化学分析のために財団が入手したSCP-3275-1実例。オリーブが不快な硫黄臭を放っている。元々の注文は"ベジタリアン・ピザ"。
アイテム番号: SCP-3275
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: どのようなSCP-3275の発生も厳重に監視する必要があります。ただし現在、財団はSCP-3275が制御された特定の条件下で発生する場合に限り、その発生を容認しています。
財団の注意を引いたすべてのSCP-3275-1実例は分析のために回収され、続いて指定の異常由来物品用の容器を用いて処理されます。担当の人員によって発注されたいずれのSCP-3275-1実例も、財団所有の施設に配達されます(下記の通常手順を参照)。
SCP-3275-1実例を取り扱う実験には、レベル2以上のセキュリティクリアランスが必要です。SCP-3275-1に携わる職員は該当のピザのボックスが開いている間、レベルA化学防護服又は個人用防護具と同質の装備の着用が義務付けられます。SCP-3275に割り当てられた人員は、標準の想定から大幅に逸脱したSCP-3275-1実例を記録し、その事例を研究主任に報告する必要があります。
SCP-3275-2は現在、█████████ピザでの勤務を維持することが許可されています。SCP-3275-2は許可されていない顧客に関わる配達依頼を受けることは出来ません。特に有害なSCP-3275-1実例が発生した場合、SCP-3275-2は尋問や追加の警戒のために拘留される可能性があります。
SCP-3275-1の発注と受取の通常手順は以下の通りです:
- 財団保有の非サイト建造物からSCP-3275-2が雇用されているレストラン、█████████ピザに向けて盗聴防止機能付きの電話が掛けられ、ピザの配達を要求します。明確に、SCP-3275-2が配達人に指定されます。注文に付け加えるトッピングは、生成されるSCP-3275-1実例の分析を行う財団研究者によって決定されます。
- SCP-3275-1実例は生物学的収容能力を備えた財団所有の施設に配達されます; 警備員はCCTVカメラによって身元を特定した上で、SCP-3275-2の施設への入場を許可します。SCP-3275-2はセキュリティステーションに実例を配達します。保安職員はSCP-3275-1実例を内包する段ボール箱に直接的に接触しないように指示されています。
- 指定の財団職員はSCP-3275-2に対応し、SCP-3275-1実例と█████████ピザのメニューに沿った異常性のないピザの標準的な金額を交換します。SCP-3275-2は疑念を抱くことのないよう、可及的速やかに施設を退去させられます。
- 入手されたSCP-3275-1実例は運搬用のダンボール箱に入れたまま化学実験室に移送されます。 この時点から、SCP-3275に割り当てられた研究者のみが実例を取り扱うようになります。当該研究者はSCP-3275-1実例の分析と文書化の準備を行い、続いて実例はその組成に従って処分されます。
説明: SCP-3275は██████ ████████という個人(SCP-3275-2に指定)によって配達された商業生産のピザに影響を及ぼす、繰り返し発生する異常現象です。SCP-3275の影響を受けたピザはSCP-3275-1実例と指定され、顧客の注文とは極端に異なることが知られています。明示的に要求されたトッピングは不足しており、明らかに不要なものが存在しています。
さらにSCP-3275-1には、受取人の注文していない余分なトッピング、標準のピザのものとは異なる不快臭を発する材料、ピザへの食用でない物品の混入などの不適切な変更が加えられていることがあります。(補遺-Aには、異なるSCP-3275-1発生の例を示す様々な実験ログが含まれています。)
SCP-3275-2(██████ ████████)は異常性のない男性であり、████/██/██時点で22歳です。SCP-3275-2は身長1.81m、体重68.5kgです。SCP-3275に携わる財団職員の要求(詳細は研究主任に連絡してください)に応じて顔写真を利用可能です。SCP-3275-2がしばしば整っていない服装であったり、寝不足に苦しんでいるように見えることに留意してください。SCP-3275-2は現在█████████ピザの配達員として雇われており、この役職を3か月間維持しています。SCP-3275-2が財団の介入以降に配達したすべてのピザは、必ずSCP-3275-1実例になっていることが知られています。
SCP-3275-2の勤務店から回収された防犯カメラの映像では、SCP-3275-2が配達用のピザを受け取ってから前述の注文した顧客へ配達するまでのいずれかの時点でSCP-3275の異常性が現れているように見えます。SCP-3275-2はキッチンスタッフから準備されたピザを正しく受け取ったことが記録され、正しい住所へ配達したことが確認されています。回収された店舗の映像はさらに、SCP-3275-2が与えられたピザに干渉したり、故意に傷付けたりしていないことを示しています。SCP-3275-2が█████████ピザの他の配達員に影響を与えている様子は記録されておらず、SCP-3275-2は自身の人生の他のいずれの時点でも他に異常な出来事は起こっていないと断言しています。SCP-3275が配達プロセスのどのタイミングで発生したのかは明確には不明です。
現在、SCP-3275の効果範囲の確定に関する議論がされています。最近のSCP-3275-1実例の分析では、SCP-3275の発生にある程度の不安定性があることが示されており、異常性とその効果範囲の更なる予測不可能な変動に警戒すべきであることが示唆されています。
