特別収容プロトコル: SCP-2828は現在未収容であり、全世界の人間集団に遍在しています。しかし、強力な記憶補強薬を用いなければ発見は不可能であるため、セキュリティ違反や公衆による発見のリスクは最低限だと見なされています。
機動部隊ε-7 ("勿忘草")隊員を主とする、製薬会社または化学薬品製造会社で高い地位を装う財団秘密工作員は、記憶補強能を持つあらゆる化学物質の生産プロジェクトを監視し、その物質のプロトタイプを調達してください。SCP-2828を知覚することを容易とする作用があるかどうか実験が行われ、それに基づいて研究継続の可否が決定されます。財団工作員は、SCP-2828に言及する可能性のあるインターネット上の投稿や科学雑誌を常に調査してください。
SCP-2828の外見、質感、音、匂い、味についての記録は、機動部隊η-10 ("シー・ノー・イーヴル")と機動部隊η-11 ("獰猛な獣たち")を待機させた上で、記録情報セキュリティ管理室(RAISA)と反ミーム部門の職員の二重盲検によってDクラス職員を用いた安全性試験が行われ、適宜編集や削除が行われます。
説明: SCP-2828は反ミーム作用を持ちほぼ発見不可能な人体の部位で、耳の後ろに位置します。身体におけるSCP-2828の役割は事実上存在せず、完全な痕跡器官であると仮定されています。
SCP-2828はクラスWかそれ以上の強度の記憶補強薬を用いなければ知覚できず、そうしたとしてもその知覚の範囲は制限されます。つまり、SCP-2828はただ一つの感覚でしか知覚することができません。ある被験者によって特定の感覚がSCP-2828の知覚に最初に用いられると、被験者は以後、その感覚によってのみSCP-2828を知覚できます。例えば、SCP-2828に触れた、音を聞いた、匂いを嗅いだ、味を見た経験のない被験者がSCP-2828を見た場合、被験者は以後それに触れる、音を聞く、匂いを嗅ぐ、味を見ることが不可能になります。
この作用はあらゆる形態のコミュニケーションに及びます。SCP-2828を見たことのある被験者は、その匂いを示す文書や発言、それが立てる音の解説などを理解することができません。記憶処理はSCP-2828の記憶を消去することが可能ですが、それを行ったとしても、対象は最初の知覚に用いられた以外の感覚でSCP-2828を知覚することはできません。これは、SCP-2828がそれを知覚した対象の脳内の化学的環境を恒久的に改変するためだと考えられています。
記憶補強薬の影響下でSCP-2828を知覚したことのない被験者は、SCP-2828を別個の感覚で説明した複数の情報源を完全に把握することが可能です。しかし、この後に被験者が記憶補強薬を用いていずれかの感覚によるSCP-2828の知覚を試みると、[編集済]。このため、いかなる財団職員もSCP-2828の外見、質感、音、匂い、味についての複雑な、または比較的詳細な説明を学ばないことが不可欠です(取扱方を参照)。
これ以外にSCP-2828に即時の危険性はなく、他の異常性質もありません。
19██年5月26日現在より、SCP-2828に関する全ての実験はプロジェクト管理者A██████に報告し、次の書式で記述すること。
日時: YYYY年MM月DD日
監督者: [実験を監督する職員の氏名]
被験者: [被験者の指定または氏名]
前書: [実験手順の説明]
第一感覚: [被験者がSCP-2828の知覚に用いた最初の感覚]
結果: [実験結果と得られた知見の要約]
注: [監督者による注記]
日時: 19██年05月09日
監督者: A██████博士
被験者: D-206344
前書: 被験者は██mgの記憶補強薬を投与され、A██████博士の耳の後ろに見えたものを説明するように指示された。その後、被験者は2名の武装警備員の監視下でその部位を触り、その感触を報告するように指示された。
第一感覚: 視覚
結果: 被験者はSCP-2828の外見の説明に成功し、[データ削除済]と述べた。これはA██████博士による説明と一致している。感触に関する指示では、被験者は「何も感じない」と述べた。彼女は続けて、「手に何かが触れているのは見えるけど、[手から]こいつの感触がしない」と述べた。
注: SCP-2828は観察者によらず一定の外見を維持しているようである。
日時: 19██年05月30日
監督者: J██████博士
被験者: D-206344(被験者A)、D-206345(被験者B)
前書: A██████博士のプロジェクト管理者への昇進に伴い、J██████博士が実験を引き継いだ。不測の結果による影響を最小限に抑えるため、J██████博士に記憶補強薬は投与されなかった。
生来盲目である被験者Bは██mgのクラスW記憶補強薬を投与され、被験者Aの耳の後ろを触り、その感触を説明するよう指示された。被験者Aは被験者Bの説明を聞くよう指示された。被験者Bは点字-英語翻訳タイプライターを用いて自身の説明を記録し、被験者Aはその説明を読み上げるよう指示された。
第一感覚: 被験者A: 視覚、被験者B: 触覚
結果: 被験者Bは[データ削除済]と報告し、被験者Aにこれを伝達した。被験者Bの言葉を繰り返すよう指示されると、被験者Aは、被験者Bは何も話していなかったと主張した。被験者B自身がその言葉を繰り返すと、被験者Aは、彼は外国語で話しているに違いなく、聞いた言葉を繰り返すことができないと主張した。J██████博士は被験者Bの説明を聞き、理解することが可能だった。
