SCP-3506
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アイテム番号: SCP-3506

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 自発的な建築物の出現が無いか、衛星画像が財団管理のウェブ統計Botのウプシロン-29(“ブルワー・リットン”)により日常的に監視されます。ウプシロン-29と種々の郵便サービスに配属された財団エージェントは、SCP-3506-Aからのものと疑われるあらゆる文書を破棄してください。

建築物がSCP-3506の出現物として確定した場合、 機動部隊ミュー-101(“家狩り”)が影響区画の周囲に境界線を設置し、民間人やSCP-3506-B対象による立ち入りを阻止します。

説明: SCP-3506は住宅建設物の自発的な出現を第一の特徴とする地球規模の異常現象です。これらの構造物の外見は、それらの出現箇所の文化背景の建築的規範により変化します。しかしながら、全ての実例は荒廃した裕福さの印象を与えます。

SCP-3506建築物の出現は典型的に30日周期で継続し、クリフォードイベント(後述)の終結ののちに終了します。副次指定のSCP-3506実体を除くあらゆる生きた人物がSCP-3506建築物への接近を試みた場合、その土地の地形はその人物がもと来た道へと戻るように異常変形をします。

SCP-3506-AはSCP-3506の出現に関連する人型実体です。SCP-3506-AはSCP-3506の出現箇所の文化によって異なる個性を示すと思われますが、常にクライアントの死後の事務についてこなすことを専門とする法律家であると主張しています。

クリフォードイベントに繋がる数週間、SCP-3506-Aは自身が現在所属している地域のさまざまな市民に接触し、遠縁で裕福な親族が彼らに多額の財産を遺していると伝えます。偽造文書がこれらの主張を補強するために、電子的あるいは物理的なメールを通してしばしば宛がわれます。SCP-3506-Aはクリフォードイベントに参加するよう12人の人物(以降SCP-3506-Bと呼称)を説得したのち、休眠状態に入ります。

クリフォードイベントの間、SCP-3506-B対象らは彼らの架空の親族の遺言を聞くためという建前の下でSCP-3506住居に集合します。その後、遺言執行者として振舞うSCP-3506-Aは、SCP-3506-B対象らが遺産相続を受けるために次の朝まで家屋の中に留まる必要があることを説明します。加えて、夜明けまでに退去したあらゆる人物は、その遺産相続分を残った参加者に均等に配分されます。

この時点で、異常な嵐が地所を囲むように発生し始めます。SCP-3506-B対象らは、日没前に退去した場合は成功裡にクリフォードイベントから抜け出られ、日暮れののち嵐は劇的に悪化し、周辺景観の地形は猛烈な洪水を引き起こすように異常変形します。日没後にクリフォードイベントからの退去を試み生存したSCP-3506-B対象は存在しません。

SCP-3506-Cはクリフォードイベントの間出現する追加の異常実体です。SCP-3506-C実例の真偽の疑われる個性は変化しますが、常にSCP-3506住居とその周辺地所のメンテナンスに関与する役割に置かれています。SCP-3506-Cは通常はSCP-3506-B対象らに対し協力的ですが、時々不安感を引き起こす目的と見られる独特の行動様式を発言/披露します。

SCP-3506-Dはクリフォードイベント中の午前12時と午前6時の間に出現する、マントを着た身長に一貫性のない人型実体です。この時間を通して、SCP-3506-Dはあらゆる手段でSCP-3506-B対象らを断続的に追い回し、切り付けたり殺害します。SCP-3506-Dはしばしば最初の犠牲者の遺体を写実的な活人画を作成するために使用しており、これは生存している対象らを怯えさせるためと思われます。SCP-3506-Dは発言しませんが、時々笑い声や口笛のような発声を行います。

現在まで、日没後のクリフォードイベントを生存したSCP-3506-B対象らは存在しておらず、そのためにSCP-3506-Aが言及している相続資産が実際に存在しているかどうかは判明していません。

