[記録開始]
D-15 テッター: よし、お前たち。行くとしようか。
D-15 ノース: 暗くなってきましたね。
D-15 テッター: そうだな、司令部、確かに暗くなり始めている。木が多すぎて光が届かないという感じじゃない、ただ夜間であるかのようだ。時間を確認してもらえるか?
司令部: 了解した、テッター。現在は現地時間で1405。
D-15 テッター: だろうと思ったよ。この時間帯にしては余りに暗すぎる。
チームは更に2km進んだ後、SCP-3785の入口に到達する。
D-15 ジャックナイフ: お前ら、あれが聞こえるか?
D-15 ノース: ええ、不気味だ。ここは本当に静かです。聞こえるのは風の音ばかり、 (沈黙) それと、時たま鳥の声も。
D-15 ジャックナイフ: おまけに恐ろしいほど暗い。
司令部: 了解した、チーム。注意して進んでくれ。
チームは肩部装着型ライトを起動させ、空き地を北に向かって進む。
D-15 テッター: 司令部、状況を報告する。
司令部: 了解、テッター。
D-15 テッター: 我々は広い空き地の中にいる。電力線が張られている場所を見るに、こちら側には樹木しかない。それで… 我々の居場所よりも北方に何があるか探るのは難しい。空には星があるが、かなり光は弱く、えー… 馴染みのある星は一つも無い。とても微かな光が前方に見えている、あとは沢山の丘と幾つかの荒い未舗装路だ。今のところ特に異常な事は起きていない。 (沈黙) 車両で来ればよかったとは思うがね。ここを動き回るのは骨が折れそうだ。
司令部: 了解、テッター。安全を保てる限り遠くまで探索を続行し、これ以上は前進できないと感じたら帰還してくれ。
D-15 テッター: 了解した。
チームは探索を短期間継続する。
D-15 ノース: ここを見てください。足跡です。 (沈黙) 多分、数人分の異なるものです。僕らの探している迷子たちだと思いますか?
D-15 テッター: 何とも言えない。かなり新しいようには見える。 (沈黙) フン。あれを見てみろ。
D-15 ジャックナイフ: 何だ?
D-15 テッター: あの看板だ。
D-15 ノース: 司令部、ここに看板があります。文言は… “ジャスパーヶ丘”、それと… 北を指す矢印が描いてありますね。
司令部: 了解した、ノース。諸君のいる場所に、他に不自然な物は?
D-15 ノース: いいえ。見通しはとても良好です。
司令部: 了解。続行してくれ。
チームは北に進み続け、他幾つかの似たような看板や、丘の上に残された小規模なキャンプ地らしき空間と焚火の跡などを通り過ぎていく。ひときわ高い丘の頂上で、チームは立ち止まる。
D-15 テッター: お前たち、そこから見えるか?
D-15 ノース: 何処です。
D-15 ジャックナイフ: ああ、向こうの方だな。ありゃ車か?
D-15 テッター: 見た目はそんな感じだろう? それほど早く動いてはいない。 (沈黙) 司令部、ここの地形はかなり異常になってきている。我々が頂上にいる丘は本来あるべき状態よりも高いし、ここを過ぎてからは急激に下落している。この先には、クソッ、あー… 他の異常に高い丘が半ダースぐらい見えるな? そしてその向こう、多分3、4クリック先にヘッドライトがある。対象はどうやら… ただ道なりに鈍行している。
D-15 ノース: ねぇ、止まりましたよ。
D-15 テッター: なので引き返し始めた方が良さそうだと思っている、ここから離れる脇道があるか調べ—
D-15 ジャックナイフ: シーッ、ちょっと待て。見ろ。
D-15 ノース: えー、司令部、例のヘッドライトは今しがた僕らに向けられました。対象が方向転換しています。 (沈黙) 僕らに向かって来ています。
司令部: 了解した。問題の車両はどの程度離れている?
