SCP-411-JP
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儀礼に臨むSCP-411-JP

アイテム番号: SCP-411-JP

オブジェクトクラス: Daath

特別収容プロトコル: SCP-411-JPはサイト-8181の低セキュリティ区画を自由に歩き回る事が許可されています。三ヶ月毎に、SCP-411-JPが儀礼に用いる物品・設備の提供を行ってください。SCP-411-JPがサイト外への移動を試みた際は、罰則として非致傷性の手段によって鎮圧・拘束してください。SCP-411-JPとの物理的接触を希望する場合、レベル4以上のスタッフ3名による承認が必要となります。

説明: SCP-411-JPは40代の男性のように見える、身長1.91m、体重79.6kgの人型生物です。肌の色は暗褐色で、白色と赤褐色の紋様に覆われていますが、これは先天的な物である事が検査により判明しています。SCP-411-JPの知能は平均的な成人と同水準ですが、未知の手段によって対話者の使用言語1を流暢に話す事が可能です。SCP-411-JPは"楽行"と称し、負傷および高負荷の伴う儀礼2を長時間行いますが、儀礼の実行に支障をきたす負傷・疾患は現在まで確認されていません。SCP-411-JPの特異性は、ヒトとの皮膚接触を介して発露します。

SCP-411-JPの皮下組織は僅かな圧力に対し即座に反応し、極小の針状組織を形成すると同時に表皮へと露出させます。針状組織は接触対象へと容易に食い込み、未発見のリゼルグ酸誘導体3を放出します。この成分は対象のポリモーダル受容器を極限まで活性化させ、想定しうる最高強度の疼痛を発生させます。SCP-411-JPはこれらの事実を明示する事で対象を誘惑し、再三にわたり皮膚接触を促します。

SCP-411-JPは2004/09/13に与那国島で"再発見"され、サイト-8181に移送されました。2004/01/30付の財団アーカイブに以前の収容サイトへの言及が見られますが、広範にわたりデータが破損しており、当時の状況を把握する事は非常に困難となっています。参考までに、当時の報告書の復元データを記載します。

アイテム番号: SCP-411-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収[データ破損]Pは昏睡状態におかれ、I5サイト-81██の気密収容ユニットに収容されています。ユニットの保全に携わる職員はレベルAのHAZ[データ破損]な除染を受ける必要があります。如何なる場合であれ、SCP-41[データ破損]。SCP-411-JPは栄養補給を必要と[データ破損]限に凍結されています。

説明: SCP-411-JPは既知の如何なる人種とも起源[データ破損]滑な対話を可能にしています。SCP-411-JPの特異性は、ヒトによる皮膚接触がなされた際に発露します。

SCP-411-J[データ破損]対象の皮下に未知の組成を有するリゼ[データ破損]象の痛覚は鋭敏化し、極度の[データ破損]らの効果について自ら述べ、対象に皮膚接触を勧告します。当然ながらこの試みは失敗に終[データ破損]る意図は不明です。

追記(1999/07/04): SCP-411-JPが分泌する発痛増強物質(以下、SCP-411-JP-aと呼称)は、苦痛の増大に伴って生産[データ破損]学異性体は高い揮発性を示しており、標準気圧下に[データ破損]量で大脳旧皮質に深刻な変異をもたらします(付属文書411-JP-Bを参照)。この性質が判明[データ破損]名が終了され、特別収容プロトコルが改訂されました。

追記(2004/01/30): SCP-[データ破損]違反が発生、直ちにサイト全域が封鎖され海水の注入[データ破損]予測される拡[データ破損]

この記録のみならず、当時存在したあらゆる記録からは、生物が"死"や"苦痛"といった本来尊ばれる要素を忌避する傾向にあり、それらをもたらす超自然的オブジェクトを脅威と見なしていた事が窺えます。この異常な認識が有史以来、あるいは先史時代から共有されてきた背景には、特大規模のCK-クラス再構築イベントを引き起こす実体の関与が疑われています。2004/01/30以降、正常な価値観はI5サイト群を中心に徐々に再獲得されていったと判明しています。その地理的座標と当時の記録から鑑みるに、この再獲得にはSCP-411-JPが大いに寄与していると結論付けられています。価値観の正常化は2004/09/27に完了しましたが、O5評議会4の決定により外部の価値観は再度異常な状態におかれる事となりました。

補遺: 2014/10/13、滝行の最中であったSCP-411-JPが突如として不明な言語で叫び始め、敷地外への脱出を試みました5。SCP-411-JPは間もなく取り押さえられ、インタビューが実施されました。

インタビューログ 411-JP-3

対象: SCP-411-JP

インタビュアー: D5-10

<記録開始>

D5-10: それではインタビューを開始します。SCP-411-JP、貴方があのように取り乱した理由をお聞かせ願えますか?

