SCP-3233

評価: -1+x
3233_lesserhedgehogtenrec.jpg

2体のSCP-3233-Beta標本。

アイテム番号: SCP-3233

オブジェクトクラス: Euclid Keter

特別収容プロトコル: SCP-3233はサイト-104の改良された人型実体収容セルに収容されます。SCP-3233の収容セルの換気装置は完全自給式で、サイト-104から隔離されており、SCP-3233-1の漏出防止のために活性炭を敷き詰めたフィルターが搭載されている必要があります。SCP-3233には96時間毎にテンレックの子個体1匹を取り込ませます。

給餌を目的として、サイト-104動物棟内でEchinops telfairi1の小規模な個体群を維持しなければなりません。査読のために投稿されたテンレック科の動物に関連する全ての研究論文は即座にリジェクトされ、標準的な手段で押収されます。

説明: SCP-3233はかつてはシエラ・ヒメネスとして知られるヒスパニック系と南西アジア系の成人女性です。SCP-3233はヒメハリテンレックが纏っているものに似た鋭い棘を手、腕、関節、顔、首に多数保持します。化学分析によりこれらの棘は通常のケラチンで構成されることが判明していますが、異常な耐久性と鋭さを有します。SCP-3233はもはや食事を必要としません。

SCP-3233は汗腺からフェロモン様の揮発性化学物質(SCP-3233-1に指定)を受動的に放出します。SCP-3233-1は人間にとってはラベンダーに似た匂いとして微かに感じられますが、テンレックが受容した際には異常な効果を及ぼします。全被験個体の約71%でこの引き金が活性化しており、嗅覚が損傷・不活性化・除去された個体にはSCP-3233-1は影響しないように思われます。

3233_SCP-3233-1.jpg

SCP-3233-1

SCP-3233-1の影響を受けた動物(SCP-3233-Alphaに指定)には子宮内膜の劣化を経て不妊症が引き起こされます。SCP-3233-Alpha個体は一貫してSCP-3233-1の匂いを嗅ぐことやSCP-3233の存在自体に嫌悪感を抱くようになります。また、定常の食事スケジュールからの逸脱が見受けられないにもかかわらず、極度の栄養失調に一致する病症を非常に高い割合のSCP-3233-Alpha個体は呈します。

SCP-3233-AlphaとSCP-3233の健康状態は密接に関係しています。SCP-3233が負傷するとSCP-3233-Alpha個体も痛みを感じるようであり、SCP-3233が病気や空腹状態に陥るとSCP-3233-Alpha個体は摂食を拒否します。

補遺3233-A: SCP-3233は、彼女が勤務していた研究所の実験動物の出生率の異常な低下が同僚による報告されたことにより財団の注意を惹きました。いくつかのテストの実施を経て、研究プロジェクトへの資金援助は打ち切られ、記憶処理とカバーストーリーの流布が行われました。SCP-3233は収容され、異常性が残存しないかを監視するための潜入エージェントが研究所に配置されました。

収容から48時間以内にSCP-3233の体調は著しく悪化し始め、極度の栄養失調および重度の片頭痛の症状を示し、それと同時に研究所に残されていた動物たちの異常行動が観測されました。即座にSCP-3233は生命維持装置に入れられ、ヴェラスケス博士の提案により動物たちはサイト-104に移送されました。

SCP-3233と対面したSCP-3233-Alpha個体は強い嫌悪を示し、非Alpha個体はSCP-3233を囲みました。SCP-3233が無意識に右手を伸ばすと妊娠した個体がその上に乗って直ちに子個体9匹を産み始めました。一番小さな仔は大きな声を上げるとSCP-3233の掌に吸収されました。

SCP-3233が苦しげに体の各部位から棘を生やしたことは注意すべきことです。SCP-3233の体調は急速に改善し、24時間以内には完全に健康に戻りました。

このインシデントから約120時間後、SCP-3233の健康状態は再び悪化し始めました。非Alpha個体が収容セル内に持ち込まれると同様のイベントが発生しました。この一連のイベントが複数回繰り返された後、テンレックの異常行動はSCP-3233の生命維持に必要であると判断されて収容プロトコルが改訂され、サイト内でテンレックが維持できるよう生育環境が敷設されました。

