SCP-3200
評価: +16+x
research.png

民間の科学界権威によって報告されているSCP-3200の地図。映っている全ての点は、異常性が発生する前の星/銀河を表している。

アイテム番号: SCP-3200

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現在の主要な収容プロトコルは、SCP-3200の拡張を遅らせる手段の模索から成っています。現在、解決策は永久的・一時的を問わず一切見出されていないため、この文脈に沿う潜在的な研究調査の全てに検討の余地があります。

SCP-3200の本質についての真剣な調査を妨げるとともに、当該異常事象の独立した研究を実施するため、財団に協力する研究者たちが民間の科学機関に適切に組み込まれています。

ペレグリン-9遠征の乗組員たちの救出試行は現時点では検討されていません。

説明: SCP-3200はおよそ赤経14h50m・赤緯46°に位置する、現時点で直径3億光年の宇宙の一区画であり、民間の科学者からは一般的に“うしかい座ボイド”と呼称されています。

現在、SCP-3200の厳密な特性は不明です — 当該異常存在の大部分の研究は、既に廃止されたペレグリン遠征プログラムによって実施されました。このため、SCP-3200の正確な機能性を巡るかなりの議論が行われていますが、以下に記す原理は多数の合意によって正確であると考えられています。

  • SCP-3200は、非常に薄い(既に亀裂が生じている可能性もある)時空間領域であり、それ故にSCP-3200を通して並行世界との接触も可能です。
  • SCP-3200は、年間1000万光年の割合で拡大しています。
  • SCP-3200の拡大は、UK-クラス宇宙崩壊シナリオのゼロではない脅威を齎します。

SCP-3200の正確な特性に関するこれ以外の全ての点は、極めて推測的だと見做されています。当該異常事象に関するより詳しい情報を探している研究者は、以下にコンパイルされているSCP-3200の報告書を参照可能です。

当該異常の歴史: この異常事象は、宇宙のある領域において、他の領域よりも銀河の数が顕著に少ないことに気付いた民間の科学者によって最初に発見されました。注目すべきことに、同様の広さの宇宙空間には2000の銀河が含まれるはずですが、SCP-3200には銀河が60しか存在しません。

太陽系外の異常存在を研究しているサイト-118の財団研究者たちは、SCP-3200から非常に高いヒューム値が生じていることを指摘しましたが、その理由を断定することができませんでした。2008年のペレグリン遠征隊の打ち上げまで、SCP-3200の継続的な研究は真剣に行われてはいませんでした。

オリジナル版のペレグリン遠征任務声明

我々は、応用科学部門の職員らによるこれまで以上に洗練された技術の創造によって、今まで一度も考慮されてこなかったような様々な進歩の用途を見つけることが度々ある。

財団研究者による最初の時間溝の創造は、時間というものは操作することも、流れを遅くすることも、異なる観測者同士の視点間で一定に保つさえことも可能であるという事を示した。これを受けて我々は、地球上に位置しないアノマリーのより良い理解のために、新たな財団宇宙イニシアチブの打ち上げに、改良版の時間溝装置を使用することを目指している。

地球上の我々と比較して、予定されている宇宙船の乗組員たちの時間を加速することにより、遠く離れた多くの場所への先進的な宇宙空間移動を達成することができる。時間溝は観測する私たちと遠征部隊の乗組員たち両者の間で、時間の自然な流れを保ち、あらゆる参照の枠組みにおいて因果関係を維持することを可能とする。旅路がどれほど長かろうとも乗組員を極低温凍結するのは簡単な事だ。そして改良した時間溝装置を起動させ、後は目的地に到着した時点で、因果関係に全く違反することなく、私たちの基準で利用できる時間の枠組みの中に乗組員たちを目覚めさせればいい話なのだから。

小規模テストの結果、これらの時間溝を搭載した燃料効率の良いイオン推進型の宇宙船なら、数億光年離れた場所に研究者たちを派遣しても数ヶ月で帰還させることができると示された。これで太陽系外アノマリーに関する我々の知識は大幅に改善されるだろう。

