SCP-463-JP
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アイテム番号: SCP-463-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-463-JP-1~12はすべて防腐処置を行ったうえで、不透明の強化プラスチックボックスに封入し、サイト42の大型物品保管室に、反情報シートで梱包して保存します。

説明: SCP-463-JPは12体の、中生代の生物を模したと思われる、幾つかの生物及び物品を粗雑に継ぎ接ぎした死体です。2002年に日本の上富良野にて、要注意団体であるハーマン・フラーの不気味サーカスの公演跡地で発見された際には鉄製の大型動物用の檻に仕舞われていました。

SCP-463-JPは、オブジェクトを見た者に対して、SCP-463-JPが生きた古代の生物であると思い込ませる認識災害効果を発揮します。この効果は弱いものであり、SCP-463-JPと接し続ける場合、食事や水分の摂取を必要としない・眠らない・動作をほとんど行わない、などの違和感を曝露者は感じ、平均的な精神抵抗指数を持つ人間であれば1週間程度でSCP-463-JPが生きておらず、かつ恐竜ではなく継ぎ接ぎした死体であることに気づきます。

SCP-463-JPは12体存在し、認識災害によって見える古代の生物はそれぞれ異なります。以下は抜粋したSCP-463-JPのリストです。
オブジェクトナンバー 死骸 認識災害の結果
SCP-463-JP-1 インドゾウ(Elephas maximus indicus)の死骸。鼻部には割り箸とタコ糸を使った補強がされており、鼻先にはガラス製の目玉がついた漏斗が瞬間接着剤を使い接着されています。 視認した対象はこれを「ブラキオサウルス」であると認識します。
SCP-463-JP-2 イリエワニ(Crocodylus porosus)の死骸。下半身は恐らく鋸のような刃物を使って切り落とされており、「がんこちゃん1」の着ぐるみの下半身が代わりに縫い付けられています。 視認した対象はこれを「ティラノサウルス」であると認識します。
SCP-463-JP-3 シロカジキ(Istiompax indica)の死骸。頭部のみがSCP-463-JPと同じく鋸のような刃物によって切断され、切断面にストローを差し込んだうえで奴凧と縫い合わされています。 視認した対象はこれを「プテラノドン」であると認識します。
SCP-463-JP-4 シロサイ(Ceratotherium simum)の死骸。首部分には灰色のボール紙がフリル状に巻きつけられています。ボール紙の裏側には黒の油性インクによって「ミスったけどそのままで」と日本語で書かれています。 視認した対象はこれを「ステゴサウルス」と認識します。
SCP-463-JP-5 シロサイ(Ceratotherium simum)の死骸。SCP-463-JP-4と同じく、首部分には灰色のボール紙がフリル状に巻きつけられています。 視認した対象はこれを「トリケラトプス」と認識します。
SCP-463-JP-9 キジバト(Streptopelia orientalis)の死骸。頭部のみ羽毛が毟られており、緑色のペンキが頭部に塗られています。尾部にはニホントカゲ(Plestiodon japonicus)の自切した尾が瞬間接着剤で貼り付けられています。 視認した対象はこれを「シソチョウ」であると認識します。
SCP-463-JP-12 ウツボ(Gymnothorax kidako)の死骸。背部には緑色のばらんが接着されています。 視認した対象はこれを「ディプロカウルス」であると認識します。

補遺1: ハーマン・フラーの不気味サーカスのメンバーである、アドウーチヤ・マレコフを尋問した時の記録です。対象は自白剤を投与し、両腕と両足を拘束された上で尋問されています。対象は日本の上富良野で、SCP-463-JP-2の檻の中に閉じ込められ、衰弱した状態で回収されました。尋問記録の中にこのオブジェクトと深く関連があると思われる部分があったため、尋問の冒頭部分及びSCP-463-JPと関連性があるであろう部分のみを部分を掲載しています。

インタビュー記録
担当者: ヘルマン尋問担当官(記録上では、Hと表記)
対象: アドウーチヤ・マレコフ(記録上では、Mと表記)
<録音開始>
H: 対象に薬剤を投与してから45分経過。選択的な記憶の除去及び改竄された過去の移植を確認。15分前に段階的覚醒を開始。これより対象を覚醒させ、尋問を開始します。起きなさい、マレコフさん。

