SCP-3005-JP
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SCP

警告: 以下のファイルはレベル3/SCP機密情報です


このファイルにレベル3/SCP承認無しで行われるアクセス試行は記録され即時懲戒処分の対象となります。

アイテム番号: SCP

収容クラス: Thaumiel

特別収容手順: SCPを指定する呼称は文章、音声、映像等媒体を問わずすべて"SCP"という名称で統一されます。この措置は過去の記録についても遡及適用されます。タウマトルジェ・プロトコル以前のSCPに関する情報へのアクセスは、簡便なものを除いてセキュリティクリアランスレベル3/SCPを持つ職員のみに限られます。

SCPはエリア-S7Aの標準人型収容室に収容されます。SCPはその危険性の低さから同施設内の高セキュリティエリアを除いて許可を得た上での自由な行動が認められています。またSCPのモチベーションの維持を目的とした定期的な職員との交流や同プロトコルの情報開示が認められています。

説明: SCPは習合によって財団の理念である確保、収容、保護を司る神性を有する人型実体です。SCPは背の高い褐色肌の女性の外見であり、古代ペルシア語に類似する言語と学習の結果英語による会話が可能です。身体組織は人間と同一であり、また老化傾向は通常の人間と比較して非常に緩やかです。

SCPはタウマトルジェ・プロトコル(以下T・P)に指定される信仰活動が十分な限り、食事や睡眠などの生存に必要な一切の要素を欠いても健康に支障を来しません。また老化への抵抗力が働き、T・Pの規模が一定以上になればミトコンドリアの質の向上やテロメアの伸長などの逆転現象が発生します。

T・PによってSCPは財団に対して各理念への加護をもたらします。すなわちこれは財団の異常存在に関連する業務にポジティブな効果を発揮し、成功率の増加や効率の上昇という形で現れます。またこの影響はSCPの精神状態に左右され、ネガティブな様子が見受けられる場合は予想される効果を下回る結果になります。

SCPは1889年に現在のイラン・イスラム共和国で発見されました。SCPは████████族のみ信仰していた神話に由来する現人神1であり、当時の正常性維持組織であるHMFSCP2によって管理されていました。また発見時点で当該部族はSCPを除き1人であり、1901年に老衰で死亡しました。

タウマトルジェ・プロトコル概要

目的: 財団の能力の向上。

背景: 財団が管理するアノマリーは加速的に増加し、各々への対応に綻びが顕著になっている。現状の保有する資産で続けば今後2,30年の間には収容体制は崩壊し、LV-Zero"捲られたヴェール"シナリオを始めとする収拾が困難な事態に陥る可能性が高い。

複数の打開策が立案され、その内の1つに形式部門から、財団そのものの神格化によって権能のフィードバックを得るというものがある。これは財団のあらゆる資産や活動を再定義し、儀式化することで1つの信仰体系を構築するというものである。しかし肝心の神格化が難航したために頓挫していた。

しかしSCP-████-JP3が発見されたことにより、問題点であった財団の神格化の代替案として利用できるのではという意見が浮上した。綿密な検証の結果、実現可能性は十分に高いと判断された。

構想: 財団の理念の神格化した"SCP"を信仰対象とし、それに対応した加護を得る。

詳細: 本プロトコルでは諸要素を以下のように定義する。

  • SCP - 神
  • 理念 - 教義
  • 職員 - 信仰者

SCP-████-JPを財団の理念と習合させることにより、元来有していた神性を確保、収容、保護に関するものに変更する。それに加えて「SCP」と呼称することでより各理念との結び付きを強化する。これによりSCPの権能は前述の各理念に対して向かうようになる。

SCPとして利用するアノマリーは習合した場合でも悪影響を及ぼさないことが条件となる。その点においてSCP-████-JPは以下の点で優れている。

  • 信仰者や関連するアノマリーが存在しないため、元の神性が失われても影響されるものがない。
  • 数世紀に渡って神として活動した経験値の高さ故に新たな権能を得た場合でも暴走するリスクが少ない。
  • 周囲の部族、国家からの侵略から自身の部族を防衛した保護寄りの権能は、財団の理念と属性的に近いため相性が良い。

