SCP-454-JP
評価: +221+x

アイテム番号: SCP-454-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-454-JPは、サイト-8181の低危険物収容ロッカーに収容します。実験を希望する職員は、2週間前までに詳細を添付した上で担当職員にメールで連絡を取ってください。実験によって生成された食品は全て一度検査に回し、内容物に異常な点が存在しないか確かめてください。

説明: SCP-454-JPは、表面に「[削除済]村名産 あの日のぬか漬け」と印字された半径18cm、高さ46.3cmの木製の桶です。内部には一般的なものと同様の糠が入っており、その成分は異常性を示しません。底面には「如来観光 加工食品流通課」の焼印が押されています。こちらの企業については現在詳細を調査中です。

人間がSCP-454-JPに手を入れると、その内部にその人物がかつて食べ、“最も美味しかった”という印象を持っている食品が発生します。生成される食品は長期間糠につけられた状態で取り出されており、腐敗こそしていないものの大抵の場合食用には適しません。生成物は一様にその大きさは直径が20cmを超えないように縮小されています。

SCP-454-JPは、[削除済]村に存在する民家の地下から厳重に封印を施された状態で発見されました。[削除済]村では、現在このような食品は生産されていませんが、調査によって民家から以下の文書が発見されました。民家の家主はこのような文書に心当たりがなく、またSCP-454-JPについても関与を否定しています。村の他の民家からはこのような文書は発見されませんでした。財団による記憶調査を用いても当該の人物から有用な情報は得られませんでした。

ご存知のことと思われますが、先日の弊社と[削除済]村との会合により、61対4にて貴村への如来観光 観光事業部の参与が可決されました。
つきましては、契約に基づき貴村の“[判読不能。現在日本に存在しない漢字が使用されている]漬け”の概念を対価としてお支払い頂くこととなりました。近日中に弊社の社員が各家庭に赴き、現物を回収させていただきますので、ご用意のほどよろしくお願いいたします。
201█/██/██如来観光 巾崎

補遺-ア: SCP-454-JP実験記録

実験記録001 - 日付201█/██/██

対象: D-454-JP-01

実施方法: Dクラス職員にSCP-454-JPから食品を取り出させる。

結果: 変色した塊が取り出される。成分を分析したところ、10ヶ月ほど付け込まれたライスコロッケであると判明。Dクラス職員は子供の頃に父親に連れて行ってもらった愛知県のイタリア料理店で提供されたものであると供述。

分析: 生成物は調査ののち廃棄。__伊藤研究員

実験記録003 - 日付201█/██/██

対象: 伊藤研究員

実施方法: 実験001と同様。

結果: 茶色く変色したチーズケーキ1ホール。研究員は兄が度々調理してくれるものであると供述。

実験記録008 - 日付201█/██/██

対象: 生後3ヶ月の乳児。出産されてから母乳以外を口にしていないことを確認済み。

実施方法: 001と同様。

結果: 17対の足を持つ未知の節足動物が取り出された。生成物は取り出された時点で生存しており、赤子の腕を這って逃走。14時間後にサイト内にて捉えられた。

分析: 意味不明。食べたの?__伊藤研究員

追加実験-対象: D-454-JP-01

追加実験-実施方法: 先の実験の生成物をDクラス職員に食べさせる。生成物をすり潰し提供される食事に混ぜる。

追加実験-結果: インタビュー記録を参照

対象: D-454-JP-01

インタビュアー: 伊藤研究員

<録音開始>

伊藤研究員: …では只今より貴方への聞き取り調査を開始します。今回話してもらうのは、今朝の食事についてです。味、感想、そして……

Dクラス職員: やっぱりテメェら何かしてたんだな!何だったんだあれは!!

伊藤研究員: 落ち着いて。毒になるものは入れていないはずだから。どんな味だった?

Dクラス職員: ふざけんな!あんなもん食べさせやがって!何の薬だ!またぞろ筋弛緩薬か何かか!?

伊藤研究員: 筋弛緩薬?何か変な気分になったの?

Dクラス職員: 当たり前ェだ!朝メシ食べてから、全身に力が入らなくってしゃぁねぇ!医師を呼ぼうとしたらここまで連れて来られたんだ!俺を一体…

伊藤研究員: [手で遮る]力が入らなくなったのね。後ほど適切な処置を行います。…味は?

Dクラス職員: 味ィ?…美味かったけどよ…何か…こう…

伊藤研究員: 何か?美味しかった?

Dクラス職員: 別にそこまで美味かったわけではないけどよ…なんか…変な気分だ。力が入らねぇ、あと…こう…甘かった。メシが…いつもより…味噌汁も…全部甘ったるくて…なんか……昔を思い出すような…

伊藤研究員: 随分素直に話すようになったのね。

Dクラス職員: なんか…変な気分なんだ…あんたに逆らっちゃいけねぇような…

伊藤研究員:

Dクラス職員: とにかく、全部甘かった。でも別に嫌な気分じゃなくて…全部食べなきゃいけねぇ、そう思ったんだ。

伊藤研究員: …了解しました。医師を呼びます。また質問させてもらうかもしれないわ。

Dクラス職員: おい!おかあさん!まだ俺は…

伊藤研究員: その間違いは恥ずかしいわね。

Dクラス職員: おかあさん…

伊藤研究員: ?……D-454-JP-01?

Dクラス職員: あ、あ、あーー[床に倒れる。手足を丸め反応はない]、ま、ま、まま…練習します。ままー、おかあさーん、おふくろー、復唱。ままー、おかあさーん、おふくろー、復唱。ままー、おかあさーん、おふくろー。続いて2番。ぶーぶー、ぽっぽー。かわいくなります、かわいくなります。もう一度1番から復唱します。ままー、おかあさーん…

伊藤研究員: 医療班!早く来て!Dクラス職員が倒れました!

[30分後、Dクラス職員は問題なく復帰した。検査の結果特に身体的に異常は見受けられず。]
<録音終了>

終了報告書: Dクラス職員の最後の発言が気になります。あれは明らかに幼児語を練習していました。何がきっかけとなったかは分かりませんが、一応454-JPの使用はより慎重に行うべきでしょう。__伊藤研究員

補遺-イ: 追加実験報告

以後、乳児に対して同様の実験を複数回行う。16回の実験のうち14件で実験-008と同様の節足動物が取り出され、Dクラス職員に食べさせた際も「お母さん」「ママ」という単語に対して短時間ながら極端な幼児退行、及び筋肉の不活性化が見られた。そのうちインタビュー記録の発言と同様に幼児語を練習しているかのような言葉を口走ったDクラス職員は10件に上った。

分析: Dクラスへのインタビューによれば、乳児がこの中から取り出す節足動物は、極めて「なつかしい味がする」ということだ。10人のDクラス職員は一様にあれを食べさせられた経験があるのだろうか。 母乳よりも美味しいあれを。 _東郷博士

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。