補遺: 2018/02/19、財団の研究員がSCP-3506-B対象らに取り付けた盗聴機器を経由してクリフォードイベントの音声記録を成功裡に手に入れました。以下はそれらの記録の転写のうち、特記すべき会話の抜粋です。

前記: これは午前3時6分に行われた、SCP-3506-B(ロバート・ベントレー)とSCP-3506-C実例との会話である。この時点までにSCP-3506-Dにより5名の対象らが殺害されている。正確なイベントの前後関係は、現場を発見したSCP-3506-B対象らののちのコメントから推測して作成された。

[ログ開始]

ベントレー: おお、また会ったな。トライフルズ1、だったか?

SCP-3506-C: 旦那様、トリフルズ2です。

ベントレー: そうだった。料理人のトリフルズ。

SCP-3506-C: 私のキッチンで貴方様が何をしているのか、お聞かせ願えますか?

ベントレーは近くのナイフブロックから取り分け用の大型ナイフを取り出す。

ベントレー: 殺し屋がそこらに放たれてるんだ。自分の身は自分で守るべき、だろ?

SCP-3506-C: え、ええ、私もそう思います、旦那様。ですが言わせてください、ご主人様が相手ではナイフが役に立つとは到底思えません。お見受けするに、あのお方はもはやこの世のものではないようですから。

ベントレー: かもな。だが、今俺が気になってるのは奴じゃない。

ベントレーはSCP-3506-Cの脚へとナイフを突き刺し、それからテーブルをひっくり返してSCP-3506-Cを床に押さえ付けるために利用する。

SCP-3506-C: 旦那様!何故私を、旦那様?私は何もしていないではないですか!

ベントレー: 俺はそのことを大いに疑っててな。誰かが俺たちを、ここへと誘い込んだ。賭けたって良い、お前はそのことで何か知っているんだろう。

SCP-3506-C: お願いです旦那様!私は何も知りません!ただの料理人なんです!

ベントレー: なら、何故使用人は誰一人死んでないんだ?

SCP-3506-Cが啜り泣く。ベントレーは近くの肉切りナイフを取りSCP-3506-Cの指を2本切り落とす。SCP-3506-Cが叫び声をあげる。

ベントレー: 俺はマジでここらの人間じゃないんだ、トリフルズ。

SCP-3506-C: 助けて!誰か助けてください!殺されそうなんです!

ベントレー: そうだ、その調子だ。俺はみんなが幸せそうに別の殺人現場に来るって確信してんだ ─ そして俺はお前を殺してやるよ、トリフルズ、お前が今すぐにでも本当のことを話そうとしないのならな。

SCP-3506-C: (静かに) お願いです旦那様。お止めください。私はキャラクターを崩してはならないのです。

ベントレー: キャラを崩す?キャラを崩すだと?

SCP-3506-C: (泣きながら) 旦那様、お願いです。旦那様。

ベントレー: 俺に一体何が起こってんのか教えろ!!他の指も失くしたいってのか?

SCP-3506-C: お止めを!これは……これは没入型の劇場です、旦那様。どうか、お止めに──

ベントレー: 劇場だと?お前らが客をぶっ殺しちまうんなら、ショーをやって何の意味があるってんだ?

SCP-3506-C: (聞き取り不可。)

ベントレーがSCP-3506-Cの別の指を切り落とす。SCP-3506-Cが再び叫び声をあげる。

ベントレー: 質問に答えろ!

SCP-3506-C: 私は言いましたよ、あなたは観客じゃないって!

[ログ終了]

後記: この会話に続きSCP-3506-Dが具現化し、SCP-3506-Bの内臓を抜き取って殺害し、見たところ、関与したSCP-3506-Cへと窒息により死亡するまで腸を無理矢理摂食させた。これは、SCP-3506-DがSCP-3506-C実例に対し暴力行為を行った既知の唯一の事例である。

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