被験者Bが説明を打ち込んだ文書を被験者Aに手渡すと、彼女は「文字が動いて」いて「単語を見つけられない」と主張した。被験者Bが再び文書を打ち込んで手渡すと、彼女は紙片には完全に何も書かれていないと主張した。J██████博士は被験者Bの説明を読み、理解することが可能だった。
注: SCP-2828の反ミーム作用は音声や文書にも及ぶようである。私、J██████博士は被験者AからSCP-2828の外見を、被験者Bからその質感を聞いて理解している。これは、私が直接SCP-2828を目撃していないからであるに違いない。私は個人的にクラスW記憶補強薬を投与されることを希望する。
要求を承認する。–反ミーム部門管理者 [編集済]
日時: 19██年06月17日
監督者: F██████████博士
被験者: J██████博士(被験者A)、D-206392(被験者B)
前書: 被験者AはSCP-2828の外見と質感の双方に精通している。彼は目隠しと耳栓をされ鼻をテープで塞いだ状態で、██mgのクラスW記憶補強薬を投与された。被験者Bは被験者Aの視線上にSCP-2828が位置するようその正面に移動させられた。被験者Aは目隠しを外され、見えるものを報告するよう指示された。
第一感覚: 被験者A: 視覚、被験者B: なし
結果: [データ削除済]。J██████博士を救うことはできなかった。
注: [データ削除済]。取扱方は更新された。Keterへの昇格を要求する。
要求を拒否。SCP-2828はEuclidに昇格された。–O5-██
これを読んでいるならば、あなたは資格情報に応じた十分なミーム対抗措置を受けており、以下の機密情報への安全なアクセスが可能となった状態にある。しかしSCP-2828の強力な認識災害作用のため、いくつかの情報は安全のため省略されなければならない。–F██████████博士
SCP-2828の解剖学的構造は外見的に、小さな耳介を有する外耳に似ています。主に典型的な上皮と真皮の細胞から構成されており、内部には軟骨や非常に微量の脂質を含みます。しかし、神経や血管は存在しません。
SCP-2828実体を構成する細胞は、SCP-2828-1と指定されています。
全てのSCP-2828-1実体は、これまでにいかなる動作も見せていません。SCP-2828-1に対する化学物質試験では、いかなる物質もSCP-2828-1と相互作用しませんでした。全ての分子はSCP-2828-1の細胞膜に「跳ね返される」ように思われます。同様に、細胞膜の能動輸送タンパク質やチャネルは機能していません。また、SCP-2828-1実体の内部ではいかなる代謝過程も記録されていません。これまでに観察された全てのSCP-2828-1実体は同様の「凍結状態」にあります。結果として、全てのSCP-2828-1実体は通常の手段によって破壊不可能です。
SCP-2828-2はSCP-2828-1実体の間隙で発見された破壊不可能な異常物質で、SCP-2828-1実体の相互の位置関係を固定しています。SCP-2828-1とSCP-2828-2の性質がSCP-2828を事実上破壊不可能なものとしており、これは研究の大きな障害となっています。
SCP-2828は小型であり、喉の特定の領域への、特定の角度からの刺し傷に対してのみ防衛上の利点を持ちます。これは████████ █████からの防御に特に効果的で、この目的で進化したと推測されます。████████の最後の個体の一つであるSCP-████-EXに対する実験も、この仮説を強く裏付けています。████████は先天的に記憶補強能力を持っており、人類の解剖学と行動についての豊富な記録を種族内で共有していました。これによって、SCP-2828は通常の初期人類を傷付けずに、これらの初期人類の天敵を無力化したと考えられています。
████████は現在絶滅しているため、SCP-2828は明確な機能を果たしておらず、財団職員にとって重大な認識災害的脅威となっています。被験者が別個の感覚による複数の複雑なSCP-2828の解説を学び、後に記憶補強薬を用いてそれを直接観察した場合、複数の強直間代発作、脳卒中、脳内出血が引き起こされます。このため、将来の問題を避けるための注意が不可欠なものとなっています。
補遺2828-01: SCP-2828は19██年、財団研究員で、サイト-██の臨床医の一人でもあったA██████博士が反ミーム部門に異動となった際に発見されました。全ての反ミーム部門職員と同様に、彼女はクラスW記憶補強薬を処方されました。彼女はサイト-██の臨床医としても働き続けましたが、2日後の██月██日、A██████博士はエージェント・F███の半年毎の健康診断の際に彼の耳の後ろの特異性に気付きました。彼女はそこに触れましたが何の触覚刺激も感じられず、自身の耳の後ろを触った場合も同様でした。明らかな異常影響を認識したことで、彼女はサイト管理官S███████に直ちに報告しました。
補遺2828-02: 19██年6月17日の事件の後、SCP-2828に関する全ての実験はサイト管理官S███████によって中断されました。