SCP-343-JP
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アイテム番号: SCP-343-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-343-JPはサイト-81██の収容ロッカー内に保管されます。実験時に生成されたSCP-343-JP-1は、実験責任者の指示に従い適宜保存/処分してください。20██/██/██現在、更なる実験により得られるものはないと判断されたため、SCP-343-JPを用いた実験計画については無期限に中止されています。

説明: SCP-343-JPは一辺が80mmで構成される立方体の木箱で、全ての面の厚みはおよそ5mmです。非破壊検査から、構成部品は一般的な鉄金具とマツ科植物(Pinaceae)を中心とした集成材1であることが判明しています。それにもかかわらず、それら構成部品は一切の経年劣化の兆候を示しません。

SCP-343-JP上部の蓋が完全に閉じられた状態で、ヒトによって開けられた場合、その内部には不特定の物体(以下、SCP-343-JP-1)が生成/出現します。生成/出現するSCP-343-JP-1は、蓋を開けた被験者が潜在的に「欲しい」と考えている対象によって決定する傾向が多く見られる一方、常にその限りというわけではなく、依然としてそのメカニズムは不明です。この生成/出現プロセスにおいて、被験者の欲する物体のサイズがSCP-343-JP内部空間よりも明らかに巨大であった場合、SCP-343-JP-1は内部空間へ収まる形に裁断された状態で生成/出現します。例として、SCP-343-JP-1本来のサイズが直径100mmの球体であった場合、内部空間に収まるよう一辺70mm未満の立方体形状2に裁断された状態で生成/出現します。また、その際の裁断による切り口は非常に滑らかです。

一度のSCP-343-JP-1生成後から最短でも48時間の間、SCP-343-JPは不活性状態となり、上記の手順に従い蓋を開けても新たに物体が生成/出現することはありません。なお、SCP-343-JPの蓋を閉めた際、その内部に何らかの物体3が残っていた場合や、遠隔からロボットアームを用いて蓋を開いた場合にも異常特性は発揮されません。そのため、物体生成/出現の様子を内部から撮影することは成功しておらず、代用された高速度X線カメラ撮影では、SCP-343-JP内部におよそ11000フレーム/秒という瞬間的な速さでSCP-343-JP-1の影が生成/出現する様子のみが観察されています。

SCP-343-JPは19██/██/██、███市消費生活センターに地元の主婦から寄せられた「悪質な子ども用玩具」に関する問い合わせを調査した際に発見・回収されました。問い合わせを行った主婦に対するインタビューより、当該オブジェクトは███市で行われた縁日で娘が購入した物であり、子ども用の知育玩具として売られていたことが判明しています。一方で、販売を行なった人物に関する正確な情報は得られていません。

付録1: 以下はSCP-343-JP実験記録の中でも、希少事例とされる記録の抜粋です。なお、Dクラス職員を用いて行われた実験の3割以上は、SCP-343-JP-1が生成/出現しないという結果に終わっています4。この結果をもたらした要因については、現在も議論されています。

実験記録343-9 - 日付19██/██/██

被験者: D-8134309(女性 33歳)

事前回答: 欲しいものは「薬」と回答

SCP-343-JP-1-9: 白い粉末が27g

分析: 高純度の████であると判明。混ぜ物として未知の成分ベンゾカイン5が検出された。

実験記録343-16 - 日付19██/██/██

被験者: D-8134316(男性 58歳)

事前回答: 欲しいものは「金銭」と回答

SCP-343-JP-1-16: 収まるように左右端が裁断された100ドル紙幣で構成される100万ドル分の札束が5束

分析: 紙幣はフォートワース工場で印刷されたものと完全に同一であった。確認できたシリアルナンバーの内、前3桁の「L██」は19██年時には存在しない番号であった。

実験記録343-20 - 日付19██/██/██

被験者: D-8134320(男性 27歳)

事前回答: 欲しいものは「自由」と回答

SCP-343-JP-1-20: 一辺62mmの立方体形状に裁断された不明な機械機構の一部、蓋を開けて5秒で形が崩壊した

分析: 19██年製████車のエンジン部分であると判明。長年の使用による摩耗や老朽化の形跡が見受けられた。

実験記録343-29 - 日付20██/██/██

被験者: D-8134329(女性 62歳)

事前回答: 欲しいものは「安らぎ」と回答

SCP-343-JP-1-29: 大きな破片が複数混ざった白い粉末106g

分析: イエネコ(Felis silvestris catus)の骨粉であると判明。D-8134329は幼少期にいなくなった自身の飼い猫ではないかと主張。しかし、年代測定より骨粉は少なくとも██年以上前のものと分析されており、主張は信憑性に乏しいと考えられる。

実験記録343-32 - 日付20██/██/██

被験者: D-8134332(男性 38歳)

事前回答: 欲しいものは「ポルノ雑誌」と回答

SCP-343-JP-1-32: 一辺47mmの立方体形状に裁断された不明な肉塊、腐敗の兆候は見られず

分析: 検査からSCP-343-JP担当職員の1人である██研究員の心臓部分と判明。██研究員の身体検査を行ったが、異常は確認されず。D-8134332に対する聴取から、D-8134332は██研究員へと好意を抱いていたことが確認された。

これ以上の実験により得るものはないと判断され、20██/██/██をもってSCP-343-JPの実験は中止されました。

付録2: 以下の文章はSCP-343-JPを購入した児童が、販売者からSCP-343-JPとともに渡されたと主張したレポート用紙に記載されていたものです。

君たちが「今」使い過ぎれば、「未来」の子どもたちの分がなくなってしまう。
限りある地球の資源。よく考えよう、よく学ぼう。
未来の君の子どもたちのことを考えられる、賢い君になるために。

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