SCP-2960
評価: +3+x
Urinetown.jpg

公演中のSCP-2960の数個体。

アイテム番号: SCP-2960

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2960の性質上、当該オブジェクトはオレゴン州█████の█████高校にある旧講堂に設置されたサイト内に収容されます。学校は既に閉鎖されており、地所が財団のフロント企業を経由して購入されました。

SCP-2960の全ての個体は、標準的な財団のヒト型生物給餌スケジュールに基づいて、毎日の食事を提供されます。医療的な支援は2週間おきに予定されている身体検査の際、要求に応じて適用されます。

2009/4/11にSCP-2960の計5個体が自殺した件を踏まえて、SCP-2960各個体の心理的評価は毎週行われる予定です。全ての自殺願望を抱いている、あるいは次回公演において役を演じることに消極的なSCP-2960個体は、カウンセリング/心理的ケアを提供する為に、直ちにその他全ての個体から隔離してください。

SCP-2960個体群には、以下の娯楽が提供されます。

  • 1ヶ月毎に交換する、事前承認を受けた本20冊のライブラリー
  • 四半期毎に交換する、事前承認を受けたボードゲーム4種
  • DVDプレーヤー付属のテレビ1台
  • 1ヶ月毎に交換する、事前承認を受けたDVD10本のライブラリー

説明: SCP-2960は、█████高校2008年度ミュージカル『ユーリンタウン』公演における元演者・裏方・オーケストラ人員を指す総体的呼称です。SCP-2960の異常特性は、いずれかの個体が講堂や舞台裏から立ち去ろうとする際に発現します。これらの試みにおいて、個体は退出を妨害する不可視の障壁によって物理的に停止させられます。本稿執筆現在、SCP-2960個体にこの障壁を物理的に突破させようという全ての試みは失敗し、実験対象が重傷を負う結果に終わっています。劇の公演が終了した夜に演者・オーケストラ・裏方でなかった全ての者はこの障壁の影響を受けないため、財団職員はステージと舞台裏への自由な入退場が可能です。

毎週、PST(太平洋標準時)金・土・日曜日の夜19:00になると、男性の声が講堂のインターコムから流れ、演者と裏方に対して定位置につくよう通達します。この声は、█████高校の元・演劇指導教員であったリーアム・シュミットのものであると特定されています。アナウンスの発信源を特定する試みは、これまでのところ失敗に終わっています。

PST19:30、講堂内の照明は暗くなり、電源が供給状態にあるか否かを問わず2008年の『ユーリンタウン』公演時の光とサウンドが活動状態に入ります。この時、全SCP-2960個体は劇中において与えられている役割を、適切な衣装を着て完全に演じなければなりません。不従順な個体がこれを怠った場合、通常は劇場内の設備や小道具が関与する何らかの事故という形で殺害されます。SCP-2960個体が死亡すると照明の明るさは次回公演まで通常レベルに戻り、この時点でセットに加えられた損傷は自動的に回復します。全ての個体が完全に配役を演じ切り、劇が何事もなく進んだ場合は、照明は劇の終了時に通常レベルに戻ります。

劇中の役割を果たさないことで殺害された、あるいは自殺した全てのSCP-2960個体は、講堂または舞台裏から死体が取り除かれていない場合、次回公演の冒頭で蘇生します。これらの個体は彼らの台詞や役割をごく普通に行いますが、公演終了時には死体に戻ります。いくつかの個体は死後数年間が経過しているにも拘らず、死体が講堂または舞台裏に残っている限り、SCP-2960死亡個体は腐敗の兆候を示しません。

一度SCP-2960個体が死亡すると、彼らの死体は講堂から除去することが可能になります。これが演者に対して行われた場合、19:00の放送におけるリーアム・シュミットの声は、裏方またはオーケストラのメンバーが欠けた役を演じる旨をアナウンスします。この時、欠落を埋めるために選択されたSCP-2960個体は遁走状態に陥り、適切な衣装を取得するか、あるいは入手可能な材料から作り上げようと試みます。その後、彼らはその晩の公演で割り当てられた役割を演じることになります。代役の個体による全ての台詞は、本来その役を演じているべき欠けた個体の声で発話されます。

講堂や舞台裏から除去されたSCP-2960死亡個体の死体は正常に腐敗します。しかしながら、いったん死体を講堂内・舞台裏に戻すと、次回公演において彼らの腐敗した組織は瞬時に再生し蘇生します。この蘇生と再生の原因を特定する試みは、SCP-2960蘇生個体が劇の完結を妨害しようとする者に敵対的なことから結論が出ていません。

財団職員による蘇生個体との交流の試みは、これまで実りないものでした。全ての蘇生個体は、公演メンバーに由来しない一切の言語的コミュニケーションを感知しません。公演メンバーから話しかけられた場合は、蘇生個体は完全に元の人格にあった振る舞いと話し方で応じます。このため、生存中の公演メンバーを代理人とする蘇生個体との交流はごく限られた成功を収めています。

財団の医療関係者によるSCP-2960生存個体への健康診断は、これらの個体が老化を停止していることを示しています。この現象についての原因究明は現在まで結論が出ていません。現在、全てのSCP-2960個体は適切な栄養摂取の条件下において無期限に生存できると仮定されています。