上記の仕組みにより職員の収容業務は信仰と見做すことが可能になる。これは収容業務は基本的に理念に従ったものであるため、SCPの神性に従った行動となる。結果として信仰を得られたSCPは確保、収容、保護に対して加護を与えるようになる。


添付資料

SCPの加護と精神状態に関する報告書

1955年10月31日
ハリール・イブラヒム研究員

信仰によってSCPが得られる力は信仰者の人数に比例し、加護による影響もそれに概ね比例すると考えられた。その検証のために月毎の予想される影響と実測値の比較が開始された。以下にその一例を示す。

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上記のグラフは収容下にあるアノマリーの内、収容違反した件数の割合を表している。青が予測値4、赤が実測値であるが、基本的には実測値がそれを下回っている。すなわち信仰の力以外の要因が加護に反映されていることが明らかになった。

様々な原因が考えられたが例外として予測値を上回った時期のSCPの様子から、SCPの精神状態によって加護の影響は左右されると結論付けられた。T・Pが開始されてから以前と比較してSCPの精神面はポジティブな面がよく見られた。その中で一時的に自身の力への猜疑心等でネガティブになってしまった時期があったものの、懸命なコミュニケーションによってそれは改善されている。そしてそれ以降はまた予測値を下回る結果を残している。以下はT・P初期のSCPとの交流記録の抜粋である。

インタビュー#: 010
日付: 1952/03/18
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員


<再生開始>

[タウマトルジェ・プロトコルについてSCPに説明をする。]

アフマド: 以上がタウマトルジェ・プロトコルの概要です。ご協力をお願いいたします、SCP-████-JP。

SCP: ……なるほどねえ、まあ話は分かったわ。

アフマド: ありがとうございます、それでは

SCP: ちょっと、ちょっと待って。そんなに急かさないで。まだ私の話終わってないから。

アフマド: え?ああ、すみません。何でしょうか。

SCP: ……あのね、理屈は分かったわ。私である必要とか、これがすごいこととか、そういうこと。でもそれって私にとってはとても大きな変化であることも事実なの。

アフマド: ええ、そうですね。理解できます。

SCP: 本当に?私にとっては信じる者も護る物も名前さえ変わるこの大きさが理解できる?……ああ違うの、ごめんなさい。こんな文句ばかり言いたいわけじゃなくて……

アフマド: 大丈夫ですよSCP-████-JP。私も返答を急かし過ぎました、すみません。もちろんすぐにやらなければいけないということでも無いので、ゆっくり考えてください。

SCP: 待って、いいの、確かに今すぐどうこうするとかでは……でももう気持ちは決まってるから……その計画、受けましょう。

アフマド: ありがとうございます、でもいいのですか?先ほどは結構悩まれていたように見えたのですが。

SCP: それはまあ……いきなりそんな大きなことを言われたら衝撃は受けるわよ。でも私だって、今のように誰からも信仰されないままが続くなんて、神の面目丸潰れなことは分かっていたの……。これでまた私は神になる、それを断る理由なんて無い。

アフマド: ……ありがとうございます。

SCP: こちらこそ、ありがとう。それでこれからはどういう風に進めばいい?

アフマド: はい、後日改めてより詳細な流れを説明いたします。実際の習合などはそこからですね。

SCP: 分かったわ、じゃあこれからよろしく。

アフマド: よろしくお願いします。

<再生終了>

インタビュー#: 039
日付: 1952/10/02
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員


<再生開始>

アフマド: ごきげんよう、SCP。

SCP: ごきげんよう、調子はどう?

アフマド: おかげさまで。

SCP: それで、みんなはどう?うまくいっている?