(約3分間、Mの呻き声、体を揺する音が記録)

M: うむむ……う、うう。こ、ここは、どこだ。

H: 落ち着いてくださいね、マレコフさん。あなたは、財団の、エージェントでした。一度記憶を除去した上で、ハーマン・フラーの不気味サーカスのメンバーとして、スパイしていただいていました。憶えていますか。

M: え、そ、それは……ううん、ああ、そうだ、そうだった、確か、そんな気が……な、なんで俺は拘束されてんだ。

H: マレコフさん、あなたの記憶が万が一戻っていなければ、大変あなたが混乱をきたすだろうということでして。

M: そ、そうか。お、俺の任務は……。

H: あなたの任務は、ハーマン・フラーの不気味サーカスの内情を探ることでした。あなたがこれまで、どのようなことをしてきたか、教えてください。わかりますね?

M: ああ……ああ。うん。そうだったか。そうか……?

H: 教えて下さい。

M: わ……わかった。俺はサーカス団で、動物の飼育係をしていた。動物、といっても、普通の動物じゃない。ものすごい動物だ。人間を改造して、生きた木馬にする機械2で、作られた「肉虫にくマルくん」だとか、虎人間だとか、ダンスをする肉食ペンギンとか。そういうものを飼育していたんだ。
(中略)
H: では、日本に滞在した際に、日本生類創研からいくつかのオブジェクトの提供を受けていたと。

M: ああ。あの科学者たちはいい腕で、本物のペガサスだとか、キメラだとか、ちっちゃなドラゴンだとか、そういうものを作ってくれたんだ。だけど……。

H: だけど?

M: ある時、エヌエス3から、新しい動物を売りたい、という電話があったんだ。ただ、窓口がいつもの婆さんの声じゃなかった。男だった。それも、かなり若い男だった。そいつは言うんだ。「恐竜を売りますよ」って。で、俺は仕事に慣れてきていて、団長に何も言わずに、取引に向かったんだ。

H: ふむ。

M: 指定された場所もいつもと違って、薄暗くて汚い倉庫の中だった。で、俺はその「博士」……いつもなら、「日本生類創研のナントカです」って名乗るのに、何故かそいつは、「博士」って自分のことを名乗ってたんだ、で、そいつは俺に檻の中のものを見せた。そこには生きてる恐竜がいた。

M: (息を付く)こいつはすげえ見世物になる、って俺は思った。エッシィ・P、つまり、俺た……俺たち? 俺たちだったかな? あああ。

H: 大丈夫、記憶の再生による単なる混乱です。あなたは我々のメンバーですよ。さあ、続けてください。

M: そうか、そうだったかな……ああ、えっと、俺達だとか、そういうやつらに俺たちは追いかけられているから、ちょうどその前に生きたちっちゃなドラゴンがダメになったところで、新しい見世物が必要だったんだ。で、恐竜は渡りに船だった。そいつを買って、帰って、団長に見せたら、言われた。「糞馬鹿野郎、騙されやがったな」って。で、ティラノサウルスの檻の中に閉じ込められて、放り出されたんだ。

H: ふむ、それはどういうことでしょうか?

M: 騙されたんだ、俺は……。ティラノサウルスは俺を食わなかったんだ。俺に見向きもせず、まるで同じ映像を何度も再生してるみたいに、決まった動きをしてた。なんか変だ、って思って、よく目を凝らしたら、そこにはでたらめな、継ぎ接ぎの、ハリボテがいたんだ。あの、いつもと違う「博士」ってやつは、どうやってかサーカスとエヌエスの間の、隠された魔法の電話のナンバーを見つけて、エヌエスになりすまして、俺を騙くらかしやがったんだ。
(後略)

補遺2: この「博士」は複数の要注意団体の粗雑な模倣を、何らかの理由で行っている存在であると考えられています。SCP-653-JPのように、他の要注意団体を自称してオブジェクトを作成する理由及び、他の要注意団体になりすませるだけの情報をいかなる手段で収集しているのかについては、現在調査中です。

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