SCP-454
評価: +4+x

アイテム番号: SCP-454

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-454はビニール袋に入れ、アシッドフリーの薄いカードストックの中で保管してください。標準的な収容プロトコルと最小限のセキュリティのみで問題なく、心理学的収容手段は必要とされません。

説明: SCP-454は1冊のコミック本であり、「恐怖の地下墓地(The Crypt of Terror)」というタイトルで、表紙の女性はおびえたように辺りを見回しており、彼女の背後には謎めいた人影が描かれています。表示されている価格は10セントで、発行番号は第17版です。本体には経年と通常の使用による擦り傷などが見られます。表紙では狼男について触れられていますが、ストーリーには登場しません。

この本は、内容を撮影した写真ではその効果を発生しません。また、内容の█ページ以下を読んだだけの被験者にはなんらの物理的または精神的な効果をもたらしません。そうした被験者は続きをもっと読みたいという軽度の衝動を経験しますが、他の関心を凌駕するほどのものではありません。

この本のストーリーは、研究者ならば推測することができるように、女性が謎の存在によって追い回されるものです。主人公のジュリア(Julia)はその存在を「彼」とだけ呼びます。ストーリーの大半はジュリアが「彼」から逃げ出すための努力に割かれます。ジュリアは最後にはそれを打ち負かしたように見えますが、実は[データ削除済]。最初と最後の数ページは1950年代の一般的なコミックの広告に割かれており、その部分からはこの本の効果は発揮されません。

通常の共感能力を有している被験者がこのコミックを読み始めると、内容にどんどんのめり込んで行き、話が進むに従って恐怖や安堵の感情を示しますが、読み終わると嫌悪の感情を表します。読み終わった際の被験者の心理状態からは、過度の自己否定とうつの傾向が観察されます。読後に被験者は、ジュリアを「彼」から助け出すことの必要性について考え、語り始めます。被験者に適切な時間と材料を与えると、ストーリーの続きを書いたり描いたりし始め、その内容にはジュリアが生き残るための取り組みが盛り込まれます。しかしそうした取り組みにも関わらず、物語は原作どおりジュリアの死で終わります。デウス・エクス・マキナ1またはそれに類似した手法によってジュリアを生存させる試みは、「それはこの話に合わない」という被験者自身の意向というかたちで放棄されます。

この作業のための取り組みは被験者の時間や行動の大半を占めるようになっていきます。被験者の██%は重いうつ状態に陥り、無口で閉じこもりがちになります。自殺率も通常よりも高くなります。被験者へのインタビューや遺されたメモの分析からは、ジュリアを助けられなかったことに対する無力感の存在が指摘されています。

[データ削除済]の経歴を持つ被験者はさらなる段階に進展します。そうした被験者は「ジュリアを助けるための自分にしかできない完璧な方法を発見した」と言い、物語の中に自分自身を登場させます。そうした被験者の約██%が後に[データ削除済]で発見されています。

女性嫌いまたは共感性の低い被験者は、すべて読みきった後でも心理的影響を見せず、またこのコミックや登場人物に特別な興味を持ちません。

補遺: 最近の実験で、通常の共感能力を持つDクラス被験者がコミックを読んだ後に一人きりの環境に置かれました。██の試みの後、ある被験者はジュリアを救う方法を見つけたと主張しました。彼は[データ削除済]により死亡しているのが発見されました。彼の部屋のセキュリティカメラはその間、電気的な故障によって機能していませんでしたが、直前に部屋の中に人影のようなものが現れているのが確認されました。収容違反の兆候は認められませんでした。セキュリティチームは保護観察下に置かれました。

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