D-15 テッター: 判断は困難だ。現在地より先の地形は相当奇妙になっている。結構離れてはいると思う。あれは— (沈黙) 鳥の鳴き声が止んだ。今は別な音が聞こえている。
司令部: 何だ?
D-15 テッター: 人が… ネコの鳴きまねをしているように聞こえる。えー、つまり、“ミャーオ、ミャーオ”というアレだ。それを何回も何回も繰り返している。何処が音源かは分からない。
司令部: 了解した、テッター。躊躇せず帰還してくれ、次回探索を試みる際には車両を使えるように手配しよう。
D-15 テッター: 分かった。
D-15 ジャックナイフ: ありがてぇ。足が痛くて死にそうだぜ。
チームはアクセスポイントに向かって引き返し始める。
D-15 ノース: テッター、こちらへ。この木の横に何かあります。
D-15 テッター: うん?
D-15 ノース: 携帯電話です。
D-15 テッター: ほう。よし、回収しろ。研究室で処理させよう。 (沈黙) 誰か、先ほどから例のヘッドライトを見た奴はいるか?
D-15 ジャックナイフ: あの尾根を戻ってからは見てない。 (沈黙) 例の変なネコの鳴きまねも聞こえないな。
D-15 ノース: ようやくですよ。
D-15 テッター: 気を引き締めろ。他の音が聞こえるぞ。お前たちは聞こえたか? あれは何だ?
D-15 ジャックナイフ: 正直言ってよく分からん。かなり奇妙だ、上手くここから逃げ出せるかどうか。 (沈黙) ああ、奇妙だ。かなり俺たちに近いのに殆ど聞き取れない。くぐもってるのか? まるで相当な—
D-15 ノース: (沈黙) ああ、なんてこった。上を見て。
D-15 ジャックナイフ: こいつは酷ぇ。
D-15 テッター: 何— クソッ、ヘッドライトだ。走れ! ライトを消して走るんだ!
司令部: テッター? テッター、何があった?
D-15 テッター: あの音 (荒い息づかい) 電力線 (荒い息づかい) 電力線の上からだ (荒い息づかい) 我々の探してた子供たちが (沈黙) 上空に向かって逆さに首を吊られていた。 (荒い息づかい) 奴は真後ろにいる。
司令部: 了解、救出班はアクセスポイントで準備を終えている。
司令部: テッター? 聞こえているか?
D-15 ジャックナイフ: (エンジン音、続けて叫び声、そして静寂)
D-15 テッター: 畜生!
司令部: D-15チーム? 聞こえるか?
静寂。
司令部: 聞こえるか?
短期間の静寂が続き、司令部はD-15チームとの意思疎通を再確立しようと試みる。
D-15 テッター: 頑張れ。もう少しだからな。
司令部: D-15、聞こえるか?
D-15 ノース: 司令部?
司令部: 聞こえている。何が起こった?
D-15 ノース: 奴はジャックナイフに追突して森の中に走り去りました。奴が近くまで来た時に声を聞きました、僕らに話しかけていたようですが、奴の方からこちらの姿が見えていたとは思いません。奴は今はもう尾根を越えて向こうに行ってしまい、(沈黙) 姿は見えません。ジャック? ジャック!
司令部: 繰り返す、ジャックナイフはMIAか?
D-15 テッター: その通りだ。司令部、我々は失踪者たちを発見できたと思うが (沈黙) 彼らが回収可能だとは思えない。ジャックを助け出さなければ。それまではここに留ま—
司令部: 否だ、テッター。救出ポイントへ向かいたまえ、諸君をそこから脱出させる。ジャックナイフの回収には別のチームを派遣しよう。
D-15チームの残存隊員はアクセスポイントで成功裏に回収された。軽微な引っ掻き傷や痣とストレスの兆候を別とすれば、残存隊員の健康状態は良好である。D-15チームによって回収された携帯電話は失踪者の一人の所持品と特定されている。機器から回収された情報は以下で閲覧可能。
[記録終了]