SCP-330-JP
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アイテム番号: SCP-330-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-330-JPは現在セクター-8105に収容されています。同セクターの中程度警戒オブジェクト用収容ルールに基づき設計された専用収容室中央に、施錠でき十分頑丈な棺状のケースに安置してください。また、このオブジェクトが知性存在のセンサーとして機能しているか、若しくは知性と知覚能力を持っている可能性があることについても留意してください。

SCP-330-JPの収容担当者のうち、オブジェクトを直接・間接問わず視認する可能性のある者は2011年以降に雇用された職員に限定してください。330-JP-day以前に雇用された全ての81地域ブロック職員、若しくは2010年以前の81地域ブロックの諸情報に詳しい他ブロック職員のSCP-330-JPへの視覚的暴露の実験の実施には、セクター-8105管理者1名と、当オブジェクト研究主任を含む4名以上のレベル4職員の許可が必要です。また、そのような実験への許可を求められた者は、考慮のためにセクター-8105管理者らと研究主任による当オブジェクトに関する提言に必ず目を通してください。

公開によりスタッフの士気に悪影響を及ぼすであろうと判断された一部の情報は、レベル4権限或いは研究スタッフ権限及び研究主任のアクセス許可を持たない職員に対しては秘匿されることになっています。それに伴い、330-JP-day以前に財団に雇用されたオブジェクト被曝者の内、前記の権限を持たない者は、接触時に関するインタヴューの後に該当情報に関する2010年型ミーム的箝口処置を受けることになります。未確認の影響がないかの調査のため、被曝者は1ヶ月に一度当オブジェクト研究チームによる定期検査を受けてください。なお、現在までの全被曝者のリストとその証言は別紙にまとめられています。

説明: SCP-330-JPは、黒い未知の金属的物質で全体の外殻が組成されている人型の存在です。発声や動きは一切観測されず、背筋を伸ばした「気を付け」の姿勢を保ち続けており、この姿勢から動かそうとする試みは今まで成功していません。全長は215cm、重量は540kgで、筋肉質で均整のとれた男性の身体を模しており、頭部は戯画化した鳥類のようにデザインされています。

外殻全体を組成している物質は、財団の現状の技術力で傷をつけることが出来ない高い剛性、及び熱・圧力・腐食性の液体などへの耐性を持っており、オブジェクトを損壊させることは困難か、少なくとも現状不可能であると評価されています。また、この物質は光反射率が0%で、且つ周囲約30cmの光の75%程度を歪めて吸収する特性を持っており、これが光学的手段での精査を妨げ続けています。加えて、電磁波などによるオブジェクト内部を確認する全ての試みも現在まで成功していません。なお、内部構造が外殻と同じ物質であると仮定すると、算出される物質の密度は如何なる既知の金属や、高い剛性を持つことで知られる合金とも一致しません。

2010/10/31(以下、330-JP-day)以前に財団81地域ブロックに配属された職員の殆どと、同じく数人の他ブロック職員(主に81地域ブロックの事情に多少なりとも詳しい者)、例外的に少なくとも330-JP-day時には財団にはいなかった少数の者に、SCP-330-JPは効果を示します。前記の条件に当て嵌まる者がこのオブジェクトを視認した時、「槇島 [編集済]」という名前の記録上存在しない財団職員(以下、SCP-330-JP-α)についての擬似記憶が生まれます(以下、効果が見られた者を被曝者とする)。これは被曝者によって内容が違い、ある者はそのような職員がいるという噂を聞いたことがあるという記憶、ある者はSCP-330-JP-αと友人として親しく会話した経験の記憶を植え付けられたと報告しています。なお、SCP-330-JP-αと恋人・家族・血縁関係にあった者に関する記憶の報告は現在までありません。擬似記憶は財団の現在有する如何なる記憶処理によっても消去することが出来ませんが、刷り込みなどの意識操作の効果を持つものではなく、被曝者は生じた記憶を自己と同一化させることなく虚偽の記憶であると認識することができます。また、擬似記憶の植え付け以外の特異性は現在まで認められていません。なお、特に映像記憶能力を持つ被曝者からは、更に特記すべき現象が報告されています(補遺を参照のこと)。

生成される疑似記憶は、客観的には充分に否定できるものですが、被曝者らの証言の全体を見ると概ね無矛盾です。証言全体から読み取れるSCP-330-JP-αのプロフィールをまとめると以下のようなものになります。

