SCP-294-JP
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SCP-294-JP-A

アイテム番号: SCP-294-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-294-JPに指定された樹木の周囲は財団管理下に置き、周囲には私有地を表す鉄柵を設置して下さい。財団指定の林道から離れる一般人は要注意対象とされ、機動部隊へ-1("冬眠明けの熊")によって補足及び拘束されます。

緊急輸送プロトコル"大雪の予感"発令に備えて、一部のSCP-294-JPの近くにはセーフハウスが設置されています。当該SCP-294-JPの管理職員は、SCP-294-JPの清掃を行って下さい。尚、予期せぬSCP-294-JPの活性化を防ぐ為にSCP-294-JPのウロ部は封されています。

説明: SCP-294-JPは変則的な特性を示す、クスノキ科の常緑大高木カゴノキ(Litsea coreana)、又はクスノキ科の常緑高木ヤブニッケイ(Cinnamomum japonicum)と同一の遺伝情報を持った樹木です。SCP-294-JPに共通してあるものは、根元に大きく開いた樹洞(ガランドウ部)、及び根元から約 1.5mの高さにある半径1cmの樹洞(ウロ部)です。

SCP-294-JPの特殊性はSCP-294-JPのウロ部にあるトゲに被験者の全血が接触する事によって生じます。被験者がウロ部のトゲに触れると、被験者の指の出血を伴って、トゲから注入されるニコチン、[編集済]によってたちまちニコチン中毒症状に陥り昏睡します。

被験者の全血と接触したSCP-294-JPは、SCP-294-JP周囲の分解者生物群集(ヤスデ・ミミズ・カニムシ等)を誘引するある種の集合フェロモンを分泌します。これによって昏睡状態に陥っている被験者を含めた周囲の動物遺体は急速に分解されます。また同時に、SCP-294-JPの樹皮は次々に剥離し始め、剥がれ落ちた樹皮はSCP-294-JP-Aと指定されるクサギカメムシ(Halyomorpha halys)様の生物に変化します。

SCP-294-JP-Aは約400~500匹の群れで排出されます。SCP-294-JP-Aは排出したSCP-294-JPから別のSCP-294-JPまで移動した後、移動先のSCP-294-JPのガランドウ部からSCP-294-JP内に入ります。この時、群れの一部のSCP-294-JP-Aは外部要因で失われているかもしれません。移動先のSCP-294-JPのガランドウ部には全血提供者が合成されますが、その状態はSCP-294-JP-Aの残存数、排出元、及び移動先SCP-294-JP内部の状態に左右されます。

SCP-294-JPは日本全国、北は青森県八戸市多賀(SCP-294-JP-23)から南は熊本県水俣市古賀町(SCP-294-JP-33)まで発見されており、そのうち滋賀県甲賀市(SCP-294-JP-2)、佐賀県佐賀市与賀町(SCP-294-JP-5)では、日本生類創研と書かれたネームタブが発見されています。加えてネームタブにはそれぞれ、(木編に賀)「 -3」、(木編に賀)「-20」と記されていました。

実験記録294-3 - 日付1990/██/██

対象:SCP-294-JP-2、SCP-294-JP-3
目的: SCP-294-JP-Aの移動の制御法確立。
実施方法: SCP-294-JP-2は滋賀県甲賀町██████、███山中に位置する。SCP-294-JP-3は滋賀県滋賀郡志賀町██████、███山中に位置する。これらは比較的近くに存在するSCP-294-JPであり、即応性が高い。また当環境の地理的、生物相からSCP-294-JP-Aが失われにくい。被験者(D-5291)をSCP-294-JP-2に移動させ、SCP-294-JP-3の形状、及びその位置を地図、航空写真で刷り込み、強くSCP-294-JP-3その場に向かいたいと思うよう動機付けた。この後、被験者をSCP-294-JP-2のウロ部に指を突っ込むようさせた。
結果:被験者は急性のニコチン中毒症状様になり昏睡。被験者昏睡後5分、この時既に被験者は分解者生物群集により重大な損壊状態にあり死亡していると思われる。SCP-294-JP-A群がSCP-294-JP-2ガランドウ部から発生、SCP-294-JP-3方面へ飛去した。被験者は土着の生物群集によりこの後15分で分解された。SCP-294-JP-A群の飛去後、5時間でSCP-294-JP-3に到着、ガランドウ部に入り、実験服は失われたが被験者の同様の見た目の有機体を合成した。これは検査にまわされる。
分析:検査の結果、これは被験者と厳密に同一であると示された。特筆すべきは合成された被験者が記憶を保有しているという事であり、前回までの実験には見られなかった事である。SCP-294-JPは全血の遺伝情報のみを得られる訳では無いと判明した。