-アレクセイ・ディミトロフ博士

太陽系外の異常存在を研究するためのこの実験的技術の承認は、やがて、複数の太陽系外異常に関するより多くのデータを収集するためのペレグリン遠征隊の発足に繋がりました。SCP-3200は、2010年11月29日に打ち上げられたペレグリン-9遠征のターゲットとして選ばれました。

astronaut.jpg

ペレグリン-9遠征の乗組員。左から右に: アレクサンダー・モロー、ミハイル・クズネツォフ、トーマス・セウェル。

ペレグリン-9遠征の詳細

目的: SCP-3200の性質に関する研究を行い、異常に高いヒューム値の起源を確認すること。

乗組員: 任務司令官/パイロット/船長としてミハイル・クズネツォフ、機械工学者。アレクサンダー・モロー研究員、天体物理学者。トーマス・セウェル研究員、太陽系外収容スペシャリスト。

フライトの詳細: 当任務は10/11/29から16/11/29にかけて行われる。任務期間の総計のうち4年間は時間溝を利用したフライトに充てられ、この間の乗組員たちは極低温の冷凍睡眠状態となる。

16/2/28、財団はペレグリン-9によって発射された、オリジナルのペレグリン-9遠征隊シャトルの一部を改造して作られているカプセルを回収しました。以下は、カプセルに封入されていた関連するログと転写物の集まりです。完全版の報告は、プロジェクト主任の承認を待って閲覧可能になる可能性もあります。

記録日時: 13/2/1

カメラ映像開始。

クズネツォフがカメラを調整しているのが見える。他の乗組員は、冷凍睡眠から目覚めたばかりであるように思われる。

モロー: まぁこんなもんか、家から7億光年の彼方ってわけだ。俺にとっちゃ何てことなかったな。

セウェル: 少し恐ろしくはあるが、ちょっと驚いてもいる。それじゃ、私たちはしっかりアノマリーの内部にいるんだな?

クズネツォフ: その通りだ。特に何か変わったようには感じないがね。

モロー: 外を見てみよう。

モローがカメラを取り、宇宙船の外部風景を映す。完全な暗闇であり、視認できる星や銀河の兆候はない。

モロー: こいつは不穏だな。純粋な黒だ。

3名全員が沈黙する。

セウェル: 外には何があると思う?

クズネツォフ: 分からん。それを探り出すのが我々の仕事だ。

カメラ映像終了。

記録日時: 13/2/2

カメラ映像開始。クズネツォフがカメラの前に座っているのが映っている。

クズネツォフ: こちらはペレグリン-9ミッション船長のミハイル・クズネツォフ。ミッション1日目の報告だが、早くも暗礁に乗り上げた。最初に試みたのは地球軌道上の衛星が検出できた異常なヒューム値の確認なのだが、カント計数機がどうやらここでは正常に機能していないらしい。我々が読み取っているヒューム値は、ほぼ0から数百もの不条理な数値の間で急激に変動している。もし私たちが欠陥品のカント計数機を持って遥々来ただけの話だとしたら… ハッ。ずいぶんな悲劇だ。

クズネツォフは沈黙し、宇宙船の覗き窓に目をやる。

クズネツォフ: それでも、ここには何か… 正しくない点がありそうだ。後ほどもっと研究を進めなければならないだろう。今日の報告はこんな所だな。

カメラ映像終了。

記録日時: 13/3/13

カメラ映像開始。乗組員3名全員がある種の箱らしき物を取り囲んでいる。クズネツォフがカメラを直接見つめている。

クズネツォフ: 今日、目を覚ました我々は、船外で箱を発見した。

モロー: 何処へともなく宇宙の真ん中を漂ってた。ただ可愛らしくお座りした状態でな。

クズネツォフ: たった今問題のオブジェクトを回収し、これから開封するところだ。いいか諸君、パニックを起こすなよ?

神経質な笑い声がグループから聞こえる。クズネツォフは排出用ポートの横に立っている。モローが箱のハッチを慎重に持ち上げ、中を覗き込む。

モロー: こいつは… CDか。回すかい?

クズネツォフ: やってみよう。隔離コンピュータを使ってくれ、他とは接続されていないから。

モローがCDを起動すると、コンピュータ上に動画ファイルが開く。クズネツォフが頷くのに続いて、モローは動画を再生する。

動画は、カメラの前に座るクズネツォフ船長を映したものである。

クズネツォフ: 何だ、これは?

