SCP-289-JP
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観察を行うSCP-289-JP個体。

アイテム番号: SCP-289-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-289-JPは熱帯多湿環境に保った標準の生物収容ユニットに収容され、そこに設置される120cm×45cm×45cm以上の保湿性の高いケージにそれぞれ入れられた状態で飼育されます。研究のための人体実験には終了処分されたDクラス職員を使用してください。現在SCP-289-JPの生息地域で財団による捕獲作戦が行われており、新たな個体が収容され規定の個体数を超えた場合には処分を行ってください。

説明: SCP-289-JPはおよそ30~40cmほどの体長を持つオカヤドカリ科ヤシガニ(学名:Birgus latro Linnaeus)の近縁種です。一般的なヤシガニに比べ発達した付属肢を持ち、平面や壁面を時速10kmを超える速度で移動することが可能です。SCP-289-JPは非常に憶病かつ慎重な性格で、普段は岩の割れ目や穴の中などに隠れ住んでいるため人の目に触れることはほとんどありません。

SCP-289-JPが有する最大の特徴は人間の頭部を宿貝のように利用するという異常な習性です。SCP-289-JPは人間の生首の脳室に下体を潜り込ませ奇居することで人頭がもともと有していた視力、屈折・調節、眼球運動、両眼視などといった視機能を掌握し、既存の感覚器官に加えて人間相当の視覚能力を獲得します。現在これを可能としているプロセスは解明されていません。SCP-289-JPは常に防腐効果のある体液を分泌しており、それにより人頭部は通常の死体より遥かに長期間の保存が可能ですが、視機能は数ヶ月ほどで眼球の劣化などの影響を受け低下し始めます。

SCP-289-JPは視機能低下にともない定期的に“宿替え”のため人間を狙った狩猟活動を行うことが知られています。その一般的な狩猟方法は標的に定めた人間1の住居周辺に潜み、対象とその生活環境を屋外から観察することから始まります。その際SCP-289-JPは標的に本体を晒すことを嫌い人頭の両眼を使用します。観察は主に夜間に壁面にしがみついた状態から窓の端、あるいはカーテンなどの隙間などから覗き込ませるような形で行われるため、標的は観察に気が付いた場合でも人頭部のみを視認することになり、また観察行動を察知されたSCP-289-JPは素早く壁面を移動し身を隠すため標的がSCP-289-JP本体の存在を知覚することは困難です。こうした行動は2週間から1ヶ月ほど継続して行われた後、より至近距離からの観察へと移行します。この変化は視機能低下の進行と、標的の警戒心が増すことによる屋外からの観察機会の減少の二つが原因だと考えられています。最終段階でSCP-289-JPは標的の住居に侵入を行い、屋根裏、ベッドの下段、収納スペースなどに潜り込みます。SCP-289-JPはその状態で標的の入眠を待ち、頸部を発達した鋏脚で攻撃することで殺害します。その後SCP-289-JPは同じく鋏脚を用いて頸部を完全に切り離したあと側頭骨に穴を開け潜り込むことで“宿替え”は完了します。それにともない放棄された古い人頭部はほとんどの場合において持ち帰られた後に食料として消費されます。

SCP-289-JPは19██年、██県の周辺地域で断続的に発生する異常な不審死が財団に注目されたことで発見されました。これらの事件は被害者が死亡前にストーカー被害や不審者の存在を報告していたことから、当初はそれに関連する猟奇殺人事件として捜査されていました。これまでに財団は計███体のSCP-289-JPを確保・収容しています。

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