SCP-3963
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この文書は現在、事件記録-SCP-3963-1(添付)を経て改訂されています。

アイテム番号: SCP-3963

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: このオブジェクトは、サイト-51サイト-120 内の収容ロッカーに保管され、実験以外では機械のみを使用して取り扱います。Dクラス職員のみがSCP-3963を直接取り扱います。

説明: SCP-3963は、現在同定されていない植物繊維から作られた2重に撚られたロープと半透明のエメラルドグリーンの玉虫色の螺旋片で構成されたペンダントであり、装飾品だと考えられています。SCP-3963と接触した人間は、防護服や装備を身に着けていたとしても瞬時に消失します。

消失した人間はSCP-3963-Aに出現しますが、彼らはまだSCP-3963の周辺にいると認識できます。SCP-3963接触の直後を除いて、接触以降の通信は成功していません。

SCP-3963-Aは超常的なものと推定される、有機物で構成された空間です。被験者は様々な環境を報告しており、地域の地図を作成することは困難と考えられます。被験者は概してSCP-3963-Aに出現した際、ランダムな体の部分に鋭い痛みを訴えます。

このオブジェクトは、メキシコのユカタン半島にあるクルカン寺院の30メートル南から、民間の考古学者によって発見されました。発掘隊のメンバー2人は、新たに発見された空間を探索中に行方不明となり、残りのメンバーは行方不明者が出たことを地元当局へ通報しました。それを受けエージェント・ウェントとエージェント・カスティーヨが調査のために派遣されました。エージェント・カスティーヨがSCP-3963と接触し、オブジェクトの異常性が発見されました。オブジェクトは爆薬処分が予定されているロボットを用いて回収されました。生き残った調査隊のメンバーはオブジェクトについて公言しないことを定めた契約に署名し、調査隊の一員であったディアス教授は本人の希望によりレベル1クリアランスの財団職員に就任しました。その後オブジェクトが発見された洞穴についての情報を含め、本事件について適切なカバーストーリーが流布されました。

エージェント・カスティーヨは、SCP-3963-Aについて悪臭と湿気のある場所だったと証言しました。また、彼は呼吸困難も訴えていました。エージェントは本部から捜索を待つように指示を受けてから、不明な物体に拘束されており、身動きが取れないと返答しました。初期の実験ではSCP-3963の性質を解明し、エージェント・カスティーヨと失われた民間人を帰還させる可能性を判断するために行われました。
実験記録:

実験ログ1:

対象: D-963-Z

概要: 被験者のハーネスに3mのケーブルで接続された、すべての録音録画機器およびGPS装置は被験者の消失時に信号をロストしました。被験者はSCP-3963-A内では腹痛を訴えました。被験者は大規模な 「肉厚の卵形の部屋」に現れたと報告しました。装備品のフラッシュライトでは天井まで光は届きませんでした。部屋の壁は触ると柔らかいと説明されました。被験者は、部屋が周期的に拡張・収縮するために歩いて移動することが困難だと発現しました。また、被験者は単独では出口を見つけることができないと主張しました。

D-963-Zは、脱出手段を見つけるために部屋の壁を登るように指示されました。被験者が登り始めて30分後、被験者は叫び声を叫び始め、壁から手が離れたことをチームに伝えました。被験者からの通信は12秒間絶叫してから途絶しました。この時点以降、通信からは時折くぐもった声が聞こえました。

注記: D-963-ZによるSCP-3963の報告ではエージェント・カスティーヨとの対話は確認されませんでした。

実験ログ2:

対象: D-963-Y

概要: 被験者は出現以降、数分間吐き気や嘔吐を訴えました。被験者はわずかに身動きが取れる、濡れた柱の中にいると証言しました。彼女は懐中電灯に手に取ることに失敗した後、周辺に悪臭が漂っていると描写しました。実験は努力の甲斐無く、被験者が数分間もがき続けた後に終了しました。

注記: 前の実験と同じく、前の被験者の声は、現在の被験者が消えた際に消失しました。概要を改訂します。

実験ログ3:

対象: D-963-X

概要: 記載すべき事項なし。被験者は何かを話そうとしていましたが支離滅裂な発言をした後発声を停止しました。

実験ログ4:

