SCP-344-JP
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DATE: 2015/07/04
FROM: 呉 葵 <of.pcs|eruk.a#of.pcs|eruk.a>
TO: Yvette Niino <of.pcs|oniin.y#of.pcs|oniin.y>
SUBJECT: 実験計画344-JP-38の無期限停止について


ニイノくん

タイトルの通りです。倫理委員会、及びサイト-8105統括管理官らの監査の結果、実験計画344-JP-38は無期限に凍結となりました。差し当たっての情報で報告書の修正版を作成したので、添付ファイルから確認をよろしくお願いします。

気にかかっているのは、やはり計画立案から凍結までの段取りが性急に見えたこと、そして立案者の春牟博士のチーム辞任のことです。無論、春牟さんの件は、当面の研究計画と彼の研究分野との乖離が主な理由ではありますが、彼と研究チーム全体との意識の違いは、ニイノくんも懸念はしていたことだったはずです。

研究チームの他のメンバーにも説明したことなのですが、制作された経緯が不明なオブジェクトの研究において、一見突飛な実験が実施されるのはけして珍しくないことですし、実際それがオブジェクトの安定化に貢献した例もあります。それに、財団は常に我々の想像可能な域を超えたものを擁しています。我々が想像できるものより、バカバカしく、且つ、非人道な状況を人類に強いるオブジェクトを、幾つも抱えています。そしてそれゆえに、財団自身もしばしば非人道な存在となります。……我々の想像可能な域を超えて。その中にあって、SCP-344-JPの研究はかなり、マシで、笑えない方です。

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