る、でしょう?

エージェント・クロサワ: おそらくは。あなた方のグループの名前をはっきりさせてもいいですか?"ペンギンのための海洋生物保護の会"、それでいいですね?

ミズ・オハラ: ええ、海洋生物(AquaS)のSは大文字です。

エージェント・クロサワ: あーはい…ですが、ペンギンのための海洋生物保護の会は数ヶ月前に解散していますね。正確には今年の4月に。

ミズ・オハラ: 解散?いいえ!6月に5周年を祝ったんですよ。6実のところ、私はとうとう何か意味のある活動ができるようになったんです。

エージェント・クロサワ: ペンギンの保護のような?

ミズ・オハラ: そうです!他に何を保護の会に期待するっていうんです?

エージェント・クロサワ: ミズ・マリー、あなた方は以前は何か目的があって行動していたようには見えないのですが。

ミズ・オハラ: ええ、それは本当に複雑なことなの。かつて私は機械の中の歯車のように感じていました。そうでしょう、あなたが大きな計画の中の重要部分のように振る舞いながら、その実ただの消耗品であるようなものです。ですがそれが変わり、私は何が問題なのか考え、その上に1つの問題があったのです-実行せよと。

エージェント・クロサワ: 深いですね。ですが私たちは電話中ですから、私が気になっていることを聞いてもいいですか?

ミズ・オハラ: 言ってちょうだい、ダイヤ。

エージェント・クロサワ: 私たちは以前からいろいろな状況であなた方と接触しようと努めてきましたが、それらは失敗に終わりました。それは私たちにとってとてもやっかいなのです。

ミズ・オハラ: 私はここにある会社の電話しか使えませんわ、ケーブルの問題ではないかしら。電話をかけることは出来ますが、他のことは出来ませんもの。

エージェント・クロサワ: お互いの協力関係を見据えて、携帯電話の番号を交換するというお考えはありませんか?

ミズ・オハラ: 私は携帯電話を使っていないんです。携帯性は私には重要ではないの。

エージェント・クロサワ: それは残念です。あなたのお仲間はどうです?もしよろしければ彼らと連絡が取りたいのですが?

ミズ・オハラ: 彼らは携帯電話を使っていないんです。携帯性は彼らには重要ではないの。

エージェント・クロサワ: わかりました。では、あなた方のケーブルの問題が近いうちに解決するのを祈っています。修理工は探さないんですか?

ミズ・オハラ: ええ、でも彼らは中に入ったりドアをノックしたりで困らせることはないんです。つまり、彼らは窓やドアから私を見ていないふりをするんです。予約の話に戻りませんか?シュレーターペンギンたちが静かな素敵な部屋を必要としているんです。

エージェント・クロサワ: もちろん、出来ますよ。詳細をお教え願えますか?

[予約に関する情報は除外されました。詳細については文書2720-KUを見てください。]

<記録終了>

結: オハラの言葉によると、GoI-3004が選択すればSCP-2720を別の場所へ移転させられるようです。しかしながら、新しいアクセスポイントが不明な建物(ホテルでない可能性は高い)に(おそらくは世界中のどこかで)広げられるというのは一時的な収容違反に等しいでしょう。従って、収容は暫定的に淡島ホテルに焦点を当てるべきです。

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