SCP-2796
評価: -5+x

アイテム番号: SCP-2796

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2796に対する実験は低優先度に設定されているため、財団はサイト-22の低温長期保管庫内に約100リットルのSCP-2796のストックを保管しています。この物質は低温下で安定することが観測されているため、ストックのモニタリングは年一回の検査で済ませることが決まりました (この変更時点では、次回の検査は1997年6月4日に予定されています) 。

SCP-2796の生成法の説明書類はセレクトアーカイブ上で適当な紙面および電気的なバックアップを行った上で、サイト-15内にハードコピー形式で保管します。利用可能なSCP-2796のストックが約50リットル以下まで減少する事象が発生した場合、財団職員はストックを更新するように指示されています。

過剰量の物質は水に溶解させて破壊しなければなりません。

説明: SCP-2796は異常な接触型幻覚誘発剤として作用する水性の液体化合物です。この物質は一般に入手可能な抽出物や家庭用化学製品を用いた単純な生成法によって容易に生成することができ、限られた量であれば接触や消費を行っても目立った健康被害は起こりません。SCP-2796による影響は90分以内に無くなっていきます。

SCP-2796の暴露者はみな共通して同一の幻覚を経験します。彼らは視覚的かつ触覚的に、近頃SCP-2796と接触があった身体の一部に瘢痕や壊疽、色素沈着が突如出現する感覚を経験します。被験者はみな揃ってこの現象について供述する上、供述内容は隔離下にあった被験者のものでさえも一致します。

瘢痕は一般的な外科的切開で生じる類のものが最も頻繁に出現し、その種類は小さな直線状の瘢痕から胸部のY字瘢痕、さらには頭蓋骨または関節付近の環状瘢痕にまで及びます。長期実験中に小数の"新鮮な"瘢痕が出現したとの報告があったものの、これらの瘢痕の位置や広がり方は複数のSCP-2796暴露者の間で一致しています。僅かな割合の被験者は、個々の瘢痕が自身が経験する痛みや疼きと対応していると報告しており、しばしばこれらの瘢痕が近頃炎症や感染を起こしているように見えると述べます。これは向精神薬の被験者の間で共通するパターン形成の心理的な傾向と一致します。

色素沈着は、太い破線状の薄黒い線が身体中に描かれる形で出現します。これらは被験者の腋の下、胸、手首、首、および性器の周囲に集中して出現する傾向にあり、しばしば複数の暴露箇所の間で大きく異なった現れ方をします。特筆すべきは、数人の被験者が身体のある一定の部位に執着するようになり、これらの部位上の線が頻繁に微修正を伴って描き直されているという報告を行っている点です。僅かな割合の事例において、被験者はこれらの線のいくつかと共に出現するシンボルについて報告を行っており、その大半が再出現した線上で確認されています。これらのシンボルは複写されており、現在1財団の言語学者と暗号部門による分析が待たれていますが、低優先度として格付けがなされています。

壊疽の出現は稀であり大抵は顔の部位の変質という形で出現しますが、その出現の仕方は複数の暴露者の間で同一ではありませんでした。その実例の少なさ故に、現時点ではこれらの多様な報告についての十分な理由付けが不可能な状態です。

実験を通じて、若年の被験者ほどより多くの色素沈着による線の出現を感じ取っており、年配の被験者ほどより多くの瘢痕の出現を感じ取っていることが判明しました。心気症を患っている実験被験者が、平均よりもずっと多い数の斑紋や瘢痕の出現を感じ取っている点は特筆に値します。

SCP-2796は元々、異常な治療法が用いられているという報告を受けて、197█年に財団がカナダの███████に位置する緩和ケアセンターを査察している間に発見されました。従業員たちは存在しない傷の"治療"を可能にすべく、SCP-2796を生成して自身や患者に使用している様子が見られたほか、慢性あるいは末期の疾患を持つ複数の患者は、幻覚によって現れた色素沈着を模倣して自身の身体にペンキやマーカーで印を付けていました。調査および情報操作のための活動が開始されましたが、SCP-███の収容に向けた人員再配置の間に中断されました。直近の報告書改訂の時点 (1996年4月5日) では、既知の未収容SCP-2796実例ならびにその製造法の存在はそれ以降確認されていません。

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