SCP-279-JP
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アイテム番号: SCP-279-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-279-JPの全実体はサイト-8182の敵対的生物収容施設に収容します。各個体は隔離して耐食性の檻に格納し、保安職員は大出力テーザー銃と散弾銃を携帯してください。給餌は不要であり、許可された実験を除いて禁止します。SCP-279-JPから発生したSCP-279-JP-Aはすべて焼却処分してください。SCP-279-JP実体を用いた実験時は四肢および頭部の切断などの十分な無力化処理を施してください。

説明: SCP-279-JPは広島県██山中に位置する廃墟およびその近傍で発見、回収された3体の動物です。SCP-279-JPは不老であり、栄養や水分の補給、睡眠、呼吸をすることなく無期限に活動することができます。ほとんどの臓器は通常の動物と同じように存在していますが、薬物投与や心臓および脳幹を含む臓器破壊がわずかな効果しか示さないことから、筋肉と神経系以外の組織はほぼ使用されていないものと推測されています。

SCP-279-JP-1~3はそれぞれ既知の動物(後述)の特徴を有していますが、体長は通常の3倍程度に巨大化しており、これに比例して強力な筋力と骨格を有します。SCP-279-JPは共通して眼窩から脳の一部の顔面が陥没したように欠損しています。このため視力はありません。しかし非常に攻撃的であり、音や匂いで生物を認識すると即座に攻撃を開始します。またSCP-279-JPは驚異的な生命力を有しており、通常の生物であれば致命的である損傷を負っても短時間で自己修復します。しかし修復能力には限界があり、本体から裁断された肉片は修復能力がほとんどないため、修復が追いつく前に全身を破壊し続けることで無力化することが可能です。SCP-279-JPの自己修復能力は有機体を捕食することで促進されます。頭部が切断されている場合、他の肉体の部分を消費して頭部を最優先で修復します。ただし眼球など前述の顔面の欠損は修復されません。また損傷がない状態で有機体を捕食すると、SCP-279-JPは全身の皮膚からSCP-279-JP-Aを発生させます。

SCP-279-JP-Aは白い蛆虫状の未知の生物です。体長は平均して5mm程度であり、感覚器官、生殖器官などは確認できません。SCP-279-JPから分離したSCP-279-JP-Aは不明な方法で互いの位置を認識しており、複数体で直径およそ3~4cmの球を構成するように集まる習性があります。SCP-279-JP-Aもまた不老ですが、攻撃性はなく、簡単に無力化することが可能です。SCP-279-JPは戦闘により負傷するとSCP-279-JP-Aを捕食し、自己修復を行います。このためSCP-279-JP-AはSCP-279-JPの保存食であると考えられています。

発見当時、SCP-279-JPの全身はおびただしい数のSCP-279-JP-Aで覆われていました。当初その外見からSCP-279-JPはSCP-279-JP-Aに侵食されているのではないかと考えられていましたが、SCP-279-JPの生体組織中にはSCP-279-JP-Aは存在していないこと、SCP-279-JPから離れたSCP-279-JP-A個体はSCP-279-JPに戻ろうとしないことなどから、SCP-279-JPは自らSCP-279-JP-Aを生産していると結論づけられました。またSCP-279-JPの体内には未知の臓器が一つ以上存在します。研究チームはこの臓器がSCP-279-JP-Aの発生源であると推測しており、臓器を他の動物(人間を含む)に移植する実験は現在申請中です。承認済みです。サイト非常勤の██博士のスケジュールの調整が完了次第実施されます。

またSCP-279-JP-Aは通常の生物にも摂食可能であり、優秀な栄養素を多く含んでいます。ミンチ状にして加熱することで[編集済]に似た食感を得ることができ、摂食したDクラス職員は「カビた畳のようなにおいが気になるが、味は良い」と評しました。後続のSCP-279-JP-Aを生で摂食する実験では、被験者は強い拒否の意向を示しました。██博士が被験者を安心させるために、前回の実験の素材であることを伝えたところ、被験者はその場で嘔吐しました。その後の実験で、SCP-279-JP-Aは生食しても無害であることが判明しています。

現在、SCP-279-JPの不死性とSCP-279-JP-Aの生成メカニズムについての研究が進行中です。

SCP-279-JP 各個体詳細

対象: SCP-279-JP-1
素体: 雑種犬(外見およびDNAの類似性から判断)
体格: 体長 1.67m、体重 103kg
捕獲時の様子: 廃墟近傍の森で発見。財団による確保前に少なくとも民間人██人が殺害されている。公的には野生化した大型犬であるとのカバーストーリーを流布。機動部隊う-14"キツネ狩り"により一時的に無力化し確保。無力化までに部隊員7名死亡、25名負傷(内18名は咬傷による感染症で後に死亡)の損害が発生した。
現在の様子: SCP-279-JPの中で最も攻撃的。嗅覚が鋭敏であり、職員が収容室に接近したことを探知しただけで凶暴化する。収容施設はSCP-279-JP-1には破壊不可能な強度であるが、攻撃対象が十分に離れるまでは、肉体が著しく損傷するほど激しい収容違反を試み続ける。変異型狂犬病ウイルスのキャリアであるため、基本的に接触は禁止とする。

