SCP-327-JP
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██博士所有の観光記念メダルに転移したSCP-327-JP

アイテム番号: SCP-327-JP

オブジェクトクラス: Safe Keter

特別収容プロトコル: 現在、SCP-327-JPは収容されていません。確保された場合、収容にはエリア-81██内に専用に設置された特殊金庫が使用されます。その周辺半径6004000m以内は原則的に立入禁止とし、例外的に必要な場合にはエリア管理者の許可を得てください。その際に特別に許可された物品以外の私物は一時保管所に預けてください。一切の許可のない金属製品の持ち込みは厳重な処分の対象となります。特に機械類は金属円盤型部品を用いていないことが内部検査によって確定した場合以外許可が降りません。また航空機がエリア上空を通過することも認められません。SCP-327-JPを確保した財団職員は、直ちにエリア-81██へ連絡を取り、指示に従って搬送してください。搬送中はオブジェクトを個人の財布や機械類をはじめ、金属円盤型の物品から可能な限り引き離すよう努力してください。

説明: SCP-327-JPは移動しながら外観を不定期に変異させていますが、常に「直径約40cm程までの、主に金属で構成される円盤」という共通点を持っています。これはSCP-327-JPが、数分~数日ごとに上記の性質を持った物体と自己の位置を入れ替え、同時にそれに“化ける”ためです(以下、この現象を「転移」と呼びます)。転移の距離限界は未確定ですが、確認された最大の転移距離は1408mで、最も頻繁に転移する物体はコインです。オブジェクトと転移先の物体の間にどのような材質の障害物があっても、転移に支障を生じさせることはできません。
なお、SCP-327-JPが“化けた”円盤の両面が異なっていた場合でも、転移後のSCP-327-JPはその片方のみを両面が模倣します。たとえばSCP-327-JPが日本国発行の10円硬貨に転移した場合、両面ともに10の数字が書かれているか、もしくは両面とも平等院鳳凰堂があしらわれているかのいずれかです。以上が第一の異常性です。

SCP-327-JPを所持した、あるいは自在に取り出せる状態にある人間(SCP-327-JP-1)が他人(SCP-327-JP-2)となんらかの意見対立場面に遭遇したとき、SCP-327-JPは第二の異常性を発揮します。この異常性は、意見対立の解決をSCP-327-JPを用いたコイントスで行いたくなるという精神汚染効果であり、対立の性質上コイントスが明らかに無意味であっても、その効果は失われません。たとえば初歩的な科学的事実についての記憶が食い違っており、どちらが正しかったか、その場に持っている書籍で直ちに真実を確かめられる場合であっても、両者はコイントスに執着します。

ただし第二の異常性は、SCP-327-JPからごく近距離に存在する人間にしか有効ではありません。したがって意見対立が電話のような遠隔通信手段を介している場合、SCP-327-JP-1側のみが一方的にコイントスを要求します。この際、SCP-327-JP-2側から「お前がコイントスをしても私には結果が見えない」等の合理的な説明を受けてもSCP-327-JP-1は聞く耳を持ちません。この場合はほとんどのケースで、SCP-327-JP-2側がコミュニケーションを打ち切ることになり、ほどなくしてSCP-327-JPは転移していきます。

コイントスが行われると、物理的妨害が入るなどの極少数の場合を除き、以下の事象が発生します。一連の事象を「イベント327」と総称することとします。イベント327については主に中央アジアに伝わる民話に酷似のものが複数残されています。民俗学的証拠に照らし、オブジェクトが遅くとも14世紀頃には存在していた可能性が示唆されています。

1.SCP-327-JP-1、2とも、SCP-327-JPの両面が同じである事実に気づきません。

2.SCP-327-JP-1は必ずSCP-327-JPの存在する面に賭け、従ってコイントスに勝利を収めます。

3.直後にSCP-327-JP-1は、SCP-327-JPを手から取り落とし、ほとんどの場合SCP-327-JP-2側へと転がっていきます。この現象はSCP-327-JPがSCP-327-JP-1の精神に作用して無意識的な動きを強制することで起こるものと考えられます。

4.SCP-327-JP-2はSCP-327-JPを拾い上げ、両面が同じであることに気付きます。

5.SCP-327-JP-2は一連のコイントスを、SCP-327-JP-1が意図して行った悪質なイカサマであると断定し、激怒して強く非難します。

6.SCP-327-JP-1はSCP-327-JPが両面が同じ「エラーコイン」であったと知らなかったと弁明しますが、SCP-327-JP-2は聞き入れません。

7.SCP-327-JP-1、2ともに相手方に対し、非常に強い永続的な悪感情を抱きます。SCP-327-JP-2は自らをコイントスによる詐欺の被害者・SCP-327-JP-1を加害者と考え、一方、SCP-327-JP-1は自らがその冤罪の被害者・SCP-327-JP-2を加害者と考えます。

イベント327の全てが終了した後、SCP-327-JPは周辺の金属円盤に再転移することで移動し、SCP-327-JP-1のもとを離れます。

なお、SCP-327-JPの転移現象の詳細については以下の文書を参照。

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