18/12/29: SCP-3233-1には副次的効果が存在することが示されています。非Alpha個体全てで子個体の体格サイズが増加していることが統計的に有意であり、大脳皮質で深い皴を発達させていました。これら個体は顕著に知力が増加しており、FAITH2スケールで1.9点相当の平均点を記録しました。一般的なテンレックは1.2点3となります。

これら個体はSCP-3233-Betaに指定されました。SCP-3233-Alpha個体と同様、SCP-3233-Beta個体とSCP-3233と密接な関係を有しており、SCP-3233に合わせて自身も痛みを感じるようになります。SCP-3233は、SCP-3233-Beta個体が死亡する度に追加の棘を発生させます。

19/02/28: 度重なる観察により、Alpha/Beta個体の比率は徐々にBeta寄りに推移していることが明らかになりました(71%/29%から38%/62%へ推移)。現時点で理由は不明であり、更なる調査が必要です。

現在、Alpha個体は可能な限りBeta個体を忌避するように行動します。

19/04/02: SCP-3233-Alpha個体がBeta型に移行した最初の事例を確認しました。環境条件および要因は不明です。現在、Beta個体の平均FAITHスコアは2.2です。

興味深いことに、Alpha型で通常見られる好ましくない状態の全てがほぼ瞬時に鳴りを潜め、このテンレックは完全に健康な状態に回復しています… -モニーク・ヴェラスケス博士

19/04/21: SCP-3233は不安症状を示し始めた。

19/05/11: SCP-3233-Beta個体もSCP-3233-1を放出し始めました。収容プロトコルを改訂しました。現在、Beta個体の平均FAITHスコアは5.0です。

19/05/28: 週に一度の問診の最中、SCP-3233は約20秒間の緊張性昏迷状態に陥りました。復帰後、SCP-3233はこの出来事に動揺した様子を見せました。

19/07/01: SCP-3233が陥る緊張状態の持続時間と頻度は確実に増加しています。SCP-3233の記憶喪失と心理療法措置に加えて、SCP-3233から申し出される「食事」の間隔も長くなっていることが示唆されました。

申し出の間隔が延びることは棄却されました。オブジェクト同様に私たちもギリギリの状態であり、異常性が消失するリスクを冒したくありません。心理療法は暫定的に承認されましたが。 -モニーク・ヴェラスケス博士

19/07/02: 現在、Beta個体のFAITH平均スコアは8.7であり、Alpha/Beta比率は3%/97%です。

19/07/19: 死亡したSCP-3233-Beta個体は徐々に崩壊してSCP-3233-1からなる雲になるようです。

インシデントログ3233-01: 19/08/26、SCP-3233が収容違反を引き起こした。

14:53: SCP-3233はドア近く、収容セルの隅に座っている。

14:53: SCP-3233が緊張状態に入る。

14:56: 過去最長となる3分間の緊張状態が継続される。全ての棘が高速で震えている。

14:57: SCP-3233は緊張状態から目覚めるが目の焦点が合っておらず緩慢な動きを示す。SCP-3233は棘を1本引き抜き、それに息を吹きかけた後に床に置く。

14:58: SCP-3233が独房のドアを引っ掻き始める。

15:00: SCP-3233がドアを破り、警報が鳴る。

15:01: SCP-3233は顔をしかませながらさらに棘を2本引き抜く。SCP-3233は棘を両手に握っている。

15:03: SCP-3233は東の廊下を一直線に進み始め、2本の棘を落とす。

15:03: 床に落とされた棘がテンレックの成熟個体の姿に展開され、騒々しい鳴き声を上げながらSCP-3233と反対の方へ向かって廊下を動き回る。SCP-3233は顔を歪ませながら後頸部からさらに数本の棘を引き抜く。

15:04: SCP-3233は警備員2名と相対する。

15:04: 警備員がSCP-3233に麻酔銃を向け、敵対的な行動を止めるように命じる。

15:05: SCP-3233は静止し、眠りから目が覚めたかのように突如として痙攣する。SCP-3233は周囲を見回し、混乱しているように見える。

SCP-3233: そんな!

