SCP-368-JP
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アイテム番号: SCP-368-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-368-JP-1は壁から切り出した状態でサイト-8173の低危険中型オブジェクト収容室に保管して下さい。SCP-368-JP-2~5はサイト-8173の低危険物収容ロッカーに保管して下さい。SCP-368-JP-2~5に関する実験を行う場合、SCP-368-JP-2~5に暴露した際、早急にSCP-368-JP-1を実験担当者が確認できる状態に保って下さい。

説明: SCP-368-JPは埼玉県██市にある芸術家████氏が入居していたアパート、█████の207号室の壁に刻まれた認識災害を引き起こす文字及び207号室内から回収された四つの作品(それぞれSCP-368-JP-1~5と分類)です。
SCP-368-JP個体はそれぞれ題名が付けられており、題名に対応した認識災害を示します。この認識災害に暴露した場合、どの様な手段を用いても取り除く事は不可能ですが、SCP-368-JP-1に暴露させる事で無力化できます。

SCP-368-JP個体 題名 形状 保有する異常性
SCP-368-JP-1 「後悔」 █████の207号室の壁に刃物で刻まれた"後悔"の二文字 被験者が受けたSCP-368-JP-2~6の影響の無力化。単体だと異常性は無し。
SCP-368-JP-2 「望郷」 灰色の砂漠の中央で黒い未知の爬虫類が空を見上げている絵画 被験者は"あそこに帰らなければならない"という衝動を植え付けられるが、何処に帰るのかと尋ねられると混乱して答えられない。
SCP-368-JP-3 「落涙」 大理石製の二本の腕が絡み合い、水滴型の水晶を持ち上げている形状の彫刻 被験者は総じて"深い悲しみ"を感じると答える。実験の結果、80%の被験者が涙を流した。
SCP-368-JP-4 「懐古」 破り取られた二枚のノートのページに綴られた楽譜 演奏を聴いた被験者は"昔聴いた事がある気がする"と主張し、被験者が忘れていた出来事を想起させる。
SCP-368-JP-5 「破顔」 顔面に油性インクでスマイリーフェイスが書き加えられた女性のマネキン。橙色の包帯を全身に巻き付けている 被験者は気分が高揚し、殆どの被験者が自然と笑顔になる。

SCP-368-JPは2009/6/1にアパートの大屋が家賃の回収に赴いた際にSCP-368-JP-3に暴露し、大声で泣き叫んでいるのを不審に思った住人の警察への通報から現地の調査に訪れたエージェントが回収し、その際SCP-368-JPの性質も明らかになりました。
SCP-368-JPの作成者と思われる████氏は地域では有名な芸術家であり、多岐に渡る作品の分野と人間性の強い感情を意識した作風が評価されています。人柄については知人や近隣住民から"優しくて正義感の強い人だった"と証言されています。████氏の過去の作品の調査の結果異常性は確認できませんでしたが、SCP-368-JPの前の作品が一年前の物であり、外出する事が少なくなっていた事等からスランプに陥っていたと思われます。また、207号室からの回収文書からその一年の間に要注意団体"Are We Cool Yet?"からの接触があったと推測されています。
財団による調査の結果、████氏は自宅から8km先の崖の下で死亡している事が確認されました。周辺状況から、自殺だと断定されています。

以下は207号室内で回収された文書です。この文書はSCP-368-JP-1の下にナイフで留められていました。

完成された芸術とは、どんな物なのだろうか。
現実の風景をそのままに切り抜いたかの様な絵画は完成された芸術だろうか。
社会に反抗し重圧を恐れずに姿無き敵を攻撃する文学は完成された芸術だろうか。

私は、そうは思わない。
私の考える完成された芸術とは、人々の感情を揺り動かす様な、言葉も思想も宗教も越えて感動を与える様な、一種の奇跡。そういった物が完成された芸術だと私は考える。

芸術は特定の分野に縛られる必要は無い。人が、自身の信じる形を想像の大地から掘り出したなら、それは音楽であれ、文章であれ、絵画であれ、芸術なのだろう。

 
 
私が作りたい"芸術"は、人を惑わす物ではない。私は、私が作品に込めた感情を感じ取って欲しいのだ。
こんな物は、私の望む芸術ではない。彼らの手段も、誰かに感情を伝える為の一つの方法なのだろう。

だが、私はそれを、たった一つの残された方法だとは思わない。
冴えたやり方とも思わない。

私は、彼らの力を美しいとは思わない。私は私の、芸術を信じる。
作品の本質を理解もされないまま、ただ感情を操作するのは感情の表現によって、人の心を動かしたとは言えないだろう。

私の今までの作品の中で最も恥ずべき物達。しかし、それでも私の子供であり、作品である事に変わりは無い。
私には自身の子供を殺す事はできない。

せめてもの償いに、彼らが残した力を借りて、私はこれを作った。私の、最後の、作品として。

"クール"でない私は、それこそ彼らの求める人材では無いだろう。私は、芸術を完成させられただろうか?私は、私だけの力で誰かの心を動かせただろうか?
私は

 
 
Are You Really Cool?

私はそうだとは思えない。

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