SCP-273-JP
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収容前のSCP-273-JP

アイテム番号: SCP-273-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-273-JPはサイト-8181の標準物品収容室に箱に入れた状態で収容します。許可された実験を除きSCP-273-JPに生物が皮膚接触することは禁止します。SCP-273-JPに接触した人員は、監視装置の設置された財団施設内で睡眠をとり、夢の内容を報告するまでは解放されません。また時空物理学の教養のある人物を実験対象とする場合はサイト管理者の許可が必要です。

説明: SCP-273-JPは未知の生命体の頭部です。外見は高さ50cm、重量31.4kgの黒い石の彫刻のように見えますが、極度に高い剛性を持つため、あらゆる破壊試験およびサンプル採取は成功していません。破壊を伴わない分析の結果、SCP-273-JPは珪素に似た組成の物質から構成されていると判明しています。

SCP-273-JPは財団による収容当時、触れた生物に安眠をもたらすだけのAnomalousアイテムであると認識されていました。しかし不眠症によりSCP-273-JPを常用していた██博士の悪夢に関する心理カウンセリングにより新たな特異性が発見され、その後の実験でSCP-273-JPは異次元の生命体の頭部が現次元へ突出したものであることが判明しました。なおSCP-273-JPは身体から切り離された頭部ではなく、身体は別次元に存在しており現在も頭部と接続を保っているものと考えられています。

SCP-273-JPは現次元では活動せず、ただの石の彫刻であるかのように振る舞います。SCP-273-JPに生物が皮膚接触すると、接触した生物(以下被験者と呼称)は「静電気が流れたような」または「名前を呼ばれたような」感覚をおぼえます。被験者はその後の睡眠時、普段の寝つきの良さや精神状態および健康状態に関わらず、速やかにノンレム睡眠を経由してレム睡眠状態に入ります。その後被験者は、SCP-273-JPが背景の一部に必ず登場する夢を見ます。夢の中でSCP-273-JPに触れなかった場合、夢と睡眠は通常通り進行し、以後特異な現象は発生しません。夢でSCP-273-JPに触れた場合、SCP-273-JPの特異性は次の段階へと進行します。これをシナリオAとします。

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被験者によるシナリオAのスケッチ1

シナリオAの開始時、被験者は前後の脈絡なく草原の中央に移動しており、周囲を複数の人型実体に囲まれていることに気づきます。(以下人型実体をSCP-273-JP-Aと呼称。)SCP-273-JP-Aは、両腕両脚が異常に細長く、頭部がSCP-273-JPに置き換わった人型です。服装は背広、ローブ、アロハシャツなど多様で統一されていません。また、頭部がなく空中からぶら下がるように浮遊した個体が必ず1体以上混在しています。被験者がSCP-273-JP-Aに気づくと、SCP-273-JP-A群は被験者と会話を開始します。SCP-273-JP-Aの使用する言語は既知のいかなる言語とも類似性が確認されていませんが、被験者はその意味を理解することができます。会話を拒否した場合は後述のシナリオBへ移行します。会話内容は、SCP-273-JPの取り扱いについての苦言、幾つかの雑多な質問、被験者を含む三次元生物がいかにSCP-273-JP-Aなどの高次生命体に比べて劣っているかの論説などが確認されています。被験者は多くの場合SCP-273-JP-Aの弁論に圧倒され聞き役に終始します。しかしSCP-273-JP-Aの弁論に対し適切に反論、回答を行うことができた場合、夢はシナリオCへ移行します。シナリオCへ移行できなかった場合、SCP-273-JP-Aの弁論は数時間または外的要因により被験者が覚醒するまでの間行われ、その間被験者はノンレム睡眠に移行することができません。この体験は非常に長く退屈で不愉快な悪夢として記憶されます。弁論を反論以外の方法で遮ったり、途中で逃げ出したりした場合も、シナリオBへ移行します。

シナリオBは懲罰的内容の夢です。シナリオ開始と同時に世界全体が黒く変色し、被験者を残して全ての風景が空へ落下するように崩れ落ちます。被験者は無音、無重力、無光源の宇宙空間のような場所に取り残され、外的要因により覚醒するか数時間経過するまでの間、何も変化のない夢を見続けます。この夢について被験者は「シナリオA以上に苦痛であり、永遠に続く無刺激な地獄のようだった」と形容しました。

シナリオCは高次生命体への勧誘的内容です。SCP-273-JP-Aは被験者に対し、全ての三次元物体はより高次の存在の断面であり、被験者自身もただの断面にすぎないことを説明します。分かりやすい例として、一次元の線は二次元の面の断面であり、二次元の面は三次元の立体の断面であり、同様に三次元の立体は四次元の[翻訳不能な単語]の断面である、と説明します。さらにSCP-273-JP-Aは、被験者が縦横高さに続く4つ目以降の次元の軸を自由に移動する方法について説明します。これは二次元の座標系で三次元的に動くような通常不可能な方法です。現在まで全ての被験者はこの説明を理解できていません。被験者が説明を理解できないことを述べると、SCP-273-JP-Aは残念そうな素振りを見せ、被験者に帰ってよいと伝えます。この時点でSCP-273-JPの影響は終了し、通常のノンレム睡眠へ移行することが可能になります。

現在までSCP-273-JPが安眠を誘い夢を見せる以外の特異性を発現させた事例はありません。このためSCP-273-JPの見せる夢はただの無意味な夢であり、SCP-273-JPがSCP-273-JP-Aの頭部というのも無意味な夢によるミスリードではないのか、という懐疑的な提唱がなされています。

実験記録██ 20██/██/██:

対象: ██研究員。時空に関する有用な研究論文を執筆した実績あり。
結果: SCP-273-JP-Aの会話内容は、三次元空間を折りたたんで別の座標へ瞬時に移動する方法や、密閉した箱の中へ移動する方法(一度箱を破壊し、中へ入り、箱を時間遡行させる)など、多数の具体的事例を含んでいた。しかしその方法は荒唐無稽な論理と極端な精神論に基づいており、██研究員は明らかに実現不可能であると断定した。
分析: SCP-273-JP-Aが本当に被験者を高次存在に迎え入れようとしているのかは疑問が残る結果となった。██研究員は、SCP-273-JPは意味ありげだが実際は無意味な夢を見せるだけのただの彫刻であり、高次元存在の頭部であるという説は誤りであると指摘。この指摘はSCP-273-JPの正体を示す有力な説として検討されています。

実験記録██ 20██/██/██:

対象: ██博士。時空研究に関する第一人者。
結果: 夢の内容は██研究員とほぼ同様。██博士は実験後、詳細は十分に検討してから報告したいと要請しました。要請は承認されました。
補足: 実験の翌日13時頃に客員研究室で██博士が「Eureka!!」と叫ぶ声を██研究助手が聞いて以降、██博士の所在は不明になっています。██博士の捜索は現在も継続中です。

補遺: SCP-273-JPの実験に時空物理学を専攻した複数の職員が志願していますが、サイト管理者が承認するに足る正当な理由がなければ、実験は許可されません。確かにSCP-273-JP-Aと時空物理学に関する議論を行うことは、人類にとって有益な知識をもたらす可能性があります。しかし財団は学術的好奇心を満たすことだけを目的とした実験を許可することはありません。それが職員を危険に晒すおそれがあるならば尚更です。高次元存在になったと噂されている██博士を羨む職員がいることはサイト全体の懸案事項として取り扱われています。身に覚えがある職員は我々の責務を再確認してください。

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