SCP-473-JP
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Dクラス職員を使用した実験で撮影されたSCP-473-JP

アイテム番号: SCP-473-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-473-JPは、その収容規模の巨大さから存在の隠蔽はせず、該当地点をエリア-81██として指定し、カバーストーリー「建設途上」を周辺地域及びSCP-473-JPに接近する人物全てに適用します。またSCP-473-JPは観測用ドローンを使用し24時間体制で転送される人物がいないかを監視してください。SCP-473-JPには月に1度Dクラス職員を1名配置し、国内に居住する一般人のSCP-473-JPへの転送を防いでください。

SCP-473-JPに転送された人物は原則として救出作業は行われません。SCP-473-JPに出現したSCP-473-JP-1は回収せず、転送される前の状況を維持できるように適宜対応してください。回収済のSCP-473-JP-1に対しての実験及びインタビューは担当の研究主任の許可を取った上で行ってください。また、SCP-473-JPを用いた実験は必ずセキュリティクリアランスレベル2以上の職員1名が行ってください。

説明: SCP-473-JPは、201█年█月██日に日本の太平洋側に出現した、高度15m、全長4.5km、全幅1.9mの木製の海上橋です。SCP-473-JPには環境上の経年劣化は見受けられません。

SCP-473-JPの特異性は、日本国内に在住する人物(以下、被験者と指定)を無作為に選出し、SCP-473-JPへと対象となった人物を転送する能力を有していることです。転送された被験者は突然転送されたことに対して動揺しますが、即座に自身がはじめからそこにいたかのようにSCP-473-JPによって記憶状態が調整されます。SCP-473-JPへと転送されてから3~5分が経過すると、被験者自身と同様の容姿をした人型実体(以下、SCP-473-JP-1と指定)が出現します。SCP-473-JP-1は被験者に対し友好的な態度を取り、被験者の最も悩んでいる事柄を聞き出します。SCP-473-JP-1は被験者の悩みを聞き出し終えると「この橋の向こうまで競走しよう」という旨を被験者へ伝え、SCP-473-JP-1は被験者との競走を持ちかけます。この競走は必ず被験者は承諾され、競走が開始されます。

SCP-473-JP-1との競走は1時間~2時間の間行われ、その間はSCP-473-JP上空の天候が急激に変化し、巨大な雨雲が出現します。被験者及びSCP-473-JP-1は競走中、上空の雨雲からの豪雨に晒されますが、この豪雨による競走への影響は特に無いと特異性非活性化後の被験者及びSCP-473-JP-1へのインタビューで判明しています。

SCP-473-JP-1との競走は転送地点により変化し、概ね700m~2kmの距離が競走時の距離として現在まで確認されています。これらの距離をSCP-473-JP-1または被験者のどちらかが走り切ると終了し、SCP-473-JP-1または被験者のどちらが先に到着したかによってその後の特異性の結果は変化します。変化する特異性の結果は以下の2通りです。

被験者が勝利した場合: SCP-473-JP-1は被験者が競走で勝利したことを称えるような行動を取り、被験者が元いた環境へと自動的に転送されます。この際、SCP-473-JP上空を覆っていた雨雲は瞬時に消滅し、被験者の認識できる方向に必ず虹が出現します。また、SCP-473-JP-1との関係は被験者にとって印象深く残るものであると記憶され、被験者へのインタビューの結果、被験者の抱えていた悩みは全て解消されたと供述しています 。財団による被験者への調査の結果、被験者はSCP-473-JPの影響下に曝される以前より精神状態が安定していることが判明しています。

被験者が敗北した場合: SCP-473-JP-1は被験者に競走に敗北したことを励ます行動を取ります。被験者はSCP-473-JPに励まされたことによって安心できた、と訴えます。SCP-473-JP-1は被験者と離別後、被験者が元いた環境へと転送し、その先で被験者として成り代わることになります。SCP-473-JP-1の転送から1分前後で被験者はSCP-473-JPから消失します。この際、被験者の生死の確認は全て失敗しています。また、SCP-473-JP上空に発生していた雨雲は被験者の消失とほぼ同時に消失します。

201█年までに確認されている転送された人物は10代後半~30代前半までの国内在住の日本人及び日本国籍を取得した人物となっています。また、被験者がSCP-473-JPのどの地点へと転送されるかはランダムに決定されるものと推測されています。被験者がSCP-473-JPへと転送されると、SCP-473-JPへの侵入はどのような方法を用いても不可能となります。