  • 名前は「槇島 [編集済](まきしま・xxx/Makishima-xxx)」。1990年代に財団に雇用されたエージェント。雇用の経緯、前歴等は不明。所属サイトや自室は特になく、日本全国で任務を行っていた模様。また「槇島~」の名が本名かどうかは定かで無い。
  • 恐らく日本人の男性で、年齢は不詳だが見た目では20代後半~30代前半。肌は日焼けしており髪色は黒、身長は190cm台でかなりの筋肉質。
  • 財団職員としての冷徹さや思慮深さを持つが、同時に比較的気さくで明るい人格の持ち主である。職員として優秀であり人望は厚かった。
  • SCP-330-JP-αは未知の手段によって、[編集済]可能である。[編集済]である理由や、[編集済]のそもそもの目的については現在まで情報が一切ない。しかし、被曝者によっては「理由・目的についての情報を疑似記憶の中では知っていたが、思い出すことはできない」という擬似記憶が生成された者もおり、擬似記憶における架空世界においてはそれは意味ある行動であった可能性が高いと考えられている。
  • SCP-330-JP-αは特別任務に当たる際に[編集済]し、度々敵対組織の[編集済]していたようである。但しどの様な組織と[編集済]したかについては不明瞭で、実在しない組織に主に対処していたのかもしれないとも証言されている。
  • [編集済]後のSCP-330-JP-αは多くの[編集済]を持っていたようである、という証言があるが、具体的な[編集済]は明らかにはなっていない。
  • SCP-330-JP-α自身は、[編集済]せずとも[編集済]で[編集済]。
  • [編集済]。
  • [編集済]と[編集済]。
  • [編集済]を終了させる任務にも[編集済]。
  • [要セキュリティクリアランスレベル4/330-JP]
  • 上記事案の後、SCP-330-JP-αは2010/10頃に消息を絶った。同月、財団はSCP-330-JP-αが死没したと発表した。

SCP-330-JPは2012/██/██、[編集済]で、非常に巧妙に隠蔽された状態で発見されました。発見時までの少なくとも███年間は同所のセキュリティに綻びは無かったと評価されており、SCP-330-JPは財団職員の特に中枢となる地位にある者によってそこに置かれたものと推測されています。しかし同時に、財団内部に潜入した/していた敵対組織構成員などによるトラップではないかとの説もまた充分有力であり、結論は出ていません。

なお、"そもそも当オブジェクトの影響によって生じる記憶は「疑似記憶」ではなく事実であり、職員が実際に体験したが何らかの理由で消去された記憶や改変された過去に関する情報を「思い出させる」効果がこのオブジェクトの本質なのではないか"との説がオブジェクト研究初期段階に唱えられ、以来現在に至るまでこれは明確に否定されてはいません。にも拘らず、この説が現在有力でないと評価されているのは、SCP-330-JP-αのような人材を財団が雇用し続けるということが、財団の少なくともここ数十年の方針とは大きく乖離したものであるためです。記録・記憶・過去現実が改変されている可能性は検討の余地があるとしても、改変前の世界であっても、財団によって前記した被曝者の証言のような行いがあったとは考え難い、というのが、現在のSCP-330-JP研究チームの総意です。

補遺: 2013/02以降、複数名の被曝者から、「SCP-330-JP-αについて想起する際に、黒い金属に傷を付けたようなイメージを幾つか幻視するようになった」という報告が為されるようになりました。報告者の全てが、優秀な記憶能力、特に映像記憶能力を持っている財団職員であることは特記すべきことです。報告者らによるそれらのイメージのスケッチを繋ぎ合わせたところ、日本語の片仮名で書かれた、何者かによるメッセージであると判明しました。このメッセージがSCP-330-JPの自由意思によって他者へ伝えられたものなのか、或いは機械的なものなのかは不明です。当オブジェクトが知性と知覚能力を持っているのか否かの実験が続けられていますが進展はなく、現在まで新しいメッセージらしきものの想起に関する報告は為されていません。また、同じく2013/02以降に「自然とSCP-330-JPやSCP-330-JP-αについて想起することが増加したように感じる」という報告が2名の被曝者からありました。漠然としており、かつ人数も少ないために評価に難しい報告ですが、研究チームはこれについても留意し、今後の被曝者らの報告を注視する方針です。

被曝者らが受け取ったというメッセージは以下の通りです(文の配置は可能な限りスケッチに準拠)。

オレノ ナハ マキシマ[編集済]
     モシクハ アーク
  [判読困難]レヲ オモイダセ
 ソシテマタ ワスレロ
     ワスレルベキダトオモイダセ
          タノ[以降は無作為な線であると思われる]

なお、メッセージ中でSCP-330-JP-αの別名であるように読み取れる「アーク」という語については、現在まで一切被曝者からの報告がありません。

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