SCP-274-JP
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SCP-274-JPの位置する中脳腹側被蓋野(VTA)、及び側坐核(n. accumbens)

アイテム番号: SCP-274-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-274-JPに関する研究及び情報は全て監視され、徹底して秘匿されます。SCP-274-JPの性質が一般に知られる事の無いようにしてください。あらゆる生物学、医学、その他SCP-274-JPに関係する可能性があると判断された研究機関には、規模に応じた適切な人数の財団のエージェントが配置されます。SCP-274-JPに関する情報を得たと判断された個人には、クラスB記憶処理(SCP-274-JP代替記憶指定)を行う事が担当職員に義務付けられています。

説明: SCP-274-JPは、現生人類(Homo sapiens)の脳のうち、中脳腹側被蓋野に存在する特定の神経細胞群です。財団の隠匿処置プロトコルにより、一般の神経学に於いてはドーパミン作動性神経、即ち欲求充足に対する快の情動を司る報酬系の領域であるとされています。

SCP-274-JPの性質は、旧ソ連の神経病理学研究者であった████ ██████氏が197█年に発見しました。財団はその研究結果の内容を受け、SCP-274-JPの性質の隠匿処置1を決定、現在の収容体制に至りました。

通常SCP-274-JPは一般医学で知られている通りに、脳内報酬系、即ち快の情動を司る細胞群として働きます。SCP-274-JPは、食・睡眠などの行動を正の強化因子とする本能的行動の発現や、より高次な情動発現等を司る中脳辺縁ドーパミン経路の起始細胞群であると定義され、実際にそのように機能しています。

SCP-274-JPの異常性は、個人によって異なる特定の音楽(以降SCP-274-JP-sound)を想起する事がトリガーとなって発現する、一連の異常な反応、及びそのメカニズムにあります。この異常な反応は、最終的に必ず対象の自殺に終わります。この自死を誘因させるメカニズムが、脳の構造に予め組み込まれている理由は判明していません。またこの反応を誘発するSCP-274-JP-soundは、財団が蓄積したこれまでのデータから、その旋律が個人により完全に異なっていると推測されています。これを裏付ける事実として、一度SCP-274-JPを活性化させた事が確認されている旋律を別の人間が聴いても、異常反応の発現に至った例が未だ確認されていない事が挙げられます。これにより、特定の個人に対しSCP-274-JP-soundとして働く旋律がどのような物か、事前に予測する事はほぼ不可能であると結論付けられています。

SCP-274-JPの異常反応の発現は、次のような流れを取ります。まず、対象がSCP-274-JP-soundを想起すると、通常の音楽と同様、側頭葉一次聴覚野が活性化します。活性化した一次聴覚野から何らかの経路で刺激を受けたSCP-274-JPは、通常有り得ない強度の非常に激しい同期発火を自らを起点として生じさせます。この詳細なメカニズムは明らかになっていません。この活動電位の急激な変化は周辺領域を伝播していき、大量のβ-エンドルフィンの分泌やGABA脱抑制機構の活性化等を通して、最終的に快楽中枢である側坐核2に対し非常に強い刺激を与え続け、中枢神経系の永続的なバースト発火を形成します。

この状態に陥った対象は、中枢神経系を侵すこの異常なバースト発火が原因と考えられる意識の混濁と、強直性筋収縮を示します。この時、胸部筋痙攣による呼吸困難等を伴う場合もあります。然しながら、この明らかに苦痛を伴う状態にも拘らず、対象は非常に強い多幸感と興奮状態を示します。これは側坐核の異常に因る物と推測されています。

更に対象は、報酬系の異常に起因した未知の強い条件付けに基づくと推測される、以下の症状並びに異常行動をとります。そして前述したように一連の異常行動は、必ず対象の自殺という結果に終わります。この状態から回復した例は存在しません。

発現直後: 激しい痙攣を示します。
~約10分: 突然立ち上がり、両手を挙げ上方を見上げる様な姿勢を取ります。この姿勢は維持されます。
~約30分: 姿勢は維持したまま、何らかの発話を行ないます。発話は多くの場合、何らかの音楽に言及した内容ですが、支離滅裂な物です。
~約45分: 発話後、膝を着き、上半身を緩やかに脱力させ、両腕、頭を前方に垂れた姿勢になります。
~約50分: 対象は急に活動的になり、周辺を歩き回ります。そして周囲にある物を利用して自殺を図ります。この時、第三者が妨害する事で自殺を止めること自体は可能です。
~約180分: 急激に全身を脱力させ、床に倒れ込み昏倒します。
〜約200分: 対象は意識を取り戻します。この段階で上記の意識混濁、強直性筋収縮等の症状は消え、異常が消えた様に見えます。また通常の会話も可能になります。然し依然としてSCP-274-JPによるバースト発火は続いており、管理下に置かれていない場合、対象は数日以内に再度自殺を試み、自死が成功するまで繰り返します。自殺の動機について、インタビューでは有意な回答を得られたケースは存在していません。

これらの行動は、影響を受けた全ての対象が必ず行う事が確認されています。何故全ての対象が全く同じ異常行動をとるのかは、依然として解明されていません。

なお、SCP-274-JP-soundを聴いた事が無くとも、SCP-274-JP-soundを想起するだけでもSCP-274-JPの異常特性の発現に繋がります。稀に一部の音楽家などが自らのSCP-274-JP-soundに該当する旋律に辿り着く事があり、この事に因る音楽家の自死を、財団はこれまで[データ削除済]件確認しています3。死亡した音楽家の多くが25~30才に集中していますが、原因は未だ解明されていません。

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