補遺473-JP-01: 財団によるSCP-473-JPの収容以降に確保されたSCP-473-JP-1は現在サイト-81██内の標準人型収容施設内に3体収容されています。SCP-473-JP-1は被験者との差異は殆ど見られず、DNA検査でも被験者と同等の遺伝子情報が検出されました。また、SCP-473-JP-1は被験者の記憶のほぼすべてを把握していると推測され、被験者と関係する人物には一切把握できない程すり替わりが巧妙に行われていると思われます。尚、SCP-473-JP-1は目立った特異性は確認されず、危険度が極めて低いことが確認されたため、収容済みのSCP-473-JP-1の3体以外のSCP-473-JP-1の回収は現在計画されていません。

補遺473-JP-02: 当初、SCP-473-JPはその特異性の性質上SK-クラス:支配シフトシナリオの発生が懸念されていました。しかし、201█年██月█日から行われた複数回の実験の結果、SCP-473-JP上にDクラス職員を人為的に投入することにより、最大1~2ヶ月間は一般人の転送が実行されなくなることが判明しました。この方法が現時点での有効的な収容方法として現在の特別収容プロトコルに採用されています。SCP-473-JP-1とすり替わったDクラス職員は現在██名です。これらの職員の今後の処理についてはO5評議会の回答待ちです。なお、SCP-473-JPを用いた実験内容は実験ログ473-JPを参照してください。

補遺473-JP-03: 201█年█月██日に、サイト-81██で勤務していた███研究助手がSCP-473-JPへと転送される事案が発生しました。転送された███研究助手は機動部隊による救出作業が行われましたが、SCP-473-JP上空に発生する雨雲によりSCP-473-JPへの侵入が阻まれ、███研究助手はSCP-473-JP-1との競走の末SCP-473-JP-1が勝利する結果となってしまいました。そのため、本物の███研究助手がSCP-473-JPによって消滅したものと推測されています。███研究助手として転送されたSCP-473-JP-1は現在サイト-81██内の標準人型収容施設内でSCPオブジェクトとして収容中です。詳細はインタビューログ473-JPを参照してください。

インタビューログ473-JP:

対象: SCP-473-JP-1

インタビュアー: 北村沢博士

<録音開始, 201█/██/█>

北村沢博士: SCP-473-JP-1、あなたは自分がSCPオブジェクトとして収容されていることは理解できていますか?

SCP-473-JP-1: まあ、とりあえずは、と言ったところですね。

北村沢博士: そうですか。では、あなたは本物の███研究助手に何をしましたか?詳しい経緯を教えて下さい。

SCP-473-JP-1: ええっと、███はああ見えて結構気が弱いんですよね。その割には話好きで、自分のこととか、好きな食べ物とか、趣味とか、いろいろ教えてくれました。

SCP-473-JP-1: サイト-8181の食堂の唐揚げが美味しくて好きだとか、助手としての才能を褒められたのが嬉しかった、とか…。

北村沢博士: SCP-473-JP-1、質問だけに答えてください。

SCP-473-JP-1: あ、すみません…███のお話がとてもおもしろかったもので…。

SCP-473-JP-1: えっと、彼とそうやって雑談とかしているうちに、彼はどんどん表情が暗くなってきたんですね。どうしたのかって聞いてみたんですけど、あまり話したがらなかった感じです。

SCP-473-JP-1: 僕も彼に無理やり聞こうとは思わなかったので、元気が出るかなと思って███に「一緒にこの橋を走れば、そんな暗い気分も吹っ飛んじゃうよ」って言ったんです。

北村沢博士: ふむ、それは何故ですか?

