アイテム番号: SCP-377-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-377-JP-Aはサイト-81██のアクリル製の専用ケースに収容し、全46枚をすべて24時間態勢で監視してください。またSCP-377-JP-Bの発生するエリアはカバーストーリー「自然保護調査」を適用、周囲1×1kmを封鎖し、部外者が立ち入らないよう職員を配置して下さい。またこの地点の上空周囲半径3kmの空域はカバーストーリー「磁場の影響」を適用し航空機の進入を完全に禁止して下さい。また、SCP-377-JP-Bの発生中はエリア内に一切立ち入らないようにしてください。
追記: 201█/10/██、SCP-377-JPの特異性は喪失したとの判断が下され(追記2参照)、オブジェクトクラスがNeutralizedに変更されましたが、上記該当地域及び空域の立ち入り禁止措置は引き続き継続してください。
説明: SCP-377-JPは葛飾北斎の作成した浮世絵である富嶽三十六景全作46枚からなるSCP-377-JP-Aと、山梨県█████の青木ヶ原樹海内に位置する北緯██度、東経███度の地点に存在する、数寄屋造りの建築物を中心とした直径約50mの範囲に発生する異常な現象であるSCP-377-JP-Bによって構成されています。
SCP-377-JP-Aは、通常非活性状態にあり、非活性状態では一般に広く知られている富嶽三十六景と差異はありませんが、不定期に活性状態になります。活性状態では、SCP-377-JP-A全46枚に描かれている富士山の内、アトランダムに1枚が噴火している状態に描写が変化します。そしてそれと同時に、様々な種類の異常現象であるSCP-377-JP-Bが発生します。またSCP-377-JP-Aの非活性化と同時に、SCP-377-JP-Bも消失することが確認されていますが、活性化から非活性化までの時間も様々で、一貫性がありません。
更に活性状態のSCP-377-JP-AとSCP-377-JP-Bの同時観測調査により、活性状態となるSCP-377-JP-Aの種類と、SCP-377-JP-Bの現象の種類は連動していることが確認されています。またSCP-377-JP-B消失後の現地環境調査の結果、中心の建築物とその周辺地域半径約50m内に自生または生息している動植物は、SCP-377-JP-Bによる損壊や劣化といった影響を全く受けない事が判明しています。
SCP-377-JPは、収容違反を起こしたSCP-███-JPの回収任務中であったエージェント・████が、SCP-377-JP-Bに遭遇し、更なる調査の結果、樹海の中に建築物を発見、内部の畳の上にSCP-377-JP-Aが綺麗に陳列されているのを見つけ、これを回収したものです。また調査によりSCP-377-JP-Aは贋作などではなく江戸時代後期に作成された本物の浮世絵であることが確認されています。
補遺1: SCP-377-JP事案調査記録(一部抜粋)
※保存された変化後のSCP-377-JP-Aの画像を表示した場合に、SCP-377-JP-Bへ直接的な影響が出てしまう収容違反が発生したため、画像は変化前のものを掲載しています。また、完全な記録は「377-JP全調査記録」を参照してください。
日付199█/9/██
変化したSCP-377-JP-A: 駿州江尻
発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの4時間12分の間に、最大風速64.8mを記録しました。
日付199█/7/██
変化したSCP-377-JP-A: 礫川雪の旦
発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの22時間34分の間、気温が急激に低下し、最低気温摂氏-7.4度、9m17cmの積雪を記録しました。
収容違反記録: 後日、今回の活性化による変化後の状態のSCP-377-JP-Aを保存した画像を██研究員が自身のPCモニタ上に表示させた際、オリジナルのSCP-377-JP-Aに変化が現れていないにも関わらず、同様のSCP-377-JP-Bが発生したため、変化後のSCP-377-JP-Aの画像を保存することは禁止され、また今までに保存された映像データ、画像データは全て破棄されました。
日付199█/2/██
変化したSCP-377-JP-A: 凱風快晴
発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの14時間27分の間、気温が急激に上昇し、最高気温摂氏41.5度を観測しました。
日付199█/8/██
変化したSCP-377-JP-A: 山下白雨