対象: SCP-279-JP-2
素体: ニホンザル(外見およびDNAの類似性から判断)
体格: 体長 1.77m、体重 156kg
捕獲時の様子: 廃墟内の仮眠室と思われる部屋のベッドで睡眠中だったが、機動部隊員が接近したところ覚醒し、凶暴化。両手両足を自在に操るため俊敏性に優れており、銃器のみの鎮圧に失敗。爆薬を装備した部隊員が捕捉されたと同時に起爆することで足止めに成功、散弾銃により四肢と頭部を破壊し確保。
現在の様子: 多くの時間、自身の肉の捕食と再生を繰り返している。球状のSCP-279-JP-Aを溜め込む習性がある。知能が高く、収容違反を繰り返している。
収容違反記録1: 20██/██/██、実験のため職員が檻に近づいた際、SCP-279-JP-2は自身の手首を折り、噛み切って職員に向けて投擲。職員は内臓破裂の重傷を負った。
収容違反記録2: 20██/██/██、檻を破壊し逃走を試みたが、収容室内から出ることはできなかったため未遂にて再収容。監視カメラは過去数ヶ月間、SCP-279-JP-2が断続的に嘔吐している様子を撮影しており、SCP-279-JP-2は胃液を少しずつ檻に塗り腐食させて破壊したことが判明。以後檻の素材は耐食性に優れたものに変更された。
収容違反記録3: 20██/██/██、SCP-279-JP-2が突如苦しみだし、仰向けに倒れ、呼吸および心拍が停止。職員が調査のため接近したところ覚醒し、その場で職員2名を捕食した。

対象: SCP-279-JP-3
素体: トウカイキジ(外見およびDNAの類似性から判断)
体格: 全長 1.80m、翼開長 1.62m、体重 7.2kg
捕獲時の様子: 廃墟内の実験室に拘禁されていた。飛翔能力を警戒し、全体重の6割を欠損させた状態で確保。(3日後には完全に回復。)発見当時、実験室内には無数の卵が散乱していた。卵の外殻に特異性はないが、内容物は生物を接触により融解、同化する能力を有する。加熱により不活性化するが、摂食した実験用ラットは胃、小腸、大腸を中心に、重要臓器が融解し死亡。
現在の様子: 定期的に(3ヶ月に1個程度)産卵。卵細胞が生成される点からSCP-279-JPとしては珍しく臓器を本来の用途で使用している模様。他の個体に比べると攻撃能力は低め。翼を切り落とすと凶暴化するため、輸送時には頭と足を先に切断すること。

SCP-279-JP 二次的個体詳細

対象: SCP-279-JP-3-a
発生方法: SCP-279-JP-3の卵にトウカイキジの精子を人工授精させて孵化させる。
実験結果: 内臓の詰まった肉塊から無数の足が生えた生命体が誕生。自己修復能力およびSCP-279-JP-Aの生成能力は微弱。焼却により無力化済み。

対象: SCP-279-JP-3-b
発生方法: SCP-279-JP-3-aに同じ。
実験結果: 頭部のないトウカイキジの幼鳥が誕生。点滴による栄養補給で通常通り成長したが、自己修復能力は微弱。肉は実験用ラットの胃で消化することができず、腸壁に癒合した。粉砕機により無力化済み。

対象: SCP-279-JP-3-c
発生方法: SCP-279-JP-3-aに同じ。
実験結果: [データ削除]。██研究員の遺体は焼却により無力化済み。

廃墟から回収された文書(現代語訳)

帝国陸軍 虚六技術研究所 所長殿

ご依頼の生物延命の問題と食料備蓄の問題について、岡山県██島に伝わる民話「妖術師と無貌の群れ」の現地調査の結果、双方をある程度解決する生体標本の捕獲と再現に成功したため、これを送付いたします。現在のところ眼球と脳の一部の欠損という施術を用いずしてこの生体を再現するには至っておらず、御前のお身体に適用するには甚だ未熟な状態であることをお詫び申し上げます。つきましては今しばらくのお時間ともう少々の研究資金を頂戴いたしたく、何卒よろしくお願いいたします。

ぬ號実験体 送付標本一覧
番号 素体 性別 留意点
要、口輪、足枷。
要、手枷、足枷、猿轡。
籠から出さぬこと。
要、猿轡、手枷、足枷(背後で手枷と連結)

帝国陸軍 虚四生類技術局

回収場所から発見された資料に記載された施設および団体は公式には存在しません。また4体目のSCP-279-JP個体は未発見です。

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