SCP-406-JP
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SCPSにゅうどう(右)、ROVの投入作業中
アイテム番号: SCP-406-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-406-JPを中心とした半径30km圏内は特定海域406-JPに指定されており、未確認の暗礁と海賊の出現という二つのカバーストーリーに基づいて封鎖されています。海域の境界線付近を航行する全船舶の動向は、海底に敷設された音響哨戒網と機動部隊ろ-11"幻船団"の巡視によって漏れなく監視されなくてはなりません。海域内の機雷原から機雷の流出が確認された場合は、プロトコル・ダイオラマに基づき迅速に処理を行ってください。

特定海域406-JP内への進入を許された船舶は現在SCPSにゅうどうのみであり、なおかつ調査目的に限り・霧天時を除き・海域の半径20km圏外までと規定されています。調査中にSCP-406-JP-甲/乙/丁が出現した場合、巡視中の財団船舶は対象の射程外より攻撃を加え無力化を試みてください。特定海域406-JP内に突入し、にゅうどうの海域離脱を援護してください。

海域内で発見された漂流物(機雷を除く)は全て回収し、危険物を除去したのちI5サイト-8131へ輸送してください。

説明: SCP-406-JPは、東経136度██分██秒、北緯16度██分██秒の位置に存在する島嶼です。その上空(高度約200m以下)および水中を含む全域が、常に蜃気楼または陽炎に似た光線屈折現象を伴う空間異常に覆われているため、海上からの目視、航空撮影、サーモグラフィなどの光学的手段では島の正確な面積や地形を把握することはできません。接近調査に投入された無人機や人員はいずれも異常領域内への進入と同時に通信が途絶し、尽く未帰還という結果に終わりました。またSCP-406-JPは所属不明の艦船群(詳細は後述)と機雷原によって周囲を封鎖されており、過去に行われた島内探査の試みはことごとく妨害を受け失敗、ないしは中断を余儀なくされています。

SCP-406-JPに関連する艦船:
SCP-406-JP-甲: 鵜来型海防艦に酷似した外観の武装艦艇です。艤装・兵装の配置も概ね鵜来型のそれに準じますが、銃砲類はすべて閉鎖式砲塔に納められているうえ、その性能(発射速度、貫徹力等)は大きく向上しています。船体も非常に堅牢であり、その無力化ないし撃沈には未だ成功していません。
特定海域406-JPの15km圏内にある程度のサイズを持つ人工物1が進入すると、直後当船舶がSCP-406-JPの沿岸に出現しその迎撃を行います。出現数は状況によって変動し、これまでに確認された最多の出現数は8隻です。

SCP-406-JP-乙: 旧日本海軍が保有していた11m内火艇と同一の上部構造を持つ短艇ですが、推進器は形式不明のウォータージェットに換装されており、船体には折畳式の全没型水中翼を備えています。これにより海上を超高速2で航行することが可能です。平時は2~3隻がランダムな航路で海域25km圏内を航行しており、巡視を行っているものと推測されます。
当船舶は通常、SCP-406-甲/丙/丁以外の船舶を確認する3と即座にSCP-406-JPの方向へ逃走しますが、高速艇による追跡を試みたところ、数分後にSCP-406-JP-乙は突如転針して艇に衝突、高速艇のみが完全に破壊される結果となりました。当船舶は海域内への船舶の進入とそのSCP-406-JPへの接近に応じて際限なく出現数が増加するため、特に警戒が必要です。

SCP-406-JP-丙: ひどく汚れ損傷した船名不詳の2A型戦時標準船です。およそ半年ごとにSCP-406-JPの沿岸に出現、最短ルートを2~11ノットの速度で航行して海域からの離脱を図りますが、その試みは常に、当船舶が海域20km圏内を超えた直後、SCP-406-JP-甲/乙/丁の攻撃によって撃沈されることで終了します。しかし次回の出現時には問題なく航行可能な程度に修復されており、撃沈以前と同等の性能を発揮します。無人航空機および無人潜航艇を用いてその"越境"から沈没までの経過を連続調査した結果、当船舶はマストの先端まで完全に海面下に没した直後、幾つかの小さな破片を残して瞬時に消失していることが判明しました。
フロッグマンが当船舶への乗船(board)と捜索(search)を行ったところ船内は無人であり、艦橋には操舵輪のあるべき位置にレンズ式プラネタリウム投影機の恒星球に類似した直径1.7mの機械装置が設置されており、その基部には「エス号受信器 乙」と打刻された金属製銘板が取り付けられていました。文書406-JP-32の記述から、当船舶は[編集済]との関連が推測されます。

SCP-406-JP-丁: 全長約20mの小型潜水艦です。船体の形状は海龍級特殊潜航艇に類似していますが艦橋は大きく異なり、かつ類似したサイズの現行潜水艇と比較して極めて高い運動性と隠密性を備えています。推定12隻が特定海域406-JPの20km圏内に常駐しており、その内側に侵入した水上・水中標的を魚雷(有線誘導式と推定)で攻撃するほか、SCP-406-JPを破線円状に取り囲む機雷原の敷設も担当しています。当船舶は夜間不定期に海域内のランダムな座標に集団浮上して数分ほど会合を行いますが、発光信号や無線通信、乗組員の活動といったものは確認されておらず目的は不明です。


補遺1: 事例406-JP-26要約
19██年12月10日、衛星写真の解析により、SCP-406-JP-丙が特定海域406-JPの18km圏付近を数日間漂流している事が確認されました。直ちに巡視中のSCPSくろびから搭載機によって調査隊が派遣されましたが、降下から15分後に当船舶が沈没し始めたため調査は中断されました。以下のリストは調査中に発見されたものとその概要です。
  • 白ペンキで「Qui veut peut」と書かれた木板。縦110cm×横36cm×厚さ1.4cm。:前部甲板上で発見。回収後の調査では超常的な特性は確認されませんでした。
  • 長形3号の茶封筒、便箋入り:艦橋内で発見。超常的特性なし。便箋の内容は以下を参照してください。

(注意: 原文は和文タイプかつ縦書きです)

拝呈
過般一寸談論致シ候節、妙義君ヨリ、別封一通御委託ヲ受ケテ参リ候故、拙者自身持参御届申シ上グベキ心底ノトコロ、無辜流刑ノ身の爲メ、時日相延ビ候ニ付、不本意ナガラ擬船フウ・ナビイアニテ呈上仕リ候。御言傅等ハ、後日参港ノ上、緩々申シ上グベク候。

拝具


皇紀二六████年十二月六日

██████4

  • ジッパー付ポリ袋、ジッポ型オイルライターと防水手帳入り: 貨物倉内で発見。超常的特性なし。調査隊員は「これを拾った途端に船底が割れて浸水が始まった」と証言しました。手帳の内容は文書406-JP-32を参照してください。

補遺2: 文書406-JP-32"エージェントの手記"

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