動画のクズネツォフ: こちらはペレグリン-9ミッション船長のミハイル・クズネツォフ。35日目の報告。アノマリーの成長が減速する兆候はまだ見られない。未だに計数機が作動していないので、良いデータを得ることができていない。それでも我々は、できる事を探すまでだ… 我々全員のためにも。記録を終了する。

動画はこの時点で終了する。

カメラ映像終了。

記録日時: 13/3/21

カメラ映像開始。再びクズネツォフがカメラの前に座っている。

クズネツォフ: こちらはペレグリン-9ミッション船長のミハイル・クズネツォフ。ミッション47日目の報告。ここ一週間かそこらで、問題のアノマリーについて私自身が話している記録をさらに12点回収した。

クズネツォフは溜息を吐き、首を擦る。

クズネツォフ: それでも我々はまだ答えに近付けていない。私の他バージョンは全員、SCP-3200を停止することに言及しているので、私よりも何が起こっているのかを把握しているようだ。ここにいるバージョンの私が彼らの半分でも知ることさえできれば… ハッ。今思い出したが、カント計数機はまだダメだ、機能していない。理由はまだ判然としない。

クズネツォフは後ろに反り返って顔を擦る。

クズネツォフ: モローは我々が見ている記録を他の世界に由来する物だと考えているし、それならばあれが何処からやって来たかに説明が付く。トーマスはこのアノマリーを取り巻いている現実性の何かが狂っていると信じているし、それならばカント計数機の誤作動に説明が付く。しかしそのどちらも、何故なのかについては見当が付かない。まとめるとこうだ — 我々の手元には何もなく、疑問だけは山ほどある。今日の報告はこれで完了とする。

カメラ映像終了。

記録日時: 13/8/6

カメラ映像開始。クズネツォフは顔を手に埋めている。彼はカメラを見上げる。

クズネツォフ: 今日は、回収し続けている私自身のテープの38本目を発見した。今の私が丁度やっているように、カメラに向かって私が話すテープを収めた38個の異なるカプセルを入手したわけだ。そして、それらのテープには一つとして完全に同じ物が無い。それぞれの動画で、私が別な服を着ていたり、日付が違ったり、私の髪の色が違ったり、ありとあらゆる相違点がある。だがそれが何故かは全く以て分かっていないんだ。

クズネツォフはカメラに向かって身を乗り出す。

クズネツォフ: 私が何より不安視しているのは、SCP-3200が正確には何をしでかしているのかの詳細を未だに掴めていないことだ。我々は、ここがある意味で時空間のイカレた領域だということは確信している — モローは、この領域内の時空がかなり薄くなっているから並行世界との接触ができるのだと強く主張している。だがこれ以上の事となると、厳密には何が起こっているのか、それが分からない。悪いことに、カプセル以外の物が見つかり始めた… 例えば死体だ。私の、セウェルの、モローの、そして今まで会ったことも無い人々の死体さえも。以前に見たことのない技術を使ったシャトルのパーツもあれば、皆目見当がつかない物体のスクラップもある。

クズネツォフは肩をすくめる。

クズネツォフ: この場所では何かが大きく間違っている。根本的に場違いのような気がするんだ。この世界には属していないような感覚が。ここで他に何が見つかるか分からない。今日はここで記録を終了する。

カメラ映像終了。

13/9/7、クズネツォフ船長は別なテープの回収を試みている最中に消失したようです。彼は2日後の13/9/9に再出現し、著しい脱水と衰弱を示していました。他の乗組員たちは、クズネツォフが昏睡状態に陥る間に、以下のメッセージを記録したと報告しています。

我々は愚かだった。この空虚は時空間が乱れている領域じゃない — 亀裂自体の原点だ。時空間そのものが自らを引き裂いている、そして我々が見ているのは過去と未来に存在するあらゆる時間軸の残響なんだ。

時間はウロボロスだ。生まれ変わるためだけに、自分自身を何度も貪り喰らっている。

私は全てを見た。過去に我々がそれを止めようとした全ての時間を。過去に私がそれを止めようとした全ての時間を。そして未来も。これは何回でも発生するんだ、我々が正しく理解するまで。

何度も繰り返し、我々はそれを修正しようと必死に努力する。全ての時間は特異点に達するまでお互いに融合し、やがて全てが消え去る。亀裂は現実世界のあらゆる場所により多くの穴を空け、アノマリーの出現頻度は増していき、収容は避けられない破滅を遅らせることしかできない。必然的に全ては拭い去られる。

私は全ての時間軸を目にした。そしてどの時間軸でも我々はこれを停止できていない。

ボゴロディツァ。1 我々は深淵を覗き込んでいる。そして、神よ、そいつは我々を憎悪している。

これは、回収されたカプセルに封入されている最後の記録されたイベントです。ペレグリン-9ミッションの本来の終了日時を過ぎていることに鑑み、遠征隊はロストしたと見做されています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。