SCP-2960生存個体と財団職員による、技術的な破壊行為によって劇を中止する試みは、限られた範囲で成功しました。公演の晩に機材の重要な部分を機能不可にするサボタージュの試みが行われた場合、リーアム・シュミットの声はその晩の公演が技術的な問題によって中止になった旨をアナウンスします。このアナウンスの終了時、全ての機材の損傷は自動的に回復します。同じ機材を同じ方法で破壊する2度目の試みは、破損した機材が瞬時に回復することによって失敗に終わります。

補遺2960-A: SCP-2960個体終了ログ

個体番号 名前 公演における役割 終了日 死因
SCP-2960-1 ウイリアム・█████ ジョセフ・”オールドマン”・ストロング 2008/11/22 照明器具による圧死
SCP-2960-2 エリック・████ フィップ上院議員 2008/11/22 舞台裏照明による感電死
SCP-2960-3 キャメロン・██████ オーケストラ団員 2008//11/22 舞台裏照明による感電死
SCP-2960-8 サラ・█████ ソーピー・スー 2008/11/22 舞台裏照明による感電死
SCP-2960-12 リリー・████████ オーケストラ団員 2009/2/13 自殺(釘打機による頭部損壊)
SCP-2960-14 ハワード・█████ 音響 2009/3/15 技術ブースの窓ガラス粉砕による裂傷
SCP-2960-18 リリー・████████ 裏方 2009/3/29 キャットウォークの崩落による転落死
SCP-2960-19 ジェームズ・████ 舞台主任 2009/4/11 自殺(電源コードによる首吊り)
SCP-2960-21 トーマス・█████ AST、舞台主任 2009/4/11 自殺(電源コードによる首吊り)
SCP-2960-22 ダニエル・███ ホット・ブレイズ・ハリー 2009/4/11 自殺(電源コードによる首吊り)
SCP-2960-23 コーリー・██████ マックィーン氏 2009/4/11 自殺(電源コードによる首吊り)
SCP-2960-25 ジャニス・█████ スポットライト 2009/4/11 自殺(電源コードによる首吊り)
SCP-2960-28 アリス・████████ ジョセフィン・”マー”・ストロング 2009/5/7 背景の倒壊による圧死
SCP-2960-32 ジェイソン・████ ボビー・ストロング 2010/11/17 自殺(イブプロフェンのオーバードーズ)
SCP-2960-36 ジャクソン・██████ コールドウェル・B・クラッドウェル 2012/11/15 落下した鉄パイプによる貫通

補遺2960-B: リーアム・シュミットのメッセージ転写
以下の音声メッセージは、2008/11/10、█████高校のスタジオアート講師であるへリング女史の留守番電話に残されていたものです。

やぁジル、リーアムだよ。

まあ、その、君が今回は劇のためのあれこれを手がけることができないって聞いてね、それで、つまり、残念だなって言いたかったんだ、ホント。何ていうか、今回の役者たちと裏方たちは今まで僕が面倒見てきた中で最高だと思ってるんだ。よく分からないけれど、たぶん最高だ。

つまりさ、彼らは役に完璧に嵌まってると思わないかい、何ていうか。演技するのを見た時、あれ、あれだよ、思わず息を呑んだぐらいだ、ホントにさ。もし僕があの子たちのことを知らなかったら、きっと劇のキャラクターそのものだと思ったかもしれないよ。おまけに、あの、凄く、セットは豪華だし、裏方は時計仕掛けみたいに正確で、それに、あの、凄く、オーケストラなんか、素晴しいんだ。ただただ素晴しいんだよ。

僕、何ていうか、あれがいつかは終わるんだって残念だと思わないかい?つまり、ほら、あの子たちの何人かは演劇だけが取り柄みたいな…可笑しいと僕も思う、でもやっぱり悲しいことだよ。人生で一番才能を発揮できるはずなのに、何ていうか、大学に行くためのお金がなかったり、中には進級すら…

正直言って、僕はあの子たちにスターになってもらいたい、何ていうかさ。つまり、あの、それ一つで食べていけるようにさ。きっと…きっと、それがあの子たちのためにも一番いいんだよ、たぶん。よく分からないや、たぶんちょっと頭の中が混乱してるんだ。

とにかく、予定が変わるとか何かあったら教えてくれ、ぜひ君に会いたいんだ。大学時代の古い友達が最終公演を見に来るから、ホント、君たちには会ってほしいんだ。色々と似てるところがあるから。

それじゃまぁ、あの、機会があったら掛け直してね。オッケー。さよなら。

2008/11/25現在、リーアム・シュミットの所在の調査は継続中です。

補遺2960-C: 更新
2014/3/9、その晩の公演終了後、リーアム・シュミットの声は以下のアナウンスを行いました。

キャストも裏方もオーケストラも、みんな、ちょっと聞いてくれ。

これが、僕たちの『ユーリンタウン』最終公演になる。

これまで献身的に激務に励んでくれて、みんな、本当にどうもありがとう。ショーは本当に素晴らしいものだったよ。成し遂げたことを、君たちには誇りに思ってほしい。

以上だよ。

このアナウンスの後、全SCP-2960生存個体は、力の壁に遭遇することなく講堂や舞台裏を離れることが可能となったことが判明しました。全SCP-2960個体は即時拘束されました。

調査の結果、全SCP-2960死亡個体は正常に腐敗を開始したことが判明しました。加えて、PST19:00になると全SCP-2960生存個体は遁走状態に陥ります。PST19:30、これらの個体は状況に関わらず劇中の役割を演じ始めます。記憶処理にはこの現象の緩和効果がないことが証明されました。

全SCP-2960生存個体は現在、引き続きサイトに収容されています。今後のさらなる活動については倫理委員会の審査待ちです。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。