SCP-4160
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アイテム番号: SCP-4160

オブジェクトクラス: Keter Neutralized

特別収容プロトコル: 2025年11月16日現在、SCP-4160はインシデント4160-23により無力化されたと判断されました。これ以上の収容の取り組みは現時点で必要ないと考えられます。保管された収容プロトコルは以下の通りです。

説明: SCP-4160は毎年11月15日に行われる歴史の授業の中からどこかで1つだけ発生するイベントです。イベント中、生徒は講師が紹介した論点に激しく怒り、必ず次第に口論が激化するようになり、授業の完遂を阻止しようと生徒側の肉体的暴力が発生します。SCP-4160イベントを引き起こす論点は、歴史的影響力が考えられるため講師によく特別に取り上げられる些細な歴史の雑学から、重大な歴史上の出来事まで多岐に渡ります。放置した場合、暴言や暴行を受けているにも関わらず講師が授業をやり遂げようとするため、この暴力行為は最終的に生徒か講師が他者の手によって死亡することで終了します。現在に至るまで、授業の完遂に至ったイベントは確認されていません。

これらのイベントの後、影響を受けて生き残った生徒はSCP-4160イベントを引き起こした論点を他人に危害を加える程ではないものの否定し続けます。この行動は翌年の11月15日まで続きます。きっかけとなったイベントの記憶が記憶処理で取り除かれた場合、この行動は終わります。

さらに、SCP-4160の影響を受けて生き残った生徒と講師はSCP-4160イベントが終了2した際に、2人の女性が口論をする声が一時的に聞こえたと満場一致で報告されています。古代ギリシア語の知識を持つ影響を受けた関係者は、財団の言語学者の支援により、古アテナイ方言を話していたと特定しました。これらのやり取りの翻訳は以下の通りです。

「私はあなたの芸術に手を出していない!どうして私の芸術には手を出すの?」
「これが私の芸術なの、お姉さま」

「私があなたを記録から消すことができるのはわかっているでしょ?」
「それはぜひ見てみたいわ」

「毎回毎回!このことは父に報告させてもらう!」
「あら、やってみなさい。父が何してくれるっていうの?彼はヤる相手や物を探すのにすごく忙しいじゃない。」

「タレイア3、助けて!」
「彼女に助けを求めるとはあまりにも喜劇的な展開だわ。打つ手なしってわけね、あなた。」

「失せて、メル!」
「まあなんとも悲劇的じゃない?」
「もうやめて!」

SCP-4160イベントがどれほどの期間発生しているのかは不明です。定期的な発生の歴史的証拠は17世紀までさかのぼり、散発的な記録は少なくとも紀元前800年までさかのぼる可能性があります。今のところ、SCP-4160イベントが発生する前にどこで発生するかを予測する確実な手段はありません。

1990年の時点で、財団の取り組みはSCP-4160イベントの約90%を検出し、阻止することに成功しています。財団の管理下にある環境でSCP-4160イベントを発生させる試みは現在も継続中です。

補遺 4160-A: 発見

SCP-4160が財団工作員に初めて明らかになったのは、1970年11月15日、公共テレビの子供向け番組「Mister Rogers' Neighborhood」の第4シーズンの制作中でした。その回の中で、電気技師が司会者のフレッド・ロジャースに白熱電球の歴史を教え、その中でトーマス・エジソンが設計に使用したフィラメントの選択の重要性を強調しました。すると司会者はゲストに激しく怒り、数分間の議論の後に、暴力的になり椅子でゲストに危害を加えようとしました。

財団工作員による調査でSCP-4160の歴史的傾向が明らかになり、事件はすぐにSCPに分類されました。機動部隊ガンマ-5による行動は、一般の人々に大きく暴露をすることなく、事件を隠蔽することができました。

補遺 4160-B: 簡易イベントリスト

以下は特筆すべきSCP-4160イベントの簡易リストです。SCP-4160イベントの可能性がある観測された完全なリストは文書 4160-Bで見られます。

日付: 紀元前410年から420年まで
場所: ギリシャ、アテネ
説明: ペロポネソス戦争に関する4つの講義が生徒の反乱を受けて早々に終了したことを示すトゥキディデスの回想録。いずれのケースにおいても、生徒の仲間が加害者を鎮圧することができ、3つのケースでは殺害されています。トゥキディデスはこれらの出来事のいずれにおいても、議論の引き金となったのが何であったかについては述べていません。オリジナルの回想録は財団によって保管され、公文書には変更が加えられました。

日付: 西暦1068年
場所: ドイツ、ゴスラー
説明: 神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世を教育中のケルン大司教アンノ2世の回想録。アンノの報告によると、皇帝の教育中にシャルルマーニュの宮廷内での「パラディン」という言葉の由来をめぐって、彼と家庭教師の一人との間で激しい論争が起こりました。ハインリヒ4世は怒りにかられて、その家庭教師を窓に放り投げましたが、家庭教師は外傷で倒れる前に着地した場所で授業を続けようとしたと伝えられています。オリジナルの回想録は財団によって保管され、公文書には変更が加えられました。

日付: 西暦1790年
場所: アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ボストン
説明: ボストン地区の学校教師、エリザベス・アブニー氏の日記からの記述。フレンチ・インディアン戦争中のイギリスの軍服の配色について議論の最中、ジョン・クックという名前の生徒が非常に激昂しました。この記述によると、アブニーはクックが肉体的暴力を振るう前にむち打ちで懲らしめたと主張しています。むち打ちに"時間"を取られたため、アブニーは学校が終わる前に講義を完了することができませんでした。アブニーの日記は財団によって回収され、公文書から抹消されました。

日付: 西暦1878年
場所: イギリス、マンチェスター
説明: マンチェスター・ビクトリア大学のコリン・テイラーの懲戒報告書。報告書によると、教授がナポレオン戦争に関する講義の中で、ロシア侵攻時のフランス軍の敗北におけるフランス軍のコートのスズ製ボタンの潜在的な役割について議論している間に、テイラーは講義の途中で退席しました。講義会場に戻ると、テイラーは 「お前の[罵言]スズのボタンならここにあるぞ!」と叫びながら、雪玉で教授を攻撃しました。報告書によると、テイラーはコートからボタンを引きちぎって、投げられた雪玉の中に1つずつ入れていました。テイラーはその後すぐに地元当局に逮捕されました。教授は講義を再開しようとしましたが、脳震盪を起こしたため、講義を終えることができなかったと報告されています。この記録は財団によって回収され、公文書から抹消されました。

日付: 西暦1961年
場所: アメリカ合衆国、オレゴン州、ポートランド
説明: ポートランド州立大学の二人の歴史学教授であるコナー・ジャクソン博士がテレンス・クリード博士に暴行を受けた事件の警察報告書。報告書によると、二人は地元のバーにいた時、ジャクソンはクリードに1934年西海岸港湾ストライキが地元のアメリカ労働者連盟を弱体化させることの重要性について講義を始め、二人は喧嘩になり、講義を続けようとしたジャクソンの舌をクリードが切り裂きました。財団がSCP-4160を発見した後、クリードとジャクソンはまだ生きていたため、事件についてのインタビューが行われました。オリジナルの警察の記録は財団によって保管され、公文書には変更が加えられました。

日付: 西暦2015年
場所: サイト-64
説明: インシデント4160-23を参照してください。

補遺 4160-C: インシデント4160-23

2015年11月15日にサイト-64で開催された財団セミナー「鉄のカーテンと波紋のベール:冷戦時の正常化合意の変化」において、セミナーを実施していたジャニス・ハマダ博士と、同席していた機動部隊タウ-51 ("アーバン・ブロウル")の専属奇跡論術師であるエージェント・ベアトリス・ロスとの間でSCP-4160イベントが発生しました。

その結果、エージェント・ロスと出席した職員との小競り合いの中で、機動部隊ガンマ-5のエージェント・アナヤ・サーカーは、彼女を無力化することができました。エージェント・サーカーはエージェント・ロスの面前で、ハマダ博士にセミナーを終了するよう指示しました。セミナー終了後、エージェント・ロスの興奮行動はなくなりました。その後まもなくエージェント・ロスとの面談が行われました。

補遺 4160-D: オブジェクトクラス再分類

SCP-4160イベントは、インシデント4160-23のイベントより後に発生しなくなりました。2015年11月16日の時点で、SCP-4160は無力化されたと考えられます。必要に応じてSCP-4160の文書に変更が加えられました。

補遺 4160-E: インタビュー 4160-84

インタビュー対象: エージェント・ベアトリス・ロス

インタビュアー: 研究員ローランド・フェッロ

序: SCP-4160イベントでエージェント・ロスが関与を受け、以下のインタビューは2015年11月15日に行われました。

<記録開始>

フェッロ: えーっと、こりゃあ気まずいな。調子はどうだい、ベアトリス?

ロス: あんたたち"ニシン"のせいでテーブルに体をぶつけたんだけど。ここのところは良くないわ、ローランド。タイレノールか何かをくれない?

フェッロ: わかりました、しばらく時間をください。ここでは時間が少し重要ですから。理解してくれると思いますけど。

ロスはため息をつく。

ロス: わかった、何でもいいから。

フェッロ: なぜハマダ博士を攻撃しようとしたんですか?

ロス: あなたに伝えられたらいいんだけど、できるかわからない。まあ正直、こういった歴史セミナーの中では実際とても面白かったわ。

ロスは含み笑いをする。

ロス: 冷戦が始まった頃、財団が中立を保つための手段として、エジプト、ユーゴスラビア、インドネシアへのアノマリーの大移動が話題にされたとき、心の奥底で何かが気に障ったんでしょうね。「何か間違っているような…」とひそかに思っていたわ。

フェッロ: それはセミナーではかなり最初のほうですね。

ロス: そう、最初は「どうでもいいや」って考え直したの。でもハマダ博士が話しているうちに、血が滾るのを感じ始めたわ。発言のたびに侮辱された気がしたの。「何かが間違っている」が「確実に間違っている」になり、「何でそんなことが言えるのか」になり、「自分を何様だと思っているのか」となり、最終的に「これを止めなくては」となった。それから感情が爆発したわ。

フェッロ: それからは記憶はなかったんですか?

ロス: そんなことはなかったわ。自分が何をしているのかは十分にわかっていた。残念なことに。止められなかったら、彼女を大いに傷つけていたでしょう。

フェッロ: でもハマダ博士の講義が終わった後は随分と落ち着いていましたね。何かあったんですか?

ロス: 次に彼女はこう言った「セミナーに参加してくれてありがとう、何か質問は?」と。するとピンときて思った、「そうだ、彼女は正しい」と。その後は怒りがまったく残っていなかったの。

フェッロ: そんな簡単に?なくなったんですか?

ロス: なくなったわ。

フェッロはメモを書き終わった。

ロス: ねえ、ローランド?このイベントで被害を受けた人々は最後にギリシャ語で話す声を聞くことになってるのよね?通訳は私が聞いたことについて報告していた?

フェッロが沈黙する。

フェッロ: いいえ、まだです。何だったんですか?

ロスは含み笑いをする。

ロス: ああ、彼女らかなりなまりが強かったわ、それと片方はかなりムカついてた。翻訳すると多分。

ロス: 「私の勝ちね、メルポメネー4

ロス: 「面白かったわ、クレイオー。5

<記録終了>

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