SCP-317-JP
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回収されたSCP-317-JP-1のうち一点
20██年のオークションにて███████円で落札された

アイテム番号:SCP-317-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-317-JPはサイト-8181の安全保管ロッカーに施錠され保管されます。実験で生じたSCP-317-JP-1は実験終了後すべて焼却処分してください。

説明: SCP-317-JPは当時現代アートの新鋭として高い人気を博していた画家である████氏が愛用していた木製デッサン用イーゼルです。寸法は幅約70cm、高さ約188cm、重さ約2.9kgで、材質は一般的なフタバガキ科の南洋材が使用されておりその他特筆すべき異常な構成要素は発見されませんでした。

SCP-317-JPを用いて絵画が描かれた場合、その作品は完成後に例外なく異常な特性を発現します(これらはSCP-317-JP-1に指定)。"絵画"の基準は作者が「美術作品として完成させた」という認識を持っていれば単純な図形や直線といったものでもSCP-317-JP-1となり、逆にそうした意識を持たない文章や設計図などでは異常性は発現しません。SCP-317-JP-1を購入、譲渡、賃借、窃盗などにより作者を除く人物が所有した場合、"所有者"の視力はゆっくりと低下していき14ヶ月から18ヶ月間かけて失明へと至ります。SCP-317-JP-1を手放す、もしくは破壊することで症状の進行は止まりますが低下した視力が回復することはありません。またSCP-317-JP-1を複数所持している場合、症状の進行はその数に比例して早まることが実験により確かめられています。
またSCP-317-JP-1は直接視認した人間の精神に一定の確率で影響を与えます。影響を受けた人物はその作品に対して高い関心を寄せるとともに賞賛の言葉を口にし始めます。また他者へ自身が抱いた感想を積極的に伝えたいという強い衝動に襲われ、これによって被験者は曝露したSCP-317-JP-1について「どれほど感動したか」「如何に素晴らしいか」など周囲の知人に触れ回り、多くの場合インターネット上での喧伝行為へ発展していきます。なおこの衝動の強さは常識的な範疇に収まっており、行為を強く咎められたり中止を強要された場合には問題なく自制が可能です。この特性は██博士の強い要請を受けて入念な調査及び実験を継続した結果明らかになりました。

SCP-317-JPが使われ始めた時期と彼の作品が話題になり始めた時期はおおよそ一致していたし、何よりあのクソ[編集済]な絵があれほどの人気を集めるにはそうした理由でもなければ納得できない。
- ██博士
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影響を受ける条件や確率、その継続期間などは現在調査中ですが、氏の人気の規模から推定して国内で最悪█████人が現在オブジェクトの影響下にあるとされています。影響を受ける確率は少なくとも1%以下と非常に低確率であり、その影響も曝露から48時間を過ぎると急速に弱まっていき72時間以内には完全に消失することが確かめられました。そのため現在SCP-317-JP-1の影響を受けている人物は存在しないと思われます。

SCP-317-JPは████氏から作品を寄贈された複数の美術館の責任者たちが原因不明の視力低下を訴えているという情報が報告されたことで発見されました。調査の結果20██年以降に制作された████氏の作品の所有者全員に同様の症状が表れていたため、すぐさま財団エージェントによってすべてのSCP-317-JP-1は回収され、████氏の証言から同氏のアトリエに置かれていたSCP-317-JPも同時に収容されました。調査が行われた時点で、氏の作品を所有していた美術品蒐集家██名のうち██名が重度の視力障害を患い、██名は失明していました。

SCP-317-JPの起源について████氏は、数年前に作品の路上販売を行っていたところ話しかけてきたスーツ姿の中年男性から譲り受けたと証言しました。男は自らを芸術文化の振興に寄与する団体に所属していると称した上で「大衆の審美眼の底上げとなる」などと述べ氏にオブジェクトを譲渡しています。現在この人物及び団体について調査が行われていますが詳細は判明していません。唯一、オブジェクトの受台の裏面に貼付されたシールにて関連すると思われる記述・文章317-P63が確認されています。

文章317-P63

芸術を語るにあたり、もっとも性質が悪いのは本質が見えない者たちである。
それは何も見えないことよりも、さらに輪をかけて厄介なのだ。
 
我が国の芸術環境の向上と文化の発展を目指して。

補遺317: 記憶処理を施され解放された████氏がその後発表した新作が以前と同様好評を博したことから、氏の作品には継続的な追跡調査が行われました。しかしいずれにも異常な性質は確認されず、またその後ほどなく人気が低迷したことから現在この調査は打ち切られています。

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