対象: D-963-W

説明: 被験者はSCP-3963-Aに入ると叫びながら繰り返し救助を求めました。被験者は完全に身動きが取れない小さな空洞に横たわっていると証言しました。被験者は呼吸困難を訴えた後2分後には発声を停止し、おそらく窒息により終了しました。

実験ログ5:

対象: D-963-V

概要: 記載すべき事項無し。

注記: 予算上の懸念やDクラス職員の浪費という観点から、実験は終了しました。


事件記録:
SCP-3963の輸送中に荷掛け紐が破断し、オブジェクトが地面に落下しました。衝撃によって砕けた後、瞬時に、中年の男性が現れました。彼は高価に見えるパティと、マヤの貴族の典型的な羽毛の飾りを身に着けていました。その男は混乱しているように見え、およそ30秒間、周囲を見ながら狼狽えました。その後、彼は叫びながら自身の衣服を裂き破りました。

彼の胸から大きな膨らみが生じ始めたのを見て、アシュワース博士は介抱を申し出ました。次の瞬間、膨らみは急激に膨張し、破裂しました。爆発は中年男性の上半身を破壊して死に至らしめ、アシュワース博士を地面に叩きつけました。

傷口から胆汁と血液に全身を覆われた若い女性が排出されました。彼女は、スペイン語で繰り返し感謝を述べながらアシュワース博士の助けを借りて立ち上がりました。アシュワース博士が医療従事者と連絡を取ると、女性はうずくまりました。直後、彼女の胃が急激に破裂しました。その結果、爆発によって彼女は死亡し、内臓をアシュワース博士に吹き付けながらアシュワース博士を地面に倒しました。この爆発により、身体全体に腐食性の火傷を呈した身元不明の男性の死体が生み出されました。

死体が地面に横たわると、その背中が腫れて爆発し、揺れ動くような動きをするエージェント・カスティーヨが生まれました。彼の下半身は糞便で固まっていたと指摘されました。エージェント・カスティーヨはアシュワース博士を視認し、彼に援助を求めました。エージェント・カスティーヨは、エージェントから離れようとしているアシュワース博士に向かって、四つん這いで這って掴みかかりました。エージェントは、呼吸困難になりはじめ胸を掴み、その直後D-963-Zが生まれました。

D-963-Zは倒れたアシュワース博士の上に落下しました。D-963-Zの腹部が二人の間で爆発し、D-963-Yを生成しました。D-963-Yがアシュワース博士の顔を不意に蹴り飛ばすまでアシュワース博士は身動きが取れませんでした。アシュワース博士は立って、Dクラス職員たちから距離を取りました。Dクラス職員はSCP-3963のテストのために職員が自分たちを消費したことについて猥雑な言葉で罵っていました。Dクラス職員は装備品だった懐中電灯を武器として崇めながらアシュワース博士を脅しました。D-963-Xの死体は突然、彼女の性器のあたりから爆発し、彼女は死亡しました。

D-963-Xの頭部は急速に腫脹し、D-963-Wの死体を生成しました。

その時点でセキュリティと医療関係者が到着しました。D-963-WはSCP-3963に曝露された最後の被験者であり、スタッフ達はD-963-Wの死体から距離を取った後に、危険が沈静化したことを無線を通してアデレード長官に報告しました。清掃作業が始まると、D-963-Wの死体は前任者と同様の変化を起こしました。被験者の体が爆発し、人間型の生物を生成しました。およそ身長5mであり、漆黒色のケラチン質が全身を構成していました。また、爪、大きく湾曲した1対の角、そして網状の翼を備えていました。

この生物は出現時した直後スタッフに対し吠え、襲いかかりました。まず、部屋に居たアシュワース博士を襲撃し、彼の肋骨を2本折りました。その後SCP-3963の破片のそばにひざまずいて、破片をかき集めながらパニックに陥りました。12秒後にSCP-3963をつなぎ合わせると、実体は大声で持続的に叫び声を発した後自発的に燃焼し、床に灰を撒き散らしました。

燃焼する実体がアシュワース博士に接近した事により、アシュワース博士は眉毛を失いました。
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