被験者の複製が出来る可能性がある。次回実験294-4計画を実行する。 ──山杣木博士

実験記録294-4 - 日付1990/██/██

対象:SCP-294-JP-2、SCP-294-JP-3
目的: 分解過程における被験者の回収。
実施方法:被験者は実験記録294-3で得たものを流用し、実験記録294-3と同様の処理を経る。ただし被験者はウロに指を突っ込んだ時点で回収し、誘引された土着の生物群集を排除する。さらに被験者には蘇生処置を施した。
結果: 被験者は蘇生するが、これまでの一切の記憶、及びミームを失った。また同様の過程を経てSCP-294-JP-3では被験者の同様の見た目の有機体を合成した。
分析:検査の結果、これは被験者と厳密に同一であると示された。しかし合成された側の被験者は全くの白痴であった。
付:1992/██/██、蘇生させた被験者にミームを再植することを試みたが成果見られず、またヒステリー甚だしいためD-5291から除名、後D-████に再分類し、SCP-███-JPのミーム曝露実験に用いられた。

精神的及びミーム的複製をするプロトコルを確立すること。 ──山杣木博士

実験記録294-5 - 日付1990/██/██

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対象:SCP-294-JP-2、SCP-294-JP-3
目的: SCP-294-JP-A群の回収。
実施方法: 実験記録294-4と同様の処理を経る。ただしSCP-294-JP-A群の70%を回収。これを検査にまわす。
結果: 残存SCP-294-JP-A群はSCP-294-JP-3に到着したが、テラトーマに似た有機物が合成された。(右付)
分析: 検査の結果、これは被験者と遺伝情報の一部を共有しているものであると示された。回収SCP-294-JP-A群の検査の結果、SCP-294-JP-A群はそれぞれ、被験者の遺伝情報の一部分を自身の遺伝情報に組み込んでいた。また、同様の被験者遺伝情報を持つ個体もおり、これはバックアップの役目をになっているものと思われる。回収したSCP-294-JP-A群を-294-JPに投入した所、有機物が合成された。これも同質のテラトーマ様であった。

実験記録294-6 - 日付1990/██/██

対象:SCP-294-JP-2、SCP-294-JP-3
目的: 仮説「被験者のトゲへの接触でミームの伝達が行われる」ことについて検証実験。
実施方法:被験者(D-5293)で、実験記録294-3と同様の処理を経る。ただし被験者はウロに指を突っ込まず、全血のみをスポイトで投入した。
結果: スポイトを用いた職員(D-5290)は、トゲに触れていなかったが卒倒し、分解者生物群集に覆われた。分解者生物群集を取り払った後、当職員を回収した。また同様の過程を経てSCP-294-JP-3では被験者の同様の見た目の有機体を合成した。
分析:スポイトを用いた職員はこれまでの一切の記憶、及びミームを失った。合成された被験者の検査の結果、生物学的には[編集済]であると示された。しかし、スポイトを用いた職員のミームを不完全に保持していた。

実験記録294-16 - 日付1995/██/██

対象:SCP-294-JP-5
目的: SCP-294-JPの捜索。
実施方法:実験記録294-3と同様の処理を経る。ただし被験者には特別動機付けもせず、実験についての説明も最低限にした。これは未発見のSCP-294-JPを発見する目的と、日本生類創研関係者に接触する目的をかねている。
結果: SCP-294-JP-A群は新潟県東蒲原郡阿賀町█████に到着し-294を満たす樹木(SCP-294-JP-40に分類)のガランドウ部に入った。その後テラトーマに似た有機物が合成された。
分析:SCP-294-JP-A群の多くは失われていなかったが、SCP-294-JP-40のガランドウ部は腐敗物で汚染されていたため、テラトーマ様になったと思われる。この実験でSCP-294-JP-A群は生存率が異常に高いと判明した。

たとえ緊急輸送プロトコル"大雪の予感"となっても、私はやらないよ ──山杣木博士

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