SCP-411-JP: ……どうなっている。私はいつまで、いや……そもそも何故ここに収容されている?

D5-10: 貴方が苦痛を振り撒くアノマリーだからです。他に理由がありますか?

SCP-411-JP: そうだ、苦痛を振り撒く。それは善行ではなかったのか?

D5-10: 勿論、善行ですよ。尊敬に値します。貴方のお陰で我々は正しい道を歩めるようになりました。故に貴方には特例として神の真意……"Daath"のオブジェクトクラスが割り当てられているのです。

SCP-411-JP: ならば閉じ込めておく理由が無いだろう!?……全く話が見えてこない。

(D5-10が肩をすくめる。)

D5-10: 宜しいですか?SCP-411-JP。惨たらしい"死"は……"苦痛"は……尊い者にこそ与えられるべきなのです。決して、配り歩いて良い代物などではありません。

SCP-411-JP: [不明瞭な呟き]

D5-10: かつての我々は……愚かにも、あるべき姿とは真逆の存在でした。アノマリーと接する者の地位は低く……一切の接触を避ける不心得者が組織を管理していました。

SCP-411-JP: 嘆かわしい限りだ。

D5-10: 同感です。神の恵みが賤民の一存で運用されるなどと……全く以て嘆かわしい話です。そこで我々は、貴方のようなアノマリーを独占し……楽園を築き上げる事にしたのです。

SCP-411-JP: [沈黙]

D5-10: T-710ミーム媒介の開発には14ヶ月もの時間を要しました。そして外界は、死と痛みを怖れる愚かな民で満たされました。死を施す者は死を以て罰せられる……死が罰則とは、何とも狂った世界です。それでも尚、他者に死と痛みを施す者が現れました。外界で"死刑囚"と称されていた人々は、この楽園に招かれ"神祇官"の称号を授かりました。

SCP-411-JP: ……お前もその神祇官か。

D5-10: ええ、私は最高神祇官の一人です。我々の責務は、アノマリーを不浄なる賤民から守り、この苦痛の楽園に永劫の繁栄をもたらす事です。至上の死を確保し、極上の地獄を収容し、無上の悪夢を保護する……その為に財団は存在しています。方針は違えど、確保、収容、保護の理念は昔も今も変わりありません。

SCP-411-JP: 繁栄する必要がどこにある?矛盾しているだろう。そうだ、お前達は今や死も苦痛も恐れている。ミーム媒介とやらで恐怖を取り戻した……違うか!?三文芝居はもうやめろ。何時からだ?……最初からなのか?

(D5-10が椅子から立ち上がり、SCP-411-JPの腕を掴む。直後、D5-10は激しく痙攣を始める。)

D5-10: 我等賜りし全ての辛苦に万代不易の祝福を。潔めるは毒、潤すは炎、飢えを満たすは刃なり。我等賜りし全ての辛苦に万代不易の祝福を。蝕むは骨、焦がすは血肉、刻むは五臓六腑なり。

(祈祷は90分間続けられた。)

D5-10: ……失礼、つい脱線を……さて、貴方をここから出せない理由は先程述べた通りです。他に何かありましたらどうぞ。

SCP-411-JP: ……今すぐ死んでみせろ。死んでしまえ、狂人共め。

D5-10: ……それは出来ません。第一、人類が真っ先に死へと飛び付く存在であったならば、T-710ミーム媒介を開発している間に死に絶えていたはずでしょう。

SCP-411-JP: では何故だ?何故お前達は……文字通り、尊い犠牲になろうとしない?

D5-10: 分かりませんか?ほら、よく言うでしょう……

(D5-10が満面の笑みを浮かべる。)

D5-10: 楽しみは最後まで取っておく物ですよ。

<記録終了>

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