アフマド: おかげさまで計画は順調、想定される業務効率と比べて有意に効果が見られてー要は成功です。

SCP: ああ……それは本当?良かった。

アフマド: 私としても理論が実証されて一安心です。いやもう本当に、良かった。

SCP: すごい噛み締めてるようね。

アフマド: ああいえ、なんといいますか、本人の前で言うのもなんですけど加護の影響というのはパッと見で分かりづらく、効果があるという検証も結構手間取ったんです。続けるためには分かりやすい成果が必要ですから。

SCP: 苦労してるのね。

アフマド: 神様御本人の前で自分の方がなんて言えませんよ。

SCP: まあ、何にせよ良かった。私、ちゃんと出来ているようね。

アフマド: それはもう、もちろん。ありがとうございます。

SCP: こちらこそ、ありがとう。

<再生終了>

インタビュー#: 051
日付: 1953/02/01
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員


<再生開始>

アフマド: ごきげんよう、SCP。

SCP: ……ああ、アフマド。ごきげんよう。

アフマド: どうしたんですか、もし具合が悪いとかがあればすぐにでも医療スタッフを

SCP: だ、大丈夫!大丈夫よ、別に……

アフマド: しかし、明らかに何かあるような感じじゃないですか。言いづらいようなことでなければ、是非ともお話を聞きたいのですが。

SCP: ありがとう……その、不安になってしまって。

アフマド: 不安?

SCP: そう、この計画に、というか私自身に。って言えばいいのか分からないけど……いくら頑張っても、私の力が及ばないことだってあるじゃない?でももしそれはとっくに過ぎていて、この組織がそもそも私には手に余るものだったらって思うと……ごめんなさい、こんなこと言って何になるんだって話なんだけれども……

アフマド: SCP、あなたの力は十分に発揮されています。それはデータからも証明できることです。もし良ければ改めてしっかりとした説明をしましょうか。

SCP: うーん……ごめんなさい、そういうことでも無くて……申し訳ないのだけれど、今は一人で考えたいの。そっとしてくれる?

アフマド: 分かりました、それでは今回はここで失礼します。でも何かあればいつでも連絡ください。

SCP: ありがとう。

<再生終了>

インタビュー#: 082
日付: 1953/07/29
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員


<再生開始>

アフマド: ごきげんようSCP。調子はいかがですか?

SCP: ええ……しばらくみっともない姿を見せてしまったわね、ごめんなさい。

アフマド: 元気なら何よりですよ。

SCP: やっぱり私って人は抜けきれないみたいね。こんなどうしようもないことで悩むなんて……自分の出自を嫌というほど思い知らされたわ。

アフマド: でもいいんじゃないですか?そうやって人の心が分かる神様の方がいい神様になると思いますよ。

SCP: それは科学者としての注意?

アフマド: いえ、これは人としての勘です。でもまあそうじゃないかって。

SCP: あら、でも嬉しいわ。ありがとう。

アフマド: お役に立てて良かったです。

<再生終了>

インタビュー#: 121
日付: 1954/06/06
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員


<再生開始>

[SCPに対する定期報告が終了する。]

アフマド: ということで、先月も問題はありませんでした。

SCP: ありがとうアフマド、みんな無事に動けているみたいね。

アフマド: ええ、おかげさまで。

SCP: 本当にね……もうかれこれ2年ぐらい経ったけれども、なんとか無事にやってこれてね……一時期落ち込んでたこともあったけど、ほっとしてるしすごく嬉しいの。ありがとうね。

アフマド: ありがとうございます。でも意外ですね、数百年も集落を護ってきたあなたにとっては、これくらいのことは慣れてると思ってました。

SCP: 確かに私はずっとそうやってきたけど……こんな世界を護っている組織丸ごとなんて、全然想定していなかったもの。こんなことに慣れているなんてのはそれこそ三大宗教の神とか、そういうレベルじゃない?

アフマド: 私は神様では無いのでなんとも言い難いですね。

SCP: まあ分かりづらいかもしれないけれど、緊張とかもあったのよ。確かに私は守護神としてそれを務めてきた、それへの自負はもちろんある……それでも、いえ、それとはまた別に、これからまた違うことをするんだっていうプレッシャーはあった。それは間違いない事実なの。

でもこうしてあなた達と一緒にやっていく内にそのプレッシャーを跳ね除けるくらいの充足感がふつふつと湧いてきたの。分からない、これをあなた達に言わせれば信仰心から来るものとなるのかもしれないけれど、それとは別に神としての責務を果たせているというのもあるの。だから本当に感謝しているわ、ありがとう、私を神にしてくれて。

<再生終了>

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