SCP-473-JP-1: 実は僕もよくはわかりませんけど、あの橋はそのためにあるからだと思います。走った人の気分が晴れるようにと、そのためのものなんだろうなって。

北村沢博士: わかりました、続けてください。

SCP-473-JP-1: はい。[2秒間の沈黙]…そして、███は僕の誘いに乗ってくれました。じゃあただ走るのも面白くないし、向こう側の端っこまで競走しよう、ってなったんですね。

SCP-473-JP-1: 僕も彼も、競走となると乗り気になりましたね。僕も負けないぞ!って気分になったのはよく覚えてます。

SCP-473-JP-1: で、僕ら二人はヨーイドンで競走したんです。確か大体1km位の距離を走ったかな…。その間、彼は今までにあった嫌なこととか、愚痴とか、いろいろ話してくれたりしました。途中から大雨が降ってきたりとかしましたけど、それでも僕も彼も、走ることをやめませんでした。

北村沢博士: 競走中に███研究助手の悩みのようなものを聞いたりしていた、いわばカウンセリングのようなものでしょうか?

SCP-473-JP-1: それに近いと思います。何せ、彼からいろいろ教えてくれましたから。

SCP-473-JP-1: 例えば、サイト管理者の██さんの彼に対しての叱責で暴言がひどかったとか、Dクラス職員へちょっとやさしい扱いをしたら叱られたりとか、███自身の陰口を聞いてしまったりとか、徹夜で書き上げた研究レポートがいつの間にか捨てられてたとか、走ってる時に込み上がってきたのかいろいろ教えてくれましたよ。

SCP-473-JP-1: あと、1番直接的に███にとって辛かったのが、1ヶ月前に███が担当していたSCP-[編集済]-JPでの実験で失敗続きだったとかでいつも怒られてた事だそうです。しまいには収容違反を起こしたりとかで厳重注意を受けたとかも、泣きそうになりながら教えてくれました。

北村沢博士: そうですか、少々お待ち下さい。[北村沢博士が離席し、1分後にインタビュー再開]…少し質問を変えます。では何故███研究助手は競走に負けたのでしょうか。

SCP-473-JP-1: あれは、負けたというのはちょっと違うと思います。どちらかと言えば、███がいろいろ思い出していくうちにどんどんつらくなっていって、走れなくなったんです。

北村沢博士: 走れなくなった…我々の確認しているSCP-473-JPに関する情報と食い違うのですが。

SCP-473-JP-1: そこは人によってまちまちみたいです。僕は走ったら気持ちよくなれる場所だと思ってますので…。で、彼は…███は、自分の不遇さに耐えられなかったんだと思います。

SCP-473-JP-1: ███は「もう僕は走れないよ」とだけ言って、その場でへたり込んじゃったんですね。その時の顔、本当につらそうでしたね…。

SCP-473-JP-1: そんな彼の姿を僕は見てられなくて、僕は、███の代わりにサイトへ行こうか、って提案したんです。

北村沢博士: それでSCP-473-JP-1は███研究助手とすり替わったという事でしょうか。

SCP-473-JP-1: そうです。彼は最初は不思議な顔をしてきましたけど、███と同じ姿形の僕なら、多分上手くいくだろう、君はもう休んでいいって言ったんです。彼も少し考えたあと、それでやってみようって言って納得してくれました。

SCP-473-JP-1: で、彼も自分の今の環境から離れられるということに安心したんでしょう、もうその頃にはすっかり雨が止んで…まあ、いつもは見える虹こそ無かったですが、すごく晴れた空を見上げて、涙を流していました。

SCP-473-JP-1: ███は、すっかり安心しきった様子で僕に、じゃああとはよろしくねって言って任されました。だから、今僕はここにいるんです。彼の代わりに、僕が出来ることをやっていこう、と。

北村沢博士: なるほど。大体の経緯は分かりました。最後に質問しますが、███研究助手はその後SCP-473-JP上で消失しましたが、それについて分かることを教えて下さい。

SCP-473-JP-1: 消えたんですか?僕が見ている限りだとそんな様子はありませんでしたけど…。

北村沢博士: [███研究助手が消失する瞬間の映像をSCP-473-JP-1に見せる]

SCP-473-JP-1: 本当だ…[1秒間の沈黙]でも、僕は彼から別れてからすぐにこのサイトへ転送したので、どうして消えたかまでは分からないです。

北村沢博士: そうですか、分かりました。ではインタビューを終了します。

<録音終了, 201█/██/█>

終了報告書: SCP-473-JP-1には目立った特異性や敵対性などは見受けられませんでした。ただ、特異性がないと認識させている可能性もあるため、SCP-473-JP-1は引き続きサイト-81██の標準人型収容施設に収容を続けます。また、如何なる職員であっても当該オブジェクトに今後インタビューを行う事は禁止します。

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