発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの1時間8分の間に、114mmの雨量と76回の落雷を記録しました。この落雷による森林火災は一切確認されませんでした。
日付200█/10/██
変化したSCP-377-JP-A: 神奈川沖波裏
発生したSCP-377-JP-B: 活性化直後から突如地下水が地表に約10mの高さまで噴出、SCP-377-JP-Bの発生するエリア一帯が水浸しになり、非活性化までの3分間で、約900万リットルの地下水が地表に噴出しました。
調査報告: 今まで気象現象のみだったSCP-377-JP-Bが、今回初めて地下水の噴出という気象とは直接関係のない現象が発生したため、残りの浮世絵に描かれた富士山が噴火した場合どのような現象を引き起こすのかを慎重に監視していく必要があると考えられます。
日付200█/4/██
変化したSCP-377-JP-A: 甲州石班澤
発生したSCP-377-JP-B: 活性化直後から、エリア内上空に突如、鰍(学名:Cottus pollux)が出現し、非活性化までの26分間で、合計313匹の出現を記録しました。
調査報告: この浮世絵は、葛飾北斎が鰍(かじか)と石斑魚(いわな)を混同し、浮世絵には甲州石班澤と漢字で書かれていますが、読み方は「こうしゅうかじかざわ」となっている作品なので、この現象では漢字ではなく読み方のほうを優先したと推測されます。
日付200█/8/██
変化したSCP-377-JP-A: 遠江山中
発生したSCP-377-JP-B: 活性化後、エリア内に目視や気象データ上の異常が見られず、Dクラス職員20人によるエリア内への立ち入り調査を行ったところ、突如3人のそれぞれ左腕、右足、左足が未知の力により切断され、他のDクラス職員全員にも裂傷が現れたため、調査を中止、直ちに全員を退避させました。非活性化までの時間は2時間15分でした。
調査報告: 非活性化後の調査の結果、腕や足を切断されたDクラス職員の切断面、そして他の職員に現れた裂傷は、鋸により切られた際にできる傷と非常によく似たものであることが判明しました。更に、エリア内には切断された栂(学名:Tsuga sieboldii)が1本、建築物のそばに置かれているのが発見されました。この事案により、影響を受けないのはエリア内に自生または生息している生物のみであり、活性化後、エリア外からの侵入者に対しては影響を与えることが判明し、その後、SCP-377-JPが起きた際にエリア内に立ち入ることは一切禁止とされました。
補遺2: 数寄屋造りの建築物を更に調査したところ、使用されている木材から、江戸時代後期に建築されたものであることが判明しています。また家具などは一切無く、SCP-377-JP-Aの他には、「不風流処也風流 █████」と詳細不明の人物名が書かれた掛け軸のみが見つかっています。
追記1: 特殊事案記録 377-JP-1
日付200█/10/██
変化したSCP-377-JP-A: 諸人登山
変化の内容: この浮世絵は富士山頂付近を描いたものですが、今回は通常の変化と異なり、浮世絵全体が赤く発光しはじめ、またそれと同時にその他45枚全てのSCP-377-JP-Aも赤く発光をはじめ、変化消失後は46枚全てのSCP-377-JP-Aの浮世絵が描かれていた面が黒一色に変化しました。
発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの43分の間に、数寄屋造りの建築物を中心とした地点の地中からマグマが勢いよく噴出し、その後溶岩が最大で高さ6m、半径約50mに堆積し一帯を覆いつくしました。これにより今まで影響を受けなかった建築物や樹木は倒壊し完全に埋没してしまいました。その後の地質調査により、この一帯の地下にはマグマ溜まりは存在しないことが確認されたため、このマグマが元々地下のどこに存在していたのかは不明です。
調査報告: 溶岩が冷却固化した後の現地調査により、建築物が埋没している地点の上にチタン製の0.3×0.3×2mの四角柱の物体が立っているのが発見されました。物体には、「死亡通知 蒐集院研儀官 █████ 平成拾██年█月██日」と縦書きで刻印されていました。この名前は建築物内で発見された補遺2の掛け軸に書かれていた名前と同一のものであることが判明しました。
追記2: 201█/10/██
上記追記1の特殊事案以降、10年以上SCP-377-JPの発生が確認されていないことから、SCP-377-JPの特異性は喪失したとの判断が下され、オブジェクトクラスの分類がNeutralizedに変更されました。
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