SCP-3233: いったい何が…

15:05: 警備員は無線機で交信するために首を横に反らす。

15:05: SCP-3233は再び緊張状態に戻り、震わすように両腕を振り上げ、握っていた棘を警備員の首に目掛けて力強く投げる。

15:06: 看守は2名とも倒れる。後の調査により血中から強力な鎮静剤が検出された。

15:08: SCP-3233がサイト-104のメイン通気口に到達する。

15:09: SCP-3233は棘で通気口のカバーを切り開く。

15:09: 6名の警備員がSCP-3233の場所に向かう。

15:10: SCP-3233は残りの棘を通気口に落とし、意識を失って倒れる。

15:10: 警備員はSCP-3233を収容セルに戻して通気口を封鎖する。廊下にいたテンレック2匹は回収された。

15:11: SCP-3233の収容が再確立された。

<後記> 通気口は封鎖されたが、棘は回収されなかった。9日間に渡って微量のSCP-3233-1が空気中に検出され、サイト-104は検疫ロックダウンされた。

皆さん、すべきことはお分かりですね?より厳重に収容し、油断せずに見張るのです。何がこの馬鹿げた事態を引き起こしたのか、正しく知りたく思います。 -ヴェラスケス研究主任

収容プロトコルが改訂されました。警備員2名は12時間以内に意識を取り戻し、異常な影響が残余していないことが証明されるまで隔離されました。

19/10/26: SCP-1585のモニタリングのためにマダガスカルに駐在していた財団の動物学者により、在来のE. telfairiの個体群の範囲と大きさが著しく増加していたことが報告されました。SCP-3233担当研究員による分析から、SCP-3233-Betaに相当する在来個体の知性および生殖能力の増加と、汗腺からのSCP-3233-1の分泌が確認されました。SCP-3233-Alpha個体の生息は確認されていません。オブジェクトクラスはKeterに更新されました。

どうすべきでしょうか?マダガスカルのテンレック全てを収容するなんてありえないことです。実現不可能ですし、ここの繊細な生態系を乱すことになるでしょう。 -ウィルベルト・マラヴィラ博士

高い知能と繁殖速度を突如として獲得した種がすでに生態系を破壊しかけています。高い知性を獲得した生物1つを絶滅させるなんて心底嫌だけど、他の無数の種に与えうる損害を考えればその価値はあるかもしれません。封じ込めや無力化の案ならどんなものでも私に直接送ってください、リスク分析も添付して。 -ヴェラスケス研究主任

在来個体が全てBeta型となった今、1人の不安定な女性に1つの生物種の存続が左右されています。何をするにしても急がないと。既にSCP-3233-1の構造は解明されています。3233-1の特性を無効化するなり、せめて3233-1をトラップして反応する化学物質の合成を提案します。 -マラヴィラ博士

提案受理されました。仕事に取り掛かりましょう。 -ヴェラスケス研究主任

20/02/05: マダガスカル南西部に位置する森林奥部を探索したところ、テンレックの原始的な集落痕跡が発見されました。集落には、組み立てられた棲み処、捕食者を阻止するための罠、共有の食料貯蔵所、飾りつけられた機能不明の構築物が含みまれます。主に木の枝から成るこれらの構築物は、形状を支持する粗末な基盤を構造に含み、常に集落の中央付近に位置しています。

時間がありません、マラヴィラ。完全に手に負えなくなってしまう前に3233-Beta個体群を間引くことを許可します。 -ヴェラスケス研究主任

20/02/10: プロトコル89-チラーレン(件の集落への外部アクセスを制限し、付随する損害を最小限に抑えたSCP-3233-Beta個体群の体系的選抜除去を含む)の第1段階が実施されました。SCP-3233-Beta型の野生個体数は約24%減少しました。89-チラーレンの第1段階が正常に完了すると、SCP-3233は4日間の緊張状態に陥りました。この期間中、SCP-3233-Beta型の収容個体全てが鳴き声を上げ、不安定な行動を示し始めました。第2段階の実施は無期限に延期されています。

20/02/14: 緊張状態が終わったSCP-3233は重度の鬱症状を呈し、収容セル壁面の殴打や削剥のような破壊的な行動を起こすようになりました。SCP-3233自身への、転じてSCP-3233個体群への危害を防ぐために拘束された後、SCP-3233は再度の緊張状態に移行しました。

20/03/05: SCP-3233の緊張状態および規定通りの食事は依然として継続されています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。