SCP-326-JP
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アイテム番号: SCP-326-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-326-JPはサイト-81██の耐爆金庫ルーム内に備え付けられた専用のミニチュアモデルケースに保管して下さい。実験はセキュリティクリアランスレベル3以上の研究員の立ち会いのもと、Dクラス職員を用いて行って下さい。SCP-326-JPを用いたあらゆる実験は現在サイト-81██管理者によって禁止されています。

説明: SCP-326-JPはSCP-326-JP-1とSCP-326-JP-2の二つからなるオブジェクトです。

SCP-326-JP-1は1024個からなる1/48スケールの、歩兵、騎兵、砲兵を模したオブジェクトの集合体です。歩兵、騎兵、砲兵の割合は6:1:1です。オブジェクトは256個ごとに赤、青、緑、白に塗り分けられています。材質はメタルフィギュアに用いられる一般的なホワイトメタル合金の組成と同一です。

SCP-326-JP-2はSCP-326-JP-1を用いたアクチュアル・ウォーゲームのルールブックです。表面は非常に劣化が進んでおり、出版社名などは判読できませんが、ルール部分は判読可能です。16世紀から20世紀初頭にかけての戦闘を戦術レベルから戦略レベルで再現するためのルールと、実際に遊ぶためのシナリオが、小さなフォントでページ全面に書き込まれており、判読には若干の困難が伴います。

財団は、妄想を伴う統合失調症により制限行為能力者1となったアクチュアルボードゲーマー████氏の所持品の中から、これを発見しました。████氏が残したメモには、このアクチュアル・ウォーゲームを遊ぶごとに、自身の歴史に関する記憶と世間のそれとが合致しなくなると書かれていたため、財団はこれを収容し、実験対象としました。

SCP-326-JPを用い、歴史上のイベントをアクチュアル・ウォーゲームとしてプレイした場合、プレイヤーの自由意志に関わらず、史実と寸分違わぬ展開と結果が出されます2。しかし、プレイヤーは史実と異なる記憶を抱くようになります。以下はその実験記録です。3

実験内容 被験者 結果 史実との被験者の記憶の乖離
アウステルリッツ三帝会戦 Dクラス被験者2名 ナポレオン軍の勝利 被験者は、史実ではダヴーの増援の到着の遅れでアウステルリッツでナポレオンは敗北と主張
ゲティスバーグの戦い Dクラス被験者2名 北ヴァージニア軍の敗北 被験者は、史実ではゲティスバーグの戦いの南軍勝利によりワシントン前面まで南軍が殺到したと主張
普仏戦争 Dクラス被験者2名 フランスの圧倒的敗北 被験者は、史実では仏軍のゲリラ戦により普軍は泥沼に陥り長期戦になったと主張。このゲームはそれを反映していないと抗議

インシデント326-JP-1
上記実験終了後の、199█/█/██に、██博士による収容違反が発生しました。ボードゲームマニアである██博士は、Dクラス職員を用いず自身でSCP-326-JPの特質に迫ろうとし、後輩であり同志である██研究員と共にSCP-326-JPをプレイしました。以下がその結果です。

実験内容 被験者 結果 史実との被験者の記憶の乖離
シュリーフェン・プラン ██博士と██研究員 マルヌ会戦でドイツ軍敗北、第1次大戦は長期化 ██博士は、史実ではマルヌ会戦でのドイツの勝利により第1次大戦は短期に終結したと主張

以下は、収容違反実験を行った██博士へのインタビュー記録です。

対象: ██博士

インタビュアー: ██研究員

<録音開始,19██/██/██>

██研究員: あなたは██博士ですね?

██博士: そうだ。まだ私の財団籍が無効になっていないとすればだが。

██研究員: あなたはマルヌ会戦でドイツが勝利し、第1次世界大戦は短期間で終結したと証言していますね?

██博士: ああそうだ。その結果、君達の云う第2次世界大戦も生じなかった。

██研究員: それは私達が認識している歴史とは大きく異なります。SCP-326-JPを通じ、あなたはミーム汚染に曝露したのではないかと私達は考えています。

██博士: その可能性はある。しかしミーム汚染ならば、ゲームの勝敗に左右された認識を抱くのが常道ではないだろうか。

██研究員: なるほど。論理的な仮説です。ではあなたは、ミーム汚染以外にこの事態を説明できる仮説を持っておいでですか?

██博士: 言いにくいことなのだが……このミニチュア・ボードゲーム自体が歴史改変オブジェクトとしての性質を持っている可能性がある。ゲームをプレイした者には影響を及ぼさず……他の人々を改編するオブジェクトとしての。私がミーム汚染を受けたのではなく、君たちが第二次世界大戦が起こった世界の住人へと改変されたのではないかという仮説を私は抱いている。

██研究員: その場合我々がこのような形で存在している可能性は低いと思われるのですが。

██博士: 実際、ある程度以上の歴史改変は修復しがたいレベルの現在の改変をもたらす。その結果を私は目の当たりにしている。

██研究員: なんのことです?

██博士: きみは、いったい、誰かね?

<録音終了,19██/██/██>

終了報告書: ██博士には重篤な事実認識誤認の影響が認められた。しかし他の精神状態は安定している。これについて、より一層の調査を求める。

この報告を受け、サイト-81██管理者は、SCP-326-JPが「歴史改変をもたらすオブジェクトである可能性がある」とし、新たなる実験の禁止を命じました。

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