補遺3275-A: 注目すべきインシデントと実験ログの抜粋
インシデントログ 3275-000
日付: (████/██/██)
注文内容: エクストラチーズのペパロニピザ
配達品 マッシュルームのハムピザ
注記: この出来事によって、SCP-3275は財団の注意を引きました。この注文はオネリー博士(サイト-76に携わる研究者)の自宅から行われ、配達を受け取った上で繰り返し発生する問題についてのSCP-3275-2の訴えを聞き受けました。オネリー博士はSCP-3275-2の主張を裏付けるために█████████ピザに電話した後、SCP-3275-2に財団の尋問に応じるように要求しました。
実験ログ 3275-002
日付: (████/██/██)
注文内容: オリーブ、マッシュルームとチェダーチーズのソーセージピザ
配達品: ガーリック、アスパラガス、バジルとモッツァレラチーズのツナピザ
注記: SCP-3275-1実例には、必ずしも注文の要求と同じ数のトッピングが含まれるわけではないことが確認されました。
実験ログ 3275-004
日付: (████/██/██)
注文内容: 底層にある標準的なトマトソースを除けば、他に何も載せていないピザ
配達品: ピザ生地に卵とミートボールが広がっている。細断されたゴム手袋も存在し、ピザの中央に横たわっていた。
注記: 本来ではトマトソースが存在していましたが、明示的にソースを要求するとソースが存在しなくなるようです。手袋は、SCP-3275-2(しきりにくしゃみをしている)によって"最悪の日に自分の印象を悪化させる、ただのクソみたいな異物"のようであると述べられました。
実験ログ 3275-010
日付: (████/██/██)
注文内容: パイナップルとナスのソーセージピザ。100ドル紙幣なし。
配達品: ホットソースと7枚の100ドル紙幣を使ったペパロニピザ。すべて燃えているか、皺が酷いか、引き裂かれているかして使用できない。紙幣からシリアル番号を特定することはできなかった。
注記: SCP-3275-1実例は食品でないトッピングを含むことができ、これらは通常の食材と同様に調理されたかのようにして現れています。
実験ログ 3275-012
日付: (████/██/██)
注文内容: オリーブとブルーチーズのペパロニピザ
配達品: ピーマンと液体ジフェナジオンのハムピザ
注記: これはSCP-3275-1実例が人による消費が安全でないトッピングを発生させた初めての例です。█████████ピザの料理人達は、自分達が鼠毒ブランドであるKillRatの容器を所有していると報告しています。SCP-3275-2はこのピザの配送時、とりわけ気分が悪そうに見受けられ、そのことが財団職員の介入を促しました。SCP-3275-2の私生活は洗濯されていない衣類、未処理のゴミ、そして窓際に蓄積したカビなどから好ましくない環境であることが判明しました。
実験ログ 3275-013
日付: (████/██/██)
注文内容: パイナップルと唐辛子のハムピザ
配達品: パイナップルと唐辛子のハムピザ
注記: 勤務店に戻る前に、SCP-3275-2は自身のアパートを清掃し、無視していた公共料金を返済するための"時間の余裕がついにできた"と証言しました。SCP-3275-2は顔のひげを剃った上に、彼個人の衛生を改善していたことが明らかになりました。
実験ログ 3275-019
日付: (████/██/██)
注文内容: チーズピザ
配達品: 過剰な量のトマトソースを含むチーズピザ
注記: SCP-3275-2は以前の健康を害する振る舞いに退行していると見られ、中でも個人衛生を度外視していました。更なる介入の準備については議論の後、当面の間は延期となりました。
実験ログ 3275-025
日付: (████/██/██)
注文内容: チーズピザ
配達品: オオアリ(Camponotus)属に覆われたソーセージピザ。詳細な検査によってすべてのアリ標本が昆虫病原性真菌のタイワンアリタケ(Ophiocordyceps unilateralis)の放射性変異体に感染していたことが明らかになった。
注記: 配達時、SCP-3275-2は重篤な咳をしていたことが明らかになっています。SCP-3275-2のアパートの調査では未払いの電気代と、安価なインスタント食品と汚れた使い捨てプラスチック容器で満たされたキャビネットの存在が明らかになりました。財団の介入が復帰し、SCP-3275-2は治療と定期的なアパート清掃サービスを提供されています。
SCP-3275の発生はSCP-3275-2の生活様式に関係しているようであり、健康及びキャリアカウンセリングの提供が提案されています。
補遺 3275-B: 財団職員はSCP-3275-2との初めての接触の際に標準的なインタビューを実施しました。これらの最初のインタビューは以下の通りです。
回答者: SCP-3275-2
質問者: ガンツ博士
序: 財団職員が初めてSCP-3275-2と接触した日である████/██/██にインタビューが行われました。
<記録開始, 15:40:38>
ガンツ博士: さて、直前にもうお互いに自己紹介はしていますが、あなたの名前を記録する必要がありますので、お願いします。
SCP-3275-2: ああ、その……分かった、██████だ。
ガンツ博士: 苗字もお願いします。
SCP-3275-2: ああ、くそ、そういうことね、ごめん。████████だ。
ガンツ博士: ありがとうございます。それで、これが何のインタビューだか分かりますね?
SCP-3275-2: そりゃ、俺とあのクソピザどもについてだろうよ。正直言うとめちゃめちゃ不快だよ。なんでこうなる必要があるのか分からない。てかその、アンタはなんだ、警官みたいな? これはその、何というか、本当に拘留か何かされてるように感じるな。
ガンツ博士: 今はただ幾つか質問に答えてくださるだけで良いのです。あなたは現在、何の嫌疑にも掛けられていません。
SCP-3275-2: 分かった。誓って言えるが俺はピザでふざけたりなんかしてない。誓うよ。俺は、何というか、邪魔か何かされてるような感じだ。ただの1つも正しく届けられたことなんかない。
ガンツ博士: ただの1つも? そこで働き始めた最初の日からですか?
SCP-3275-2: マジでただの1つも。そしてこの現象は俺だけに起こるのさ。なぜって、俺は同僚の███に尋ねて、そしてその、ソイツはそんなことは起こってないって。俺が尋ねた他の誰一人として。誰かが何かのために俺をハメて追い出そうとしてるのか? もっぺん、マジでここがどういう、その、場所なのか分からんけど、でも早くなんとかしてくれないと、なぁ? なんで俺だけにこんなことが起こってんだ?
ガンツ博士: なるほど、つまりあなたは何故このようなことが起こっているか分からない、ということですか?
SCP-3275-2: 誓うよ、分からない。これはその、何というか、仕事で配達してるときだけ起こるんだ。もし俺が、その、ダチにチョコレートの箱を渡したとしても、チョコが変わったりはしないだろう、どういうことだか分かるか? ダチはそれを注文してないからな。チョコレートでも起こるのかどうかは全く分からんけどな。今までピザの配達しかやったことないし。
ガンツ博士: つまり、ピザの配達に特別問題があると思われますね。あなたの仕事において何か奇妙なことはありますか? 関係する記憶の中で何かこれといったものは?
SCP-3275-2: いや、何も。今までの仕事の中で一番初歩的だよ。実際、かなり低レベルだから母さんは嫌がってたっけな。
ガンツ博士: 過去形を使いましたね。あなたの母親について。
SCP-3275-2: ああ、この仕事を始める直前に母さんは死んだよ。
ガンツ博士: お気の毒に。母親がこの仕事を嫌っていたと、そう言いましたね?
SCP-3275-2: ええと、そうだな……母さんは俺がもっとデキる奴だと思っていた、分かるかな? こんな仕事してたら'足手まとい'になっちまうってこと。もっと何というか、高等な何かをやるべきだと。何が言いたいかっていうと、俺は大人だ、そうだよな? 俺は自分の人生については自分で選択できる。俺はその、夢か何かの中で生きているが、どこでも幸せでいられる。でも俺の母さんはよく言ったもんだ、何というか、自分にもっと何ができるかとかを探すべきだって。成長し続ける、その、方法みたいな。
ガンツ博士: 母親はあなたにとって大切な存在でしたか?
SCP-3275-2: そりゃ……ああ、死んだのが悲しいよ。ただ、母さんはいつも俺に小言を言ってたからな、分かるか? 『██████、掃除しなさい。██████、片付けなさい。██████、お遣い行きなさい。』って。いつも俺に何かやらせて。いつも何かしらを心配して。息をつく暇もなかった。
ガンツ博士: 掃除するように言われたことから察するに、母親と同居していたのですね?
SCP-3275-2: ああそうさ、馬鹿にしてくれたって構わない。だが俺はその、常に金に困ってた。だからまず俺はこのクソったれの仕事を始めたのさ。じゃなきゃ俺はこんな仕事を続けてられないさ。仕事を見つけるのすら一苦労だったのに、何だよこのザマは? それにまだ請求書やら何やらも残ってるのに。
ガンツ博士: 分かりました、これで以上です。ありがとうございます。
SCP-3275-2: いや、待ってくれ、俺はこれについて、その、訪ねたいことが山ほどあるんだ、なぁ。俺がクビにならないように上司に支払ってくれてるって本当なのか?
ガンツ博士: 追加の質問なら、記録外で話し合いましょうか。
<記録終了, 15:43:21>
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