SCP-4399
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アイテム番号: SCP-4399

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 出現期間中のSCP-4399個体は公共から隔離されます。SCP-4399個体の発見と隔離に関与する全ての職員はSCP-4399-1個体と見做され、死亡するまで定期的にインタビュー対象となります。

説明: SCP-4399は記録上に無いトンボ(蜻蛉目)の一種を指します。SCP-4399個体は、巨大さ(平均体長55cm~85cm)や微かに発光する多彩色のきらびやかな翅など、他の現生種のトンボには見られない幾つかの形質を示します。

多様かつ予測不可能な間隔で、1匹のSCP-4399個体が地球上の何処かに出現します。SCP-4399個体は例外無く、池や湖といった澱んだ淡水の天然源がある場所に現れます。SCP-4399個体は公園やハイキングコースなど、人間が頻繁に訪れる地点の水域を好みます。出現すると、SCP-4399個体は汀線から2m以内で部分的に水中に身を沈め、溺れている昆虫に典型的な挙動でもがく様子を見せます。しかしながら、SCP-4399は出現期間中には死亡しません。出現後1ヶ月が経過しても水域から除去されなかった場合、SCP-4399は自発的に消失します。

人間がSCP-4399を水域から除去すると、SCP-4399は水没から回復し、対象人物の周囲で短時間羽ばたいてから近傍を飛び去ります。出現地点の近傍を離れたSCP-4399個体の追跡は不可能と証明されているため、SCP-4399個体は飛び去って間もなく消失するものと推定されます。

SCP-4399個体に気付いたうえで水域から除去しようと試みなかったあらゆる人間がSCP-4399-1個体となります。SCP-4399-1個体は、SCP-4399個体との遭遇から数週間かけて幾つかの異常現象を経験します。これらの現象の要約は以下の通りです。

遭遇直後: SCP-4399-1は明確な原因無しに顕著な恐怖心を経験します。

遭遇から1~2日: SCP-4399-1は眩暈の発作や、羽音に似た軽い幻聴を経験します。

遭遇から3~7日: 眩暈と幻聴がより強度を増し、頻繁になり始めます。SCP-4399-1は紫外線を知覚する能力を得ます。

遭遇から8~12日: SCP-4399-1は六角フラクタルの形状をした幻覚を経験し始めます。これらの幻覚は徐々に恒久的なものとなります。SCP-4399-1は水没が関与する悪夢を見始めます。

遭遇から12~18日: SCP-4399-1は精神異常に苛まれ始め、しばしば支離滅裂な発言をして周囲を攻撃します。眩暈は不変のものとなり、運動を完全に妨げます。SCP-4399-1は例え覚醒している時でも、自身が溺れている、水没している、および/または悪意ある実体ないし力によって水中で把握されているという幻覚を経験します。

遭遇から18~20日: SCP-4399-1は30~60秒間激しく痙攣してから死亡します。この時点以降のSCP-4399-1個体の検死解剖では、呼吸器系や消化器系の内部から大量の水が発見されています。

その発見とSCP分類以来、62匹のSCP-4399個体が出現し、うち48匹が各々の水域から除去されました。しかしながら、これまでに合計93匹のSCP-4399個体が除去されているという証拠があります(補遺4399.1参照)。

補遺4399.1: インタビューログ 2018/06/19

質問者: フランク博士

対象者: SCP-4399-1-12 (ナタリー・マクガン、民間人)

注記情報: インタビューはSCP-4399-1-12とSCP-4399の遭遇から14日後に実施された。


フランク博士: こんにちは、マクガンさん。

SCP-4399-1-12: 龍が溺れてる龍が溺れてる龍が溺れてる龍が溺れてる龍が—

フランク博士: マクガンさん?

SCP-4399-1-12: えっ? どなた?

フランク博士: 私はフランク博士です。あなたに幾つかお訊ねしたい事があって参りました。

SCP-4399-1-12: トンボのことだったら話したくありません。

フランク博士: あれについて考えるのは不快かもしれないとは分かっています。しかし情報が多ければ多いほど、私たちもあなたの助けになれます。

SCP-4399-1-12: [沈黙] ええ。

フランク博士: ありがとう。さて、遭遇以来あなたが経験している奇妙な事柄について教えていただけますか?

SCP-4399-1-12: 最初は何も変わった事などありませんでした。実際、トンボのことはほとんど忘れていましたよ。でもその後、変な音が聞こえたり、変な形や色が見えたりし始めて、それはあのトンボを溺れるままにしておいたせいだって分かったんです。最初は幻覚に怯えていましたけど、今はむしろあれを見ると安心します。

フランク博士: 安心? 何故ですか?

SCP-4399-1-12: 私の気を逸らして、猶予をくれます。いつでも物思いに耽ると、本当に不安になるものが見えてくるんです。

フランク博士: それについてもっと詳しくお聞かせ願えますか?

SCP-4399-1-12: お話ししたくないんです。あれを考えると、そこに引き戻されてしまうので。

フランク博士: これはあなたの容態を理解するうえで肝要な事かもしれないのです、マクガンさん。どうか続けてください。

SCP-4399-1-12: 分かりました。いつでも集中力が欠けると、私はあの… 場所に連れて行かれます。何処かの暗くて濁った水の中。そこに [対象者は発言を止め、唐突に痙攣する]

フランク博士: マクガンさん?

SCP-4399-1-12: あれは苦しんでる。窒息してる。大洪水に抑え付けられた荒廃。あれは自由になりたがっているけど私は助けない。どんなにあれが私を罰しても私は助けない。私は助けない。助けない。助けない…

フランク博士: 落ち着いてください、マクガンさん? 何があなたを罰するというのですか? トンボのことですか?

SCP-4399-1-12: トンボはただの欠片、ただの破片。全部で99枚の覆い隠された断片。1枚1枚、水の中から拾い上げられて。93枚が自由に飛んでる。6枚は海の中。6枚は海の中。6枚— [対象者は激しく震え、椅子から転落する]

フランク博士: クソッ。警備、医療棟に連絡を。落ち着いてください、マクガンさん。

SCP-4399-1-12: [囁く] ヴリトラ。

[SCP-4399-1-12は身動きを止める。]

[転写終了]

更新: SCP-4399-1-12は4時間後に意識を回復し、5日後に死亡するまで半明晰状態を保ちました。その後の検死解剖で消化器系と呼吸器系の内部から、115°C以上の湯と、コウテイギンヤンマ(Anax imperator)との遺伝的類似性を有する微量の血液および精液が発見されました。これらの特性はその後発生したSCP-4399